側妃?
「私は身体が弱く健康ではありません。以前に比べるとましにはなりましたが、そんな私が王太子妃など務まるとは思えません。もっと健康で聡明な方をお妃様にお選び下さいませ」
私は殿下にそう告げると頭を下げた。
「王太子妃でなければいいのか? それならば私と結婚してくれるか?」
何を言っているんだ? 王太子の奥さんは王太子妃じゃないか。
まさか側妃ってことか? 勘弁してくれよ。お妾さんなんて嫌だよ。
「それは側妃ということでしょうか?」
「殿下! いくらなんでも側妃は無い! 王太子妃であれば、嫌がるヴィヴィをなんとか説得しようと思ったが、側妃などとんでもない! 見損なった!」
私が側妃と口にしたとたん、隣にいたフィル兄様は頭から火を吹く位の勢いで怒り出した。
しかし、私は頭の中で、側妃ならいいかもしれないなぁ。
公務も無いし、ぐうたらできそうだ。
でも側妃ってお妾さんだよね。
夜のご奉仕は頑張らないといけないわけか。
無理だわ。私は前世でも喪女だったし、頑張り方がわからない。
上手くいかないもんだなと考えていたことはふたりには内緒にしよう。
「側妃などにするわけがない。妻にしたいのはヴィーひとりだけだ!」
殿下は大声を出した。
「とにかく私は殿下とは結婚致しません。お帰り下さい」
そう告げ、殿下と、フィル兄様を部屋の外に追い出した。
夜のご奉仕の無い側妃にならなってもいいけどなぁ。
でも、王太子妃に意地悪されたら嫌だし、やっぱりやめよう。
それにしても殿下はなんでそこまで私がいいのだろう? 見た目に騙されているのか? 中身はぐうたらな令嬢と、アラフォー喪女のミックスなんだけどな。
また、体調が悪くなったフリをして寝ていれば、やっぱり身体が弱いから王太子妃は無理と周りが思うだろう。
私はベッドに横になってゴロゴロしながら、逃れる術を色々考えた。
それからしばらく殿下からの接触はなかった。
諦めてくれたのかしら?
そう思いながらお菓子を食べていたらフィル兄様が慌てた様子で私の部屋にやってきた。
「ヴィヴィ大変だ! ナムーリ国の第3王女と王太子の縁談が持ち上がった」
ナムーリ国の王女との縁談?
やったー! これで婚約話も無くなるわ! 私はうれしくて踊り出しそうになった。




