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転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかなりたくない  作者: 金峯蓮華


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こんなにも好きなのに(アイザック視点2)

 手紙のやりとりは思った以上に楽しかった。ヴィーは本当に8歳なのかと思うくらいいろんな事を知っている。


 私の事は最初は病気か怪我をして動けない人と思っていたようだが、そのうちどこかの国の人質で軟禁されているかもしれない人だと思ったようだった。


 私たちは好きな本をお互い勧めあい、読んで感想やお互いの近況などを書いては交換した。


 ヴィーは読書のほかは刺繍が得意で菓子やお茶が好きだった。


 ヴィーの誕生日や何かの折にはプレゼントを贈ったが、あまり高価なモノは嫌がるので、花や菓子、茶葉、リボン、たまに小さなアクセサリーなど贈った。


 その度のお返しや私の誕生日には刺繍をしたハンカチや剣帯などをくれた。もちろんそれは私の宝物だ。


 そして、こっそりヴィーの姿を見るためにフィルをだしにして屋敷に訪れた。

いつもヴィーは中庭のガゼボにいた。

 見るたびに美しく成長していくヴィーに私の心は踊る。デビュタントが待ち遠しかった。


 ヴィー以外に結婚相手は考えられない。ヴィー以外ならもう結婚しない。

そう心に決めていた。


 デビュタントでヴィーの姿を見た時、もう我慢できなくて、フィルを押し退けヴィーの手を取ってしまった。


 ヴィーとダンスができるなんて夢のようだ。


 ヴィーはダンスがとても上手い。ダンスなど嫌いだった私だがヴィーとなら何時間でも踊れそうだ。

 こんなにダンスが楽しいなんて初めて思った。

 2曲続けて踊ったがまだ踊りたい。そう思っていた。


「さすがに婚約者でも無いのに3回連続で踊るのは困ります。離して下さいませ」

 ヴィーはそう言いながら私が握っていない方の手で私の胸を押し、離れようとする。


「婚約すればいいじゃないか。私はもうヴィー以外と踊りたくない」

 思わずそう口走ってしまった。


「大人の癖に何を言ってるのですか!」

 ヴィーは怒ったように大きな声を出したが音楽にかき消され、私以外には聞こえていない。


「わかった。いちど休憩しよう」

 そう言って一旦ホールを離れた私たちの元に公爵がやってきたので、私は公爵に『ヴィーと結婚するつもりだ』と告げた。


 公爵には父からデビュタント前に私の気持ちを伝えてもらっていたが、再度自分の口から告げた。


 そして、父の元に行き、私、ヴィー、父、母、公爵の5人での話し合いが始まったが、まさか、まさか、ヴィーに断られるとは思ってもみなかった。


 私はジェフの名で手紙のやりとりをしていて、ヴィーは私に好意を持ってくれていると確信していた。

 初めて会ったアイザックのことは好きでなくても私がジェフだと解れば結婚の話は受けてくれると思っていたのに。


 何故だ? 何故断る?

もう、手紙も受け取らないなんて私はどうすればいいのだろう?


「フィル、私はどうすればいい? どうすればヴィーは私と結婚してくれるんだろう?」

「知りませんよ。そんなに結婚したいなら陛下に頼んで王命にして貰えばいいのではないですか。王命ならヴィーも従うしかないですからね」

 フィルに聞いてみたが面倒くさそうにそんな事を言う。


 王命か。

できれば王命ではなく、ヴィーの意思で私の元に嫁いでほしい。

私を好きになってほしい。


 やっぱり公爵の言う通り私の勇み足だったのか。

困った。本当に困った。


 ヴィーに会いたい。会って話がしたい。


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