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【第四章完結!】堕落天使はおとされる  作者: 真白はやて
第四巻 『2クール』
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第12話(12) 『躊躇のない対価』

 これまで三番街で過ごしてきた日々と、ここ最近あった悪党共の襲撃のおかげもあって、既に俺は三番街の立地をほぼ全て理解していた。


 特に教会から始まるルートは完璧と言っても差し支えない程に正確な自信がある。

 だからこそそれなりの時間セリシアと話していたとしても、瞬間移動でもしない限り『ウイングソール』を持っている俺がカルパディアに追い付くのはそう難しいことではなかった。


 事実、既に奴の姿は俺の視界内にある。

 姿を隠し気配を消しながら俺は木々の裏から奴の行動を監視していた。


 ……だが、その様子はこれまで見てきたものとは大きく異なっていた。


「小汚い欲しか持っていない、利用されているだけの能無し共がこの私を呼び出すなど……自分たちの立場をまだ理解出来ていないようだ」


「……っ?」


 聞こえてくる奴の声質は低く口調も変わっていることから、やはり今までのは取り繕っていただけの紛い物だということがわかる。


 ただそれに関しては俺もよくやるし、今更驚くことでもない。

 口調などというどうでもいいことよりも、カルパディアの言葉を聞き逃さないことの方が重要だ。


 利用されているだけの能無し共……?

 自分たちと言っているということは奴の協力者は複数人いるのだろうか。


 話を聞く感じだとカルパディアの言う用事とは、その能無し共に呼び出されたからというものらしい。


「全く……意味のないことだよ。大切なのは聖神ラトナ様一人だけだというのに、ただの中継者でしかない馬鹿な聖女に媚びへつらう必要が何処にあるというのか……この私の声さえ届けば、聖神ラトナ様も有象無象の聖女より私の方がより貴方を信仰しているとお気付きになってくれるに違いない」


「……」


「だからこそ【聖痕】をと思えば、それをよりにもよって天使に明け渡したなどと……私の計画をこれほどまでに崩すとは、流石『堕落聖女』と呼ばれるだけのことはある」


 やはり俺の予想通り、奴の計画はそれなりに崩れているようだ。

 初動の時点でそれなりに崩すことが出来ていたのは僥倖だが、その分そのヘイトがセリシアへと向けられてしまっているのはかなり思う所がある。


 だがここで少しでも殺気を漏らせばもしかしたら奴に気付かれてしまう可能性があるのだから、そんなミスだけはしないよう自身の心情を無へと還すよう努めた。


 ……大丈夫。

 俺は……冷静だ。

 万が一にも、奴に気付かれることはない。


 ただ気持ち悪いのは……奴の思惑はそれなりに崩されているはずなのに、未だマスク越しの顔は笑みを浮かべたままなことだ。

 誰も見ていないにも関わらず笑みを浮かべたままのカルパディアの姿はあまりにも不気味で、この距離からですら歪ささえも感じ取れる。


 ……いや、誰も見ていないというのは語弊があるか。

 正しくはカルパディアの三歩後ろで付かず離れず一緒に歩く、二人の聖神騎士以外だ。


 ただその騎士たちは見ていた限り一言も発しないからどうにも意識を向けづらい。

 多分、あの騎士たちには戦いを理解している者が持つ警戒や注意故の雰囲気を一切感じ取れないから俺の警戒がカルパディアにばかり行ってしまうのだろう。


「……こんな姿、聖神ラトナ様には見せられないな」


 そもそも、本当にあの二人は騎士なのか。

 そんな考えは、唐突に立ち止まったカルパディアによって散って行った。


「――そこに立て」


「――――」


 カルパディアは後ろで追従していた一人の騎士に流し目を送って、指で奴の目の前に来るよう唐突に指示を出す。

 変わらず騎士は一言も発することなく、すんなりとカルパディアの指示に従っていた。


 ……なんだ?

 そんな行動に困惑している俺を置いてカルパディアは騎士に向け微笑んでいる。


 ――そして何も言わずに、カルパディアは突然目の前の騎士へと拳を振るった。


「――っっ!?」


 思わず声が出そうになるのをグッと堪えながら、俺は一人の騎士を殴り倒すカルパディアを見続けていた。

 何度も何度も何度も何度も、地面に倒れた騎士をカルパディアは変わらない笑顔で殴り続けていた。


「制裁。そう、これは、制裁なんだ。聖神ラトナ様とお会いするのに、負の感情など、あってはならないのだから。だから、さぁ!」


「――――」


「私のために死ね! 死ねよほら!! くはっ! 役立たずの依代は死ねッッ!!」


 目を血走らせながら、未だカルパディアの暴行は止まらない。

 顔を覆うように掛かった真っ白なフェイスベールの下からは殴られ続けたことによって唇でも切ったのか赤黒い鮮血が地面へと垂れ落ちている。


 殴られているだけの騎士はそれでも悲鳴一つ上げずに、身体すら動かさずただのサンドバックに成り果てていた。


 なんで、抵抗しないんだ……!?

 流石の司祭であっても、こんなことが許されていいはずがない。


 けれどそんな非道を止めるべきもう一人の騎士はその場から全く動かずに立ち止まっているだけだ。

 この場にいる三人には一切の人間性を感じることが出来なくて、俺は飛び出すことも出来ずただこの狂った惨状を見ていることしか出来なかった。


 でも……殴り続けているカルパディアの目を、俺は知っている。

 あれは自分の欲望に忠実でありながら人の不幸を何よりも楽しんでいる、本物の悪魔と同じ姿をしていた。


 あの騎士たちは何も悪いことなんてしてなかっただろ。

 善良な、俺が守りたいと思う平穏な日々を受けるべき人たちだったはずだ。

 なのにそれをストレス発散のためだけに殴るなんて、そんなことが許されていいはずがない。


「くっ……!」


 やっぱりあいつは悪意の権化だ。

 証拠なんて見つけなくても、この状況だけで最早【断罪】するには充分過ぎる程の悪意を奴は持ってる。


 だが……耐えろ。

 どれだけ本物の悪意を有した悪党だとしても、奴は本部から来た司祭だ。

 ここで飛び出して殺したとしても、じきに必ず捜索が入ることになる。

 もし死体が見つかって犯人すらもわかってしまえば、それを周囲に理解させるための証拠が無いと俺がただ非難され軽蔑され、そして捕まるだけで終わってしまうのだ。


 だからまだ、助けられない。

 顔を歪め木々に隠して、森から殴打音が響き終わるのを俺はただ待つ事しか出来なかった。


「――……ふぅ。では行こうか」


「――――」


「――――」


 ……どれぐらいの時間が立っただろうか。

 木の幹を背にして座り込み耳を塞いでいた俺だったが、ふとずっと聞こえていた音が聞こえなくなったことに気付く。


「……っ」


 嫌な音が聞こえなくなって顔を上げると、肩で息をしているカルパディアは倒れ込んでいる騎士に手を差し伸べることなく立ち上がり、そのまま何事も無かったかのように歩き始めていた。

 もう一人の騎士も同僚を助けることなくカルパディアへとついて行き、ただ一人残された騎士は誰の助けもないままよろよろと立ち上がっている。


 そして痛みで身体をふらつかせながらも、同じようにカルパディアについて行こうと歩き始める。

 土と血で汚れた純白のローブがその痛々しさを物語っていて、俺は直視出来ずに思わず片手で頭を押さえてしまった。


「なんなんだよ……」


 頭が痛くなりそうだ。

 どうしてそんなに無抵抗でいられるんだという疑問と困惑がずっと頭の中を支配している。


 ……でもそこまで考えて、今俺自身が抱いた感情がセリシアの抱いていたものと同じなんだということに気付いた。


「……」


 殴られていた騎士は……俺の鏡だ。

 ボロボロになって、それでも何も言わずに立ち上がって一歩一歩進もうとするその姿に俺は今心の底から心配していた。


 そう考えると、途端に教会のみんなに抱かせていた心配に対して自分が言った言葉が酷く自己中心的なものだったことに気付かされる。

 今更過ぎるけど、俺は未だに自分勝手で、心配してくれる人の気持ちを無碍にする堕落した天使のままだ。


 ……それでもやっぱり、考えを改めるつもりはない。

 自己中心的な言動だったとしても、みんなのためにとしたことは……確かなのだから。


 奴らの関係も何もかもわからないままだ。

 でも、胸糞悪い光景を見てしまったとはいえここで立ち止まるわけにはいかない。


 先程までの光景は思考の片隅へと押し出して、俺は気配を消しつつカルパディアへの尾行を再開することにした。



――



 その後もブツブツと何か言ってたみたいだが、残念ながらその内容を聞き取ることは出来なかった。

 聞き取りたくても、先程殴られた騎士の歩くペースがカルパディアよりも若干遅くなってしまっていたから相対的に俺の距離も奴から離れてしまっていたからだ。


 そして同時にあの騎士の痛々しい姿を視ざるを得なくなっているから、肩を貸したい気持ちが徐々に増幅してくるのも厄介だった。


 殴った側のカルパディアが何もしないのは当然として、せめてもう一人の騎士は手を貸してやれよという思考が脳にこびり付いて仕方がない。

 どうしてこんなに傷付いてる仲間を無視できるんだとそう思うのは簡単だが、あの騎士も司祭であるカルパディアには逆らえないのかもしれないと思うとその僅かな怒りもすぐに散ってしまって、やるせない気持ちだけが俺の心を支配する。


 カルパディアを【断罪】したら、あいつらも助けてあげないと。

 騎士団長であるへレスティルの管理体制に思う所はあるが今それを言っても仕方がない。


「……っ?」


 ……ただ、先程から思っていたことだがどうにも奴は三番街を出る気はないように見える。

 明らかに外へと続く門からは離れているし【イクルス】は基本最終的には城壁に行き詰まることになるから、城壁を飛び越えるような芸当をしない限り行き止まりになって終了だ。


 となれば三番街内でその用事とやらが行われるということになるが、流石にベルゼビュートと繋がってる人間が三番街の中に大量に潜んでいるとは思いたくない。


 それに、仮に集合場所に向かっているのだとしても、この先にあるものなんて……墓地ぐらいだ。


「……まさか」


 だがその墓地こそが、俺の意識をより覚醒させることとなる。


「……!!」


 別に驚くべきことじゃない。

 最初から奴が、ベルゼビュートと繋がっていることは予期していたことのはずだ。


 セリシアに見せたあの写真も恐らくカルパディア本人が撮ったというわけではないだろうが、俺が夢の世界に囚われている間に墓地の魔法陣から転移してきた悪党が撮影しカルパディアに渡したのであれば納得出来る。


 ……だが、どうして今更奴がここに来る必要がある。


 もうあの転移魔法陣の魔力は完全に失われた。

 それが、俺が大切な人たちを失ってまで得た事実だ。


 故に奴らにとってこの墓地はもう用済みなのだとずっと思っていたのに、未だベルゼビュートと繋がっている人間はこの場所にまた足を運んでいる。


「最後にここに入ったのはいつだったか。この私を、聖神ラトナ様の期待に応えることも出来ず生を無駄にした死者共の墓へと赴かせるなど……私が温厚でなければ死刑にしている所だ」


 死刑を言い渡せる程の権力を司祭が持っているわけが無いが、そんな悪態を吐きつつもカルパディアは笑みを浮かべ炎魔法による火球によって明かりを作り墓地の中へと入って行った。


「……」


 あいつ……やっぱり墓地が破壊されてることにも驚かなかったな。

 自分でも盛大に破壊してやったと自負しているのにそれでも驚かないということは、奴はこの惨状を初めから知っていたということになる。


 最早これ以上奴が悪党であることを決定付けるための証拠など必要無いような気もするが、結局物的証拠が無ければ司祭という権力に対する信頼は勝ち取れない。


 信頼を勝ち取れなければ、俺の【断罪】は正義では無くなってしまう。

 故に三人の姿が完全に見えなくなった所で俺は木々の裏から身体を出し、ただただジッと墓地を見続けていた。


 カルパディアの笑みが視界に映る度に俺の脳内ではベルゼビュートがフラッシュバックしている。


 まるで決して俺が受けてきた絶望を忘れないようにと警鐘を鳴らし続けるその過去は、自分のやるべきことを心の奥深くで教えてくれているみたいだ。


 ……そうだ。

 欲望にまみれ、人の絶望を何よりも楽しみにしているような人種がいつも俺の大切な人達を奪い取っていく。


 決して忘れちゃいけないことだ。

 俺が今こうしてここに立っているのは、俺の為に頑張ってくれた人たちが俺の背中を突き飛ばしてくれたからだということを。


「……早く殺すべきだ」


 虚ろな目に殺意が宿りながら、ぼそっと小さくそう呟く。

 でも実際に出来ているかはともかく、感情に任せて動くようなヘマはもうしないと決めたのだ。


 だから殺気を押し殺して、無表情のまま俺も墓地へと落下する。

 着地音も完全に消して墓地内部に入ればもうカルパディアの持つ明かりは見えず、世界は真っ暗に包まれているだけだった。


 だがもう、この道を通ったのは三回だ。

 嫌な過去が蘇るものの、どれだけ暗かろうとここの道が直線しかないことはわかりきっている。


 だから焦らない。

 ただ胸に秘めた思いを糧に、俺はあの場所へ向けて歩き出した。



――



 ……しばらく歩いた。

 軽く目を細めながら、暗闇で支配されてしまった視界に光を浴びせる。


 そうして目を光に慣れさせると、遠目にはあの忌まわしき大部屋が広がっていた。

 カルパディアの出した火球による光をこちら側へ向けても届かないギリギリの位置で立ち止まり、ジッとカルパディアの行動を見続けている。


 カルパディアは、部屋の中心部に記された転移魔法陣の中心部に立っていた。


「……っ?」


 一体こんな所にまで来て何をするつもりなんだろうか。

 仮に予想通りここを集合場所として設定しているのであれば少々厄介だ。

 見る限りカルパディアら以外に人はいないことから奴の仲間は後から来ることになるが、一本道である故に必ず最後には俺と鉢合わせることになってしまう。


 そうなると『ウイングソール』によって上壁に張り付くぐらいしか見つからない方法は無いが、果たしてそれが通用するのかは少々疑問が残る。


 だが内心そういう心配をしているとはいえ、どうにもその予想に反してカルパディアの行動がマッチしていなかった。


「……」


 奴が騎士二人に目配せをすると、二人は懐から赤く光る不思議な形をした小型の魔導具を取り出している。


「篝に火を」


 そしてカルパディアの合図と共に、騎士たちはその魔導具を起動した。

 すると魔導具の口が点火し、小さな蒼い炎がぼんやりとした明かりとなって部屋全体を照らしている。


 そのまま壁側一面に設置されている篝へと足を運ぶと、騎士たちは一つずつ篝に火を付け始めていた。


 ……やっぱり、待ち合わせにしては他に目的があるように動いているように見える。


 なんだ……?

 何をするつもりだ……?


「台座に魔力を」


 全てを篝に火を付け終え魔導具を停止させたのを確認した後、カルパディアはそう言葉を続ける。

 その命令に追従するように、騎士たちは何の戸惑いもなく転移魔法陣を中心に左右へと位置していた。


 台座というのが何なのか最初はわからなかったが、目を凝らしてよく見れば確かに転移魔法陣のある左右の床がほんの僅かに出っ張っているのが見える。


 だがほんの数ミリ程度だ。

 実際にそこに立ってみて、尚且つ第三者からの客観的な指摘が無ければ気付かないぐらいの小さな出っ張り。


 そこに立った騎士が魔力を流すと、突如として台座の出っ張りが淡く光り始めた。

 その光は床のタイルの溝に沿って進んで行き、やがて光を失った魔法陣に沿うように繋がり始めている。


「…………!!」


 ……何をしようとしてるのかはもうわかった。

 だが同時に、ずっと抑え込んでいた殺意が今にも爆発してしまいそうで、その感情を押さえ付けるので精一杯だ。


 これまでカルパディアが二人の騎士に指示をしその結果起きた現象は、全て俺が起動させてしまった魔導具一つで出来たものだ。

 その工程を再現するように一つ一つ行動を起こしているということは、恐らく一度使用した転移魔法陣を再起動させるために一連の流れが必要なのだと思う。


 ……だが、あの転移魔法陣がもう一度使用出来るなんてことは許されることじゃない。

 もしもあの魔法陣が俺の予想通り起動するのだとしたら、俺は全部をかなぐり捨ててあそこに飛び込まなければならないだろう。


 だって、あの先には……テーラがいるはずなのだ。


 奴が俺の感情を揺さぶるためにその話題を出さなかったのは疑問だが、カルパディアやあの先にいる悪党共がテーラをいたぶったのは間違いないだろう。

 もう何日も経っているから、きっと俺が転移魔法陣に飛び込んだ末に目にする光景はあいつの亡骸だけなのかもしれない。


 それでも、行かなきゃ駄目なんだ。

 彼女の死体があったなら……どんなにカルパディアが権力のある重要人物であろうと【断罪】するだけの理由になるし、尚且つ彼女の結末を目に焼き付ける責任が俺にはある。


 こんなことで赦されるだなんて思ってないけど……復讐を果たし、俺なんかを助けてくれたテーラへの手向たむけにすることは俺がやるべき最低限の責務だ。


 だから紅い瞳に殺意が宿り、転移魔法陣起動と同時に一緒に転移しようとタイミングを見計らうべく足を一歩踏み込んだ。


「そして……」


 カルパディアが天井に向け両腕を掲げる。

 同時に俺は床を強く踏み締め、いつでも飛び出せる準備を整えていた。


 ……ゴクリと唾を呑む。

 俺一人じゃあの魔法陣をもう一度起動するのは不可能だ。


 つまり、チャンスは一回。

 自分の行動がその後の人生の命運を分けると理解しているからこそ、失敗は絶対に許されない。


 だからこそカルパディアを注視していた。

 転移魔法陣の起動手順が以前の通りなら、あとはあの魔法陣が起動するだけだ。

 奴が転移魔法陣の中心部に位置し出したことから、その手順が変わっているということは無いと確信する。


「対価に――命を」


 だから……俺は何も考えて無かったんだ。

 刹那――懐からナイフを取り出した騎士二人が、その刃で自身の首を斬り裂くだなんて。


「転移魔法陣、再起動」


 血飛沫が上がり、崩れ落ちるように倒れる騎士に一切視線を向けることなく、カルパディアは転移魔法陣を起動し床に記された魔法陣が光を纏う。


 その工程を得て今、完全に転移魔法陣は失った光を取り戻した。

 ……でも。


「……………………は?」


 俺は本来の目的であった飛び出すことも忘れて、ただ呆然と目の前の惨劇を理解することが出来ずに固まることしか出来なかった。

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