理解できない生き物
始めてそれを見た時、私は理解できないと思った。
理解できる人間なんて、いないと思った。
だってそれは、それくらい異常だった。
とてもおかしかった。
ありえなかった。
「どうしてそんなにおかしいのに、普通にしているの?」
だから、黙っているのが我慢できなくて、それに問いかけた事があった。
けれどやっぱり異常で、おかしくて、理解できないものだったから。
予想通りそうなった。
「―――」
耳を傾けてみたけど、少しだけ分かろうとしたけど。
結局何を言っているのか、分からなかった。
それじゃ、しょうがない。
理解できないなら、排除するしかない。
考えても無駄だし、考える時間が無駄だから。
生き残らせた結果、余計な事で被害を被ってはたまらないから。
「全軍に、掃討任務を言い渡します」
だから排除する事にした。
「掃討、完了しました」
「あれは一体、なんだったんだろう」
その日、新しい地域で発見した生物……後にモンスターと呼ばれる生き物が、とある地域で消滅した。
その時に手を下した者達は知らない。
その後、長い間悲劇が起こり続ける事を知らない。
それは、後に続くモンスターと人間の戦いのきっかけとなった。




