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乱入者

 

翌日。授業中。


「ふぅん? ここが古瀬川学園か。最低ランク校だけあって施設はさびれてっけど、どうやら今年はSランク続々らしいし、偵察しとくか。」

金色の長髪、眼が髪で隠れていて、黒いロングコート、インナーはベージュ色のセーター。下はスカート系も履いていないが、魅せパンを中に着用している女が言う。


すると、その女は…


ガッシャアァァァァンッ!!


と、学園の校門を能力で壊し、それを持つ。

その壮大な音で全校生徒が注目する。


「…さすがに無礼者だな。いきなり殴り込みかよ」

と大声で怒鳴ったのは、香宇こうだった。


するとその女は、怒鳴った香宇に、その校門を投げつけた。

その投げた速さは尋常ではなく、弧を描くことなく一直線に、香宇めがけて飛んできた。


「…アタシじゃなかったら死ぬぞ、それ」

と言いながら、香宇は、その校門を避けることなく蹴り、その女めがけて、同じように弧を描くことなく一直線に、返した。

「やるなぁ、貴様…!」

しかし、返された校門を、超高温の熱で溶かして消した。

「…っ」

それを見た香宇は、自分の教室(3階)の窓から飛び降り、勢いよく着地した。


「香宇!!」

彼女を呼んだのは、曽江川だった。

「気を付けろ。その女は、去年の個人戦第3位、ランクSSの能力“神撃操作オーバーロード”の使い手、貴ヶ原たかがわら高校3年、紗原さはら 憂那ゆなだ…!」


そう。彼女は去年、曽江川に圧勝し、第4位にさえも圧勝した第3位、紗原 憂那。

力量パワーが圧倒的すぎて、誰も手も足も出なかったと言う。


「…そんな強豪が、こんな弱小校に何の用なんだよ?」

香宇は、怒り気味に問う。

「弱小校のハズなのに、Sランク…いや、Sプラスランクが居るってのが異例の事態でな。ちょいと偵察に来たんだが、手合わせしてくれねぇか? お前でいいから」

と、答えながら挑発する憂那。

「…いいよ。アタシは“柑崎かんざき 香宇こう”だ。よろしく、紗原さん」

と承諾した直後、すぐさま憂那に攻撃を仕掛ける。


光を操って目眩ましし、獄炎覇掌フレイムウェーヴ…炎を腕にまとって放出。

しかし、

「その程度か」

と、憂那は、光を視界から遮り、獄氷吸引アイスバキューム…氷で受け止めた。


「やっぱ第3位だけあって普通じゃねぇな」

そう言いながら香宇は憂那の背後に回り込むも、見越されていたかのように憂那は振り向いていて、反撃用意していた。

「貴様も異常に速い。アタシは追えるがな」

香宇の腕を鎖と縄で拘束しながら、憂那は言った。


「…その程度の拘束で捕まえられるとでも…」

鎖も縄もほどこうとしたが、異常な強度でほどけなかった。

「…普通の強度だと思うなよ?」

なんと憂那は、永続的に再構築する術式で、縄と鎖を構造していたのだ。

「…なら。この術式を解けばいいだけ…」


破壊しても再構築される術式であることを何度も破壊しながら察し、永続構築の術式解明に集中力を働かせ、縄も鎖もほどいた。


「…っ」

それを体感し、驚いた憂那。だが、それもつかの間。いつの間にか香宇を必殺できる射程距離内に居て、

「…降参だ。今のアタシじゃ勝てない」

と、香宇は降参した。


その時、もう一人、誰かが来た。


「…紗原。さすがに校門を壊すのは、やりすぎだ…」

異常な雰囲気をまとった、左手薬指に、紫のダイヤモンドを埋め込んだ指輪をしていて、金色の長髪ウェーブ、紫色の肩広セーター、インナーは水色の丸首VネックTシャツ、ぴったりフィットした黒い長パンツ、灰色の運動靴を履いた女が、そこにいた。


「…柑崎、だったか。お前の能力とランクは分かった。育てれば紗原にも勝てるくらい素晴らしい能力だな。期待している…」

どうやら彼女も、偵察に来ていたようだ。

「…あんた、誰だ?」

と聞くと、その問いに答えたのは曽江川だった。


「香宇。その女こそ、解析不明の能力で最強の世界1位“羽狩森はがもり 輝夜かぐや”だ」


「…なっ!?」

さすがの柑崎でも、すぐに手を引いた。

「あんたが、羽狩森さん、か…」

驚きすぎて動けない香宇の横で、憂那は輝夜に抵抗した。


「羽狩森…。今ここで決着を着けてやる…!」

と言ったのも束の間、いつの間にか、数秒ほどで憂那は打ちのめされた。


「…えっ?」

さすがの呆気なさに、香宇も由真も、他の生徒達も、立ち尽くしていた。

ただただ、その光景を見ているだけ。


「…分かったら、さっさと貴ヶ原高校に戻れ。」

強い口調で憂那に言ったあと、

「柑崎、悪かったな。紗原が邪魔した…」

と謝罪した。


「いえ、大丈夫です。ありがとうございます…」

異常な強さにポカーンと呆気に取られながら、同時に思った。

(…拮抗して戦っていた紗原さんを、いとも簡単に瞬殺するなんて…。ホント、とんでもない強さだな。メチャクチャだ…)

と。圧倒的すぎて手が出せず立ち尽くした。


その戦闘後の校庭は、ひどくひび割れていた。

「…一瞬で、この破壊力…。とんでもねぇな、ははは…」

笑みを浮かべ、手が震えたまま闘志を燃やす。

「…団体戦も個人戦も、あのレベルの猛者が居るんだな。修行しねえとな…」


……そして授業に戻り、終わって放課後。

前日までと同じように、奈那と優は同時並行の修行。

由真は香宇と蓄積のための修行。

千紗は、スピードを殺さないパワー修行(主に筋トレ)。


「…同時並行も、だいぶサマになったな。昨日は一瞬しか出来なかったのに、今日は数秒は保つようになってるし。…この調子なら、間に合いそうだな?」

香宇は、4人の様子を同時に見ながら、優を励ます。

「…曽江川さんも蓄積してきてるし、あとは千紗だな。試合前までにパワーが上がれば、きっといい結果を残せる…!」


団体戦開始まで、あと1ヶ月………ーーーーー


 

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