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十九日目 今日が九月の十日か、そうか
書いた量は、計14ページ。
残りの日数は、20日になる。
ここから先が書けない。
何でかは分からない。
いや、調子に乗っていたのかも知れない。
今更ながら、自分の見通しが甘かったという事を感じざるを得ない。誰かができているからとか、何となくでも書けるだろうとか、思っていた。
俺には才能がない。
面白みもない。
空っぽな人間だ。
そんな人間が人の心を動かすような作品を書けるだろうか。書ける訳がない。よしんば、作れたとしてもそれは上っ面だけの慰め程度の言葉の羅列でしかなく、鬼気迫るような勢いも拍車も狂気もない。
今になって思う。
僕はまだ人を描けていない。
人が表現し得る感情。そのものを描ききれていない、日常生活で感情の浮き沈みを体現するような者は少ないが、人は偶にこういった言葉によって表現する空間においては如実に直感的に瞬発的に表す事がある。
だと言うならば、まだ僕は人の一側面でしか物事を見れておらず、または表現し切れていない。
まだだ。
僕はまだまだだ。
だが、よく分からない。




