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アンテッド白書~不死者の独白~  作者: アイ・タカオ
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第1話 不死辺境伯の独白

 探索者のお嬢さん達、我が城、我がダンジョンへようこそ。


 我が居城に迎える久々のお客さんだ。


 お嬢さん達以外に我が居城に、お客さんを迎えたのは100年前 ? いや200年前だったか?・・・


 吾輩の話を聞きたい。


 ならば、吾輩の身の上話を語り聞かせる事にしよう。


 長話になるが、退屈はする事は無いと思うよ。


 お嬢さん達、逃げ様としても無駄だよ。


 既にお嬢さん達の身体の自由は、吾輩の闇魔法で束縛されお嬢さん達の意のままにはならないのだから。


 不死辺境伯からは、何者も逃げる事が出来ないだから。


 お嬢さん達、全てのアンテッドの頂点に立つ立つ、リッチロードである、吾輩、不死辺境伯の身の上話を一言一句、聞き逃すでは無いぞ。


 ※ ※ ※


 世界には、アンデッドと呼ばれる存在は、ゾンビ、スケルトン、ミイラ、ゴースト、レイス、リビングアーマー等‥、様々なアンテッドが、存在しているが、他のアンテッドと一線を画する存在が、リッチである。


 他のアンテッド達が、魔素の影響で自然発生するか、ネクロマンサーの闇魔法に、創造されたモンスターである。


 しかし、リッチはネクロマンサー自身が、禁断の闇魔法により自らをアンテッド化した存在である。


 それ故に、全てのアンテッドの頂点に立ち、アンテッドの王族と言える存在でなのである。


 吾輩、不死辺境伯もアンテッドの頂点に立つリッチであるが、吾輩の生前は、ネクロマンサーではなかった。


 数100年前に隣国の戦争に敗れ滅亡した王国の辺境伯だったのである。


 そして、この世界ら生を受ける以前は、異世界の暮らす平凡な庶民だったのである。


 探索者のお嬢さん達には、理解し難い観念かも知れないが、時空に無限の異世界が存在して、吾輩はテラ、アース、地球等、その世界の住民から様々な名前で呼ばれる異世界の平凡な住民だった訳だ。


 日本と呼ばれる国で、生れ育ち、大学卒業後は地元の中小企業に就職した。


 27歳で、職場の3歳年下の女子社員と職場例愛の末、結ばれた。


 結婚後、1年目に長男が誕生。3年後には長女誕生。


 結婚がするのが遅い。


 嫁が、結婚適齢期を過ぎている年増女・・・


 この世界では、10代後半が適齢期だからな。


 異世界の国、日本では20代前半から30代前半が、男女共に結婚適齢期とされていた訳だが、世界が異なれば常識や習慣も異なるからな。


 因みに、日本では男女共に18歳から成人と認められ、結婚する事が出来た筈だと記憶しているが前世の記憶故に曖昧なところがあるな。


 話が、脱線したが、吾輩は日本で平凡に暮らしていた。


 日々努めに励み、家族の暮らしを支え、休日には、愛妻や我が子と達に家族サービスに励む、良き夫、良き父親だった。


 吾輩に人生の転機が、訪れたのは35歳の誕生日を迎えた6日後の事だった。


 この日は、会社からの退社後、暴走トラックに跳ね飛ばされて死亡。


 享年35歳。


 愛する家族、気立てが良く吾輩には、良き妻であり、子供達には心優しき最愛の妻と、可愛い盛りの2人の子供を残し、吾輩はあの世に旅立つ事に・・・


 お嬢さん達、今迄の話で分からい事があるかい。


 え?・・・・・暴走トラックが分からない ?


 トラックとは、馬無しで走る事の出来る荷馬車だよ。


 馬無しで、走る荷馬車に興味が、あるなら身の上話が終わった後に詳しく話してあげるよ。


 何しろ時間は、たっぷりあるからね。


 永遠に・・・


 ※ ※ ※


 暴走トラックに跳ねられ死亡した吾輩だが、気が付けば不思議な空間に魂だけの存在して漂っていた。


 この時の経験を生者のお嬢さん達に説明するのは難しいね。


 しいて言えば、夢の中で意識が覚醒していると、表現するのが一番、近いかも知れないね。


 生者お嬢さん達、3名に吾輩の経験を理解して貰うのは難しいかも知れないね。


 極色彩の光カーテンが蠢く空間であり、同時に一切の色彩が存在しない果てしなく広がる虚空でもあった。


 不思議な空間を漂っていると、吾輩にある存在が接近し語り掛けてきた。


 その存在は『神』かも知れないし、又は、『悪魔』と呼ばれる存在かも知れない。


 又は、神も悪魔も超越した『大いなる意思』なのかも知れない。


 平凡も会社員で、無神論者だった生前の吾輩には、其の存在が吾輩の理解を超えた存在である事だけが理解出来た。


『大いなる存在』は、越えなき声で吾輩に語り掛けてきた。


「貴方には、地球以外の世界に転生して大いなる使命を果たして貰います」


 異世界へ転生 ?? 大いなる使命 ??


 戸惑う吾輩を他所に、『大いなる存在』の声なき声は語り続ける。


「貴方には、大いなる使命を果たす為、我が力の一部を分け与えます」


 その言葉が吾輩の魂に響くと、意識は闇に閉ざされた。


 吾輩には、異世界への転生への拒否権は無い。


 ※ ※ ※


 数100年前に滅亡した、王国の辺境伯の長男として吾輩は、転生した。


 前世の記憶が、覚醒したのは5歳の時だった。


 前世の記憶の覚醒と共に、「大いなる意思」から授けられた力が覚醒したのか。


 吾輩は、5歳にして1000人に1人の魔法使いとしての才能に覚醒したのだった。


 吾輩が、日本より転生した世界は、剣と魔法の世界であった。


 魔力が覚醒した吾輩は、両親からは大切にされ、現辺境伯の後を継ぎ、時期辺境伯を継ぐ事は決定したのだが一つ困った問題があった。


 魔法使いは、結婚する事が出来ない。


 何故なら、性交渉すると魔力が、失われしまう為だ。


 魔法使い達は、童貞、処女まま、生涯を過ごす羽目になるね。


 魔法使いのお嬢さん、貴女未だ未通女(おぼこ)だね。


 魔法使い、斥候、騎士のお嬢さん達も未通女(おぼこ)だね。


 お嬢さん達は世間知らずの様だから悪い男に騙されないかと、吾輩は心配してしまうね。


 アンテッドの王者たるリッチに遭遇する事は、不運であり、死より恐ろしい結果を招く事になると人々に噂され囁かれている事を知らない様だね。


お嬢さん達は、騙されて無謀な依頼の引受けを引受けだよね。


 違うの ?


 話が脱線したので、吾輩の身の上話に戻る事にしょう。

 

 辺境伯家の長男に転生して辺境伯家の家督継ぐ事が、5歳して決定した吾輩だか、同時に一生、結婚出来ない事も決定してしまった・・・


 尚、吾輩の後の爵位の後継者は、2歳年下の弟の長男が辺境伯の爵位を後継する事でお家断絶危機は回避した。


 尚、甥に爵位を後継する事なく辺境伯家は滅亡する事になるのだが・・・


 5歳で魔法の才能に覚醒したた吾輩には、高名な魔法使いが、幾人も家庭教師として付けられた。


 武術、学問、魔法が英才教育として吾輩に、施された訳だ。


 幾人の高名な魔法使いの下で、火・水・雷・土・風・聖の魔法を学んだ吾輩は、16歳の成人と共に父上の補佐役して、領内の統治に関与し、20歳には、父上より家督を引継ぎ辺境伯となった。


 吾輩は、魔法使いの為、結婚する事が出来なかっが、弟が政略結婚で某伯爵家の次女を嫁として迎え入れた。


 弟夫婦が結婚して、2年後には、甥も生まれ4年後には姪も誕生して全てが順風満帆だった。


 吾輩の統治は、約25年続いた。


 弟も吾輩の補佐役として、頑張ってくれていたし全てが順調だと思っていた。


 暗殺されたあの日迄は・・・


 魔力に覚醒して、様々な魔法を駆使する魔法使いの吾輩でも人の心に潜む闇に気が付く事は出来なかった。


 吾輩を暗殺した犯人は、弟一家だった。


 実行犯は、弟と甥。


 主犯は、弟嫁だった。


 弟は、葡萄酒に無味無臭の毒物を混入して、吾輩を毒殺したのだ。


 転生してから、一番信頼していた弟に毒殺されて異世界での吾輩の人生は、幕が降ろされたかと思えた。


 しかし、『大いなる意思』が、分け与えた力は、吾輩の死後に初めて覚醒したのだ。


 毒殺された、24時間後、大いなる力により市の淵から吾輩は蘇った。


 全てのアンテッド、ゾンビ、スケルトン、ミイラ、ゴースト、レイス、リビングアーマー等の頂点に君臨するリッチロードして。


 リッチロードして、覚醒した吾輩は、大量の魔素を居城に滞留させ空間を歪め我が城と、城が建つ小山を異空間へ、ダンジョンへと変貌さした。


 祖父、父、吾輩、親子3代に渡り改築され、名城と謳われた我が居城は禍々しい瘴気が漂い、亜空迷宮、ダンジョンへと様変わりして行く。


 吾輩は、家臣や使用人達に、強力な念話で呼びかける。


「命が惜しいければ、我が城から立ち去れ。我が城に残る者は、我が眷属として迎え入れよう」


 吾輩の念話を聞いた者達は、大あわてでダンジョン化した、我が城から逃げ去って行った。


 家臣や使用人達の命を助けた吾輩だが、吾輩を毒殺した弟一家の命を助ける程甘くはない。


 家臣や使用人達と一緒に逃げ出すところを我が眷属リビングアーマーに、拘束して捕らえた。


 主犯の弟嫁と、実行犯の弟と甥を・・・


 弟と甥は弟嫁に唆されて吾輩の毒殺など大それた事を企てたのであろう。


 その結果自らの身に死より恐ろしい運命が待ち受けているとも知らずに・・・


 権力欲に狂い自ら身を滅ぼした愚か者の弟一家3人には、吾輩が自ら、手を下した。


 ドレインタッチで全ての生命力を魔素に変換して奪い一切の苦痛も無く眠る様に死んでいったよ。


 弟達は・・・


 お嬢さん達は、吾輩が肉親としての情から、吾輩の暗殺を企てた弟一家に情けを掛けたかと


 己の身勝手な欲望の為、吾輩の信頼を裏切り、命まで狙う輩に慈悲を示す事は無い。


 弟、弟嫁、甥、3名の愚者達のドレインタッチで奪った後、二度と転生出来ない様に彼らの魂を我が手で握り潰してやった。


 全てのアンテッドの頂点であるリッチに覚醒した吾輩には、死後、肉体から離脱した魂を消滅させる事など容易いこと。


 例え、実体の無いゴーストやレイスも等のアンテッドも我が力の前では無力に等しく、容易く消滅せせる事が出来る。


 吾輩はが復讐を遂げた後は、小山の上に築城された我が城はダンジョンとなり、我が眷属のアンテッドと魔素が具現化したモンスターが住まう魔窟と化した。


 以上が、吾輩が生ある者から、アンテッドして蘇り覚醒した全ての経緯だよ。


 ※ ※ ※


 え、吾輩の名前を聞かして欲しいて。


 前世の名前も、転移後の名前も忘れたね。


 アンテッド仲間や吾輩の配下の眷属達からは、辺境伯、御方様と呼ばれているね。


 吾輩自身は、初対面の相手には、不死辺境伯と名乗る事にしているけれどね。


 吾輩が、リッチロードとして覚醒して幾星霜の月日が過ぎた事か。


 我が辺境伯領が所属していた王国も滅亡して我がダンジョン『辺境伯の城』に訪れるのは、お嬢さん達の様な探索者のパーティだけだね。


 お嬢さん達、顔色が悪い様だが、吾輩は、人外の怪物に変身してしまったが、悪名高い他の迷宮主(リッチ)ほど残虐でないつもりだよ。


 お嬢さん達には、吾輩の身の上話を聞いて貰ったご褒美をあげないと。


 褒美に永遠の若さを授けてあげるよ。


 吾輩の眷属して、生れ変わる事で。


 魔法使いのお嬢さんは、嬉しの余り気を失ったようだね。


 斥候のお嬢さんは顔面蒼白だね。


 騎士のお嬢さんは、貴族の令嬢 ?


 我が身を汚されるよりは、死を選ぶつもりかい ?


 何も心配は、要らないよ。


 ドレインタッチで、生者としての人生を終えた後は、屍に我が力を注げは、お嬢さん達も上級アンテッドとして生まれ変わる事が出来るからね。


 アンテッドして、生れ変わる事は素晴らしいよ。


 飢える事も無く、疲れる事も無く、年老いていく事も、死ぬ事の無い日々。


 永遠の若さを若さを享受できる素晴らしき日々を吾輩と共に楽しもうでは無いか。


 吾輩の眷属として、そしてアンテッドハーレムの要員として。

誤字、脱字だらけの拙い小説ですが、応援宜しくお願いします。


又、誤字・脱字のご指摘とご感想もお待ちしています。

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