疑惑のメモリー、お前の記憶は正常
「何故だ?」
これが最初の感想だった。
ゲーム中に突如起きたブルースクリーン。
何気なくPCを強制終了し、立ち上げた画面に表示されたのもまた、ブルースクリーンだった。
「おかしい」
何度も再起動を繰り返し、その度にブルースクリーンが表示される。
表示されるタイミングは毎回同じ。
Windowsのロゴが表示され、LOAD中みたいなくるくる回る表示が途中でフリーズし、ブルースクリーンへと至る。
自動修復も失敗どころか途中でブルースクリーン。
もちろんセーフモードでの起動なんて出来ない。
ここでやっと僕は理解する。
PCのパーツが何か不具合を起こしていると。
しかし、ここでも僕には妙な余裕があった。
なぜならば、以前にも起動できない状況を体験していたからだ。
だから僕は以前同様に原因をあのパーツによるものだと考えた。
メモリーだ。
こういうのは大体メモリーのせいだ。
メモリーを抜き差しして直ることが結構多いのだ。
仮に抜き差しでダメなら買い直せば良い。
メモリーはパーツの中でも比較的安いものなので、そんなに痛手ではない。
ということで、僕はPCケースを開けて、メモリーを抜き差ししてみた。
これで直るはずだと念じ、再びPCの電源を投入する。
結果。
こんにちはブルースクリーン。
直らなかった。
抜き差ししても、入れ替えて差してみても変わらない。
では買い直さなくてはならないのだろうか?
僕は少し頭を落ち着かせ、少し考えた。
「ん?」
よく考えたら、ブルースクリーンにメモリーの異常を示すメッセージはなかったな。
それに、メモリーに異常があった時はブルースクリーンではなく黒い画面にメモリーダンプ……何とかかんとか……って表示があった気がする。
これは何か違うケースなのでは?
こうして僕は、PCの故障について色々調べてみることにした。
「なるほど、色々な故障のケースがあるんだな。それにメモリー以外にも影響しそうなパーツが色々」
そう思いつつも、僕はメモリーへの疑惑を捨てきれずにいた。
ただそれは、メモリーの交換だけで済むのであれば楽だからという理由に他ならない。
そしてメモリーの故障を調べる方法を学んだ。
Memtest86+。
これがメモリーチェックのソフトらしい。
OSを起動しなくても動き、メモリーの動作をチェックする。
問題があればエラーを吐くというものらしい。
早速僕は部屋の隅に引きこもっていた古いノートパソコンを数年ぶりに起動し、ネットからMemtest86+をダウンロード。
それをUSBに入れ、故障した自作PCに突っ込んで動作させた。
Memtest86+は特に何の操作も必要なく勝手に起動した。
昔のBIOS画面みたいな表示が出て、何かをしきりに調べ始める。
僕が載せているメモリーは全部で32G。
Memtest86+のチェックは1周大体1時間半くらいかかった。
結果、エラー無し。
Memtest86+のチェックは数周させるのが良いらしいという情報を後から知り、しばらく時間を置いてプラス2周ほどさせてみたが、こちらもエラー無しで完走した。
ネットの情報だとMemtest86+で問題なくともメモリーが原因である故障はあるとのことだが、その可能性は表向き排除することにした。
表向きというのは、やっぱりメモリーが原因なら直すの楽なのにな、という感情から来るものである。
ひとまず、メモリーは悪くないらしい。
この事実に、僕は若干不安になった。
だったら何が問題なのだろうと。
ちなみに、目視による確認や各パーツ接続の確認は既に終えている。
そもそも三ヶ月ほど動いていたのだから、動作可能な構成にはなっているはずなのだ。
目に見えない部分の故障。
ブルースクリーンのメッセージを解読した結果、問題はデバイスの異常か、システムの異常らしい。
もしくは相互に作用し合って問題を起こしていると。
そこで僕はシステムの異常を疑ってみた。
BIOS画面は立ち上がるし、それぞれのパーツも認識していることを確認している。
ならばハードでなくてソフトな問題だと思ったのだ。
つまりSSDに入っているOS関係のファイルが何らかの理由で破損し、読み込み出来ないのだと。
ならば新しいSSDにして、Windows10をインストールし直せばいい。
元々僕がOSを入れていたSSDは120Gの容量であり、結構な圧迫状態だった。
そして容量確保のため、不要そうなファイルを消したり、スリープモードを切ったりすることで容量を無理矢理確保しようとしていた。
この行動がOSに悪影響を与えた可能性はある。
それに新しく容量の多いSSDに変えるための出費は、あんまり痛くない。
そう思った僕は早速250GのSSDを購入し、入れ替えてみた。
これでOSを入れ直せば直るはず!
僕は希望を胸に電源を入れた。
絶望がまだ続くことを知らずに。