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様々な世界・世界の詩

罪人の世界

作者: 仲仁へび



 その世界は、元の世界から切り離されて漂流していた。


 なぜならその切り離された箇所は、罪びと達がいる場所だったからだ。


 元の世界の者達は、「罪びとと一緒にはいられない」と言う。


 そう思って、罪びとがいる区画を、世界の一部を切り離したのだった。





 けれど、罪びとは後から後から湧いてくるから、世界はどんどん切り離されて、多くが漂流してしまう。


 元の世界の者達は、汚いものを切り離せば綺麗になれると信じていた。


 穢れに満ちたものを切り離せば、綺麗になっていくと信じていた。


 しかし、それらは後から後から湧いてくるから。


 とうとう元の世界はちっぽけになってしまった。


 このままでは、世界はうまくまわらなくなる。


 そう思った人々は、漂流した世界をかき集める事になった。


 世界はまたどんどん広くなって、罪びと達も多くなった。


 けれど、人々は諦めた。


 それが世界なのだと諦めた。


 自分達が目にしたくないもの、一緒にいたくないものも、この世界になければならないのだと諦めた。


 どうやってもそれは、減らしてもそれは、減らしきる事ができないのだから。






 漂流していた罪びと達の世界は、元の世界に吸収された。


 罪びと達を切り捨てた世界は、再び受け入れるようになっていた。


 罪びと達は理解できなかった。


 なぜ、自分達を捨てた者達が、自分達を受け入れたのかと。


 すると、受け入れた者達は疲れた顔でこう述べた。


「不要なものなどこの世界にはなかった。悪を減らしても悪は終わらない。

 ならば悪を捨てるより、悪がうまれないように、うまれても小さくなるように努力すべきだったのかもしれない」



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