悪役令嬢かよ?
ナムーリ国の使節団が予定を早めて来訪すると連絡が来たそうだ。我が国は予定通りに来ていただかないと対応できないと断ったが、視察したいので特に対応はいらないと返事が来たらしい。何がなんでも結婚式前に我が国に来たい様だ。
やはりお目当てはアイク様か? 私と結婚してしまえば正妃にはなれない。ナムーリ国としては第3王女を正妃にしたいのかな。
まぁ、私はどっちでもいい。どちらかといえば側妃の方がぐーたらできそうだけれど、公爵令嬢が側妃なんてありえないだろうな。私を側妃にするなんて言ったら、父は国に弓を引くだろう。
それにしても本当にそんな理由なのだろうか? だとしたらナムーリ国ってダメだな。
「ナムーリ国が来訪を早めたのはやっぱり殿下とヴィヴィの結婚前に来て、第3王女に殿下を誘惑させ、正妃に収まろうってことかな?」
フィル兄様は訝しげな顔をしてお茶を飲んでいる。
「魅了の魔法を使うかもしれない」
父がぼそっとつぶやく。
魅了の魔法? この国は生活魔法くらいで大した魔法はないが、ナムーリ国は魔法があるのか?
「殿下は魅了の魔法を無効化する魔法があるから大丈夫だろう」
無効化の魔法なんてあるんだ。私は驚いた。
「我が国にそんな魔法を使える人がいるのですか?」
父に聞くと父は笑っている。
「我が国は一般的には大した魔力は無く、生活魔法くらいしか使えないが、王族や高位貴族はかなりの魔力がある」
そうなんだ。初めて聞いた。
「だから他国の王族との婚姻は難しい。お前なら血筋も魔力も問題ない」
えっ? 私も魔力があるのか?
「私も魔力があるの?」
「もちろんだ。ただまだ使えんがな」
まだ? いつ使うんだ?
ナムーリ国の使節団は半月後にやってきた。私の結婚式までもあと半月。
「初めてお目にかかります。ナムーリ国第3王女のエリザベスと申します」
第3王女は凄い美人だった。しかもナイスバディ。身体のラインを強調したドレスを着ている。胸も3分の1位見えてる。あれは寄せて上げてるな。
一瞬、前世で見たキャバ嬢を思い出した。きっと前世なら見た目だけでナンバーワンになれると思う。
ナムーリ国はああいうのが普通なのか? それともアイク様を悩殺しようとしているのか?
アイク様は多分ロリコンだから、失敗だな。情報はちゃんと集めないとダメだ。
おっ、こっちにも来た。そりゃアイク様に挨拶するわな。
「エリザベスですわ。リズとお呼び下さい」
いきなり愛称で呼べとはエリザベス姫ちょっと勇み足だな。
「申し訳ないが、愛称で呼ぶつもりはない。私はアイザックだ。こちらは婚約者のシュラット公爵令嬢だ」
「お初にお目にかかります。ヴィヴィアンヌ・シュラットと申します」
アイク様が冷ややかな空気を出しながら私を紹介したので、カーテシーをしておく。
「まぁ、可愛らしい方ですわね。こんなに年の離れた婚約者なんてアイザック殿下が可哀想ですわ」
おっと、いきなり喧嘩売ってきたな。
第3王女はアイク様の腕を掴み胸をこすりつける。
パシッ!
アイク様が第3王女の手を払い除けた。
「誰が可哀想だ?」
アイク様の殺気で寒いんですけど。
第3王女は自分に自信があるんだな。男なんてベタベタして胸をこすりつけて上目遣いすれば簡単に堕ちると思っている様だ。魅了の魔法も使ってるのかな? ロリコンには逆効果の様な気もするけど。
「気分が悪い。失礼する。ヴィー行くぞ!」
アイク様は私の腕を引っ張り、謁見の間をあとにした。
「気持ちの悪い女だったな。ヴィー、部屋に戻ってスイーツでも食べよう」
第3王女様はアイク様を落として王太子妃になれとか言われてきたのかもしれない。妖艶なナイスバディの美女だから男はみんな堕ちるはず。
魅了の魔法でアイク様に取り入り、真実の愛を見つけたとかなんとか言わせて私と婚約破棄させる?
お〜、前世でよく読んだライトノベルの悪役令嬢モノだな。
私は悪役令嬢か?




