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スラムでの日常2(スラムの常識)

更新だいぶ遅くなってすみません。

この度感想をもらい、「そう言えば書いてたっけ」ということを思い出し投稿しました。

気付けば半年たってるんですよね…。

若干書き方を忘れている節もありますが、趣味のレベルということでご容赦ください。

これからは都合着き次第投稿していこうと思います。

たまに覗いていただければ幸いです。よろしくお願いします。m(__)m

スラム。それは社会の縮図だ。

強いものが生き残り、弱いものが死んでいく。

それが最も明確に表れるものがある。


それは“食料”である。


食料を得た者は強い。

食べた者は食べていないものより活力があり、それ故に弱者から奪う力が強い。

奪えば奪うだけ他者と差が開き、より奪いやすくなるのだ。


それが『スラム(ここ)での“常識”である』とその男は思っていた。


その男、名をバザンという。

バザンは最初、虐げられている側だった。

生まれた時からスラムという掃き溜めにおり、生んだ母親もすぐに死んだ。

その後は地獄だった。


人同士が少ない食料を争って奪い合い、せっかく手に入れたと思った食料を他の奴が横から奪い取っていく。

奪われたものを他の誰かが奪い、元は誰のものだったのかもわからない。

それが当たり前の世界だ。


守ってくれる人間はいない。いるのは敵だけだ。

だからバザンは全力でいきたった。

他の誰よりも早く奪い、口に入れ、もう奪い取れないようにした。

その後はボロボロになった。

怒ったおとなにボコボコにされたのだ。

だが、ある時からそれは一変する。

誰よりも多く食料を口に入れたバザンは他の誰よりも大きく“育った”のだ。


体格が良くなると、バザンはスラムの中で無類の強さを発揮した。

今まで威張っていた連中をぶっ潰し、誰より多くの食料を手に入れた。

もう誰もバザンに勝てる者はいなくなっていたのだ。


故に思う。


“食”は“力”だ。





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





“食”は“元気ちから”である。


それこそが少女の“常識”だ。

食べると元気が出る。

美味しいものはもっと元気が出る。

皆で「おいしっ」するともっともっと美味しくて元気が出る。


それを少女はスラム(ここ)で学んだ。


始まりはとある出会いである。

少女がクッキーの入った袋を抱えて歩いていると、ある一団と出会った。


その一団は食べ物の奪い合いに敗れ、少しでも力を消費しまいと身を寄せ合って固まっていた。

この集団には仲間意識はない。

ただ、そうした方が楽だから一緒にいる。ただそれだけだ。


「おじちゃん、どしたの?」


無邪気な少女は質問した。

それに聞かれた男の一人は顔を背ける。


「おじちゃん、どしたの?」


少女は隣の男に同じ質問をする。

今度はギロリと少女を睨んだ。


「おじちゃん、どしたの?」


少女はまたその隣の男に質問する。

今度の男は虚ろな目で少女を見る。だがそれだけだった。


「にーに、どしたの?」


少女はまた隣の男の子に質問する。

それは集団で唯一の子どもだった。

膝を抱えて呪詛のように何かをぶつぶつ唱えている子ども。

少女はそれをなんとなく聞き取り「こんなはずじゃなかった。もっと上手くいくはずだったんだ。なのに、なんでこんな…」そんな言い訳のようなセリフの羅列。

少女は全く理解できなかった。


それからも少女は質問する。

集団は総勢8名。

その全員が少女の質問にまともに返さなかった。


少女はそんな集団の手を取った。

一人ずつ手を取り、その上にクッキーを一つずつ載せていく。


「はい」「ん?」

「はい」「なんだよ?」

「はい」「ぅ?」 

「はい」「え?」 

「はい」「あ?」

―――


パクッ


渡し終えるとクッキーの中身は一つだけだった。

少女はそれをかじる。


「おいしっ(モグモグ)」


齧った少女は笑顔だった。

口をモグモグさせている少女は本当に幸せそうで、酷く場違いだ。

だがクッキーを食べるその顔は本当に美味しそうで、“それ”と同じ物が自分の手の中にあることに男たちはその時始めて気付いた。


誰かが震えながら手に持った“それ”口に運ぶ。

ガリッ


「うっ、うぅぅぅ・・・」


食べた者は涙を流した。

「食いもんだ。食える。すげえ、この食いもん、すげえ」


男はクッキーを少しずつ食べながら「すげえ」「すげえ」と言い続ける。


「これは、おいしっ。すげぇ、違う。おいしっ」

「ああ、ああっ。おいしっ、おいしっ、だ」


その様子を見ていた他の者も手にしたクッキーに恐る恐る口を付けていく。

誰にも“奪われない”、既に自分の物になったクッキーを。


そして全員が言った。「おいしっ」と。少女の口真似をするようにその言葉を連呼した。

誰もが思った。


この一欠片のクッキーは、今まで口にしたどの食物よりも「おいしっ」ものだと。


そして、それは少女も同じだった。

美味しい物は皆で食べた方がもっと美味しい。


その時クッキーを食べた者達は元気になった。

故に少女は思う。


“食”は“元気ちから”だと。



今回の話は、スラム編での伏線回。及び説明会ですね。

こういう人物がいるよ。

スラムで育った人物はこういう価値観を持っている。というのをテーマに主人公と典型例を対比させてみました。

こういうのを文章的に「遊び書き」というのでしょうか。

時折こんな感じで書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

……最強要素はいつ書こうか

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