22歳で売れ残りなんて
ナムーリ国の第3王女が捕まったらしい。
魅了の魔法を使い、王太子や城中の男を魅了し骨抜きにし、意のままに動かせと国王の命令だったそうだ。それにしても弱小国の国王が思い切ったことをしたものだ。
「アイク様、やっぱり死罪なのですか?」
「うん、禁忌魔法を使ったものは死罪だと全世界的な決まりだからな」
「本当にそんな大きな話だったのでしょうか? ナムーリ国の国王が野心家で我が国を手中に収めたとしても、あの国の国王に我が国を運営していくことができるのでしょうか?」
私は前世では公認会計士、中小企業診断士として色んな社長を見てきた。この場合、中小企業の社長が大企業を乗っ取ろうとしてるわけでしょう? 凄いやり手で能力のある国王ならそうできるかもしれないけど。ナムーリ国は可もなく不可もない国。国王もただの世襲だし、切れ者なんて噂は聞いたこともない。私は謎だなと思いこてんと首を捻っていた。
「可愛い……」
いやいや、それちがうやろ!
「ひょっとして、国王は売れ残りの娘に魅了の魔法でもなんでも使って嫁にもらってもらえって言っただけなのかもな。あの王女もただのお馬鹿さんにしか見えないし」
フィル兄様は腕組みをして考えている。
「結婚相手を見つけてあげればいいんじゃないのかしら? アイク様でもいいけど、うちの国には王女様と年齢の合う独身が山ほどいるし」
「私はだめだ。ヴィー以外と結婚はしない」
「はいはい」
私の提案に子供のように拗ねるアイク様を見て、フィル兄様は呆れている。
「フィル兄様は?」
私は独身のフィル兄様に振ってみた。
「私は無理。あの手のケバイ女は苦手だ。それより本当のところはどうなのかあの女に聞いてみないといけないな。ライアン様に尋問をたのんではどうでしょう」
「ライアン叔父上か」
ライアン様は国王陛下の弟殿下で年齢は多分アイク様やフィル兄様より3歳くらい年上だと思うが、お城に籠って何かの研究をしているようで引きこもりの私はまだ一度もお会いしたことはない。
「父に話してみる。このままではナムーリ国と戦争になるやもしれんしな」
アイク様は難しい顔をしている。戦争になどなると困る。
それにしても22歳で売れ残りか。本当に国を乗っ取るつもりなら仕方ないが、そうでないなら、バレたら死刑になる禁忌の魅了の魔法を使ってまで結婚しなきゃいけないなんて大変だな。
私なんて前世では35歳で彼氏もいない喪女だったけど、周りはもう諦めていたので結婚しろとか言われなかったなぁ。
やっぱりこの世界は女が働くなんてありえない世界だから結婚が全てなんだろう。王女様なのに政略結婚の駒にすらなれないなんてなんともはや切ないなぁ。
次の日、アイク様の進言により、ナムーリ国の第3王女はライアン王弟殿下が魔法と魔道具を使い取り調べる事になった。




