戦争の始まり (3)
ハイドが久しぶりの夜間警戒に向かってから、ヨシノは一人で淡々と自分の仕事をこなしていた。ハイドが仕事をしている間は、従業員の自分も働いていないといけない。ハイドからそんなことを言われてはいなかったが、ヨシノは勝手にそう考えて働いていた。
しかし、ハイドは一晩中働いていてヨシノがその時間を完全に追従することはできない。食事も取らないで作業をしていたヨシノは、ホウカが店を訪れたときにようやく手を止めた。
「……まだ働いてるの?ハイドが見ていないところで働いてもお金にならないかもよ?」
ホウカはたびたびヨシノのこのような姿を見ている。ホウカにはヨシノの行動の意味が分かるようで分かっていなかった。ヨシノは、自分がお金のためにしているわけではないことをホウカに理解して欲しいと思っていたが、今更になって反論はしなかった。
「お茶でも淹れましょうか?」
「いい。そんなことより早くお風呂に入りに来なさいよ。ずっと待ってたんだから」
「そうだったんですか。すみません」
ヨシノはその時になって今の時間を把握する。すると、ホウカと約束している時間を少し過ぎていた。ホウカに怒っている様子はなく、ヨシノに用意をしてくるように指示している。ハイドが一緒にいる時は、時間になるとホウカの所に行くように指示してくれる。しかし、ハイドがいない夜間警戒の時は、いつも時間を忘れてしまっていた。
風呂でお世話になって以来、ヨシノはホウカという人間をおおよそ理解できてきていた。出会い方が最悪だったこともあって最初はお互いがお互いのことを警戒していたが、今では他愛もない雑談ができるほど関係は良好である。ハイドが言っていた通り、ホウカが良い人だとヨシノはしっかりと認識していた。
一時は客が増えていた宿屋だが、最近は閑古鳥が鳴いている。ホウカがそれを口にすることはもちろんないが、それを遠回しに伝えてきてはきていた。その話をまとめると、冬の時期は街と街の移動も一苦労となり、道を間違えるようなことがあればそれは死を意味する。そんなこともあってメンデレーに訪れる人が少なくなっているということだった。それはヘリー修繕店でも同じことである。
しかし、ハイドとホウカの店がそれぞれ違った方法で生活をやりくりしていることをヨシノは知っている。そんなこともあって、ヨシノはホウカとのその話を好んでいなかった。
「ちょっと外に出ただけでこんなに冷えるなんて」
ホウカは、宿屋とヘリー修繕店を往復したことで体温を奪われてしまったと主張する。ヨシノは苦笑いを浮かべながらかけ湯した。その瞬間、ヨシノの体は開放感に満たされる。
「ずっと家の中にいるっていっても寒いでしょ?一人でいる時は暖炉の火を弱くしているみたいじゃない」
ホウカはハイドがいないときのヨシノの生活について話す。
「確かにそうかもしれないですけど、雪に降られていないだけ部屋の中はまだマシですから」
ヨシノは、ホウカが些細な努力に気がついていたことに少し驚く。しかし、外から入ってもヘリー修繕店が暖かくない空間だったとすれば、そのことに気がつくのは当然だった。
「あまり無理しちゃダメよ。ハイドの事を気にかけてそんなことをしているんだろうけど、別にヨシノが負担しないといけないわけじゃないんだから」
ホウカはヨシノに助言する。ホウカは、ヨシノが何を考えてそんなことをしていたのかすぐに理解できていたのだ。ヨシノは悴んでいる指を湯に慣らしつつ、笑って答えるだけにしておいた。
この風呂は、ハイドがいつも使っている風呂とは違いかなり大きい。これを沸かすためには大量の薪が必要なはずで、客が来ていない時にそんな量を使うことはただの出費でしかない。ホウカがヨシノに気にかける必要はないと伝えていたばかりだったが、それでもヨシノは今日も長居はできないと考えた。四ヶ月が経った今でも、立ち位置を気にしていたのだ。
ただいつも、ホウカと話していると勝手に時間が過ぎてしまう。今までにない経験が、ヨシノの考えを曖昧にしていた。
それからしばらく、二人はお互いに話すことなく体を温めることに専念した。ハイドは今でも真っ暗な街の外を見つめているはずである。ヨシノがやって来たどこか遠くもハイドの視線の先にある。残り二ヶ月という数字が、ヨシノに次の準備をするように伝えていた。
「……ところでさ」
体温がそれなりに上がったからか、ホウカは両腕を水面から出して頭の上に置いている。そんな状態でヨシノに話しかけてきた。
「ヨシノはあと二ヶ月が経ったらどうするの?」
ホウカは何気ない様子で質問してくる。ただ、そのことをちょうど考えていたヨシノはホウカのことを見つめてしまう。
「それは……新しい場所を探してそこで生活すると思います。故郷には戻れそうにないので」
「それは国籍が連邦じゃなくてフリースになったから?」
「それもあります。この国の人間だと割り切ってしまえば行くことはできるんですけど、中々そんなことをしようとは思えなくて」
今のヨシノはフリース共和国の一員として認識されている。しかし、ヨシノの心の中にある場所はいつでも故郷のフィッシャーである。自分が連邦にある故郷で生きていたことを捨ててまで、故郷に戻ることなどできるはずがなかったのである。何よりもその場で待っている家族に合わせる顔がなくなる。
「それならどこか行く当てはあるの?」
ホウカは故郷に戻れないということに関して深く掘り下げてはこない。その代わり、ヨシノが困る質問を投げかけた。ヨシノは体を小さく丸め込めて黙ってしまう。
ヨシノには、この街の他に次の生活の拠点になりえそうな目当てはない。それはヨシノがこの街で生活を始めてから、次の生活拠点を探そうとしていなかったからである。今の今まで資金を集めることが重要だと考え、同時に新しい技術を手に入れることばかりを考えていた。それが正しいと信じて疑っていなかったことが裏目に出ていた。
「そんなことだと思った。ヨシノが頑張っているところはよく見ていたけど、だから気になってた。……二ヶ月が経ってもまだ冬は終わってないし、遠くに行くことはできないと思う。当てがないのならなおさら」
「そうですよね。分かっていたはずなんですけど」
ヨシノは今更になって自分がどうして大切なことを後回しにしていたのか後悔する。そうして再びヨシノが黙り込んでしまうと、すぐにホウカが話を続けた。
「まあ多分なんだけど、行くところがないってハイドが知ったらきっとまた店に置かせてくれると思う。ハイドの性格的にそうだと思わない?」
「それはそうかもしれませんけど、決して私はそんなことを考えていた訳では……」
「そんなこと言ってないでしょ?どんなにハイドが良い人だったとしても、ヨシノがずっとあんな生活をしていくのは大変だと思う。……ハイドのことが好きじゃない限り、そんなことを望むとは思えないから」
「す……好きですか?」
ホウカから飛び出した単語にヨシノは焦る。対するホウカはヨシノの反応を見て不思議な表情を見せた。ヨシノはすぐに言い返す。
「店長からしてみれば、私はただの荷物です。大した仕事もできないのに寝るところや食事を用意してくれていて、本当に良い人だと思います。冗談じゃなく店長ともっと早くに出会うことができていれば、私の人生はきっと大きく違っていたと思います」
「なるほどね……それで?」
「それでも店長のことを好きなんてことはないです。それは確かです」
ヨシノははっきりとホウカに伝える。ハイドを信頼していることは事実である。尊敬していることもである。しかし、ホウカが気にしているような心の変化を感じたことは一度もなかった。
それに加えて、ホウカがどうしてそんなことを聞いてきているのかヨシノは良く理解している。ホウカは隠そうとしていることを全く隠しきれていない。せっかく追及の機会を得られたヨシノはそれをしっかりと活用することにした。
「でも、どうしてそんなことを聞いてくるんですか?私がそんな想いを持っていると思わないといけない何かがあったんですか?」
ヨシノは形勢逆転を試みて問いかける。ホウカは自分で気がついていないようであるが、隠し事が下手で不器用な人間である。ホウカとそれなりに仲良くなった証としてヨシノは悪巧みを考えていた。
「……そういうわけじゃないけど」
案の定、ホウカは何かを隠すように顔を背ける。ヨシノは分かりやすいホウカの態度が可愛く見えた。隠そうとしているところが本気であることを証明していて、ヨシノはどうしてか温かい気持ちになってしまう。
「何か隠してますね。何を隠しているんですか?私と二人きりでも話せないことですか?」
ヨシノは分かっていないふりをしてホウカの一つ一つの変化を楽しむ。ホウカは不自然に体を動かしていて、時折顔に湯をかけて証拠隠滅を図っている。
「何でもないから。……最近、私に変な話をするようになってない?まるで馬鹿にしているような」
「そんなことはないです。今回もただ気になっただけで」
ヨシノはすぐに返答して、これ以上ホウカに疑われるようなことはしないでおく。ヨシノはすでにおおよそのことを掌握している。今更強引に知りたいことはなかった。
ホウカの本心を再確認してから、ヨシノは色々なことを考えた。ホウカがちょっとしたことでヨシノに意見をぶつけてくるのは、ただの嫉妬だと分かっている。それが悪いことだとは考えていない。当たり前の反応だとヨシノは思っていた。
しかし、残念なことにハイドはこんな分かりやすいホウカの感情に全く気がついていない。四ヶ月間の二人の関係を見ていて、ハイドがホウカのことを昔からの知り合い程度に考えていることがよく分かったのである。ハイドのことは単純に鈍感であると評価するしかなかった。
今日もホウカが自らの感情を隠して、話は終わってしまう。ヨシノは、ある意味での二人の雪解けはメンデレーに春が来るよりもずっと時間がかかると予想した。きっと、その雪が溶ける頃には自分がここにはいないことも予想できた。
ホウカが全く口を開こうとしなかったため、ヨシノは体を洗うために浴槽から出ようとする。風呂に入り始めてから時間が経っていたため、浴室の中も暖まっていて寒さで身を震わせるようなことは起きない。
そうして動き出したとき、そんなヨシノの背中にホウカは話しかけてきた。
「……ヨシノはもう私の思っていることが分かっているんだよね」
ホウカの声が浴槽内に響く。ヨシノは動くことをやめて振り返る。ホウカはヨシノのことを見つめていた。
「さすがに。隠そうとしていたみたいですけど、すごく分かりやすいですから」
ヨシノは正直に話す。そしてもう一度湯の中に腰を下ろした。ホウカはそれを聞いて照れくさそうにしている。
「たった数ヶ月しか経ってないのにヨシノの方が先に気付いちゃうんだもんね。ちょっと納得できないなぁ」
ホウカは笑って話す。誰のことを念頭にしているのかなど言うまでもない。
「私が邪魔になってますよね。ホウカさんのその気持ちに気がついてからそんなことを思ったりしています」
「邪魔なんてことはない。でも、ヨシノがもし……って考えることはあった。馬鹿みたいだけどそれが一番怖くて」
ホウカは恥ずかしそうに顔を俯かせる。ヨシノは今まででこのような繊細な感情に触れたことはない。そのため、理解者となってあげられずに少しばかり困惑した。
「いつからなんですか?その……店長のことを好きになったのは?」
ヨシノはこの場の雰囲気に便乗して質問する。一見いがみ合っているように見える二人の関係が、どのような道を進んできていたのか気になったのである。
「ハイドがこの街にやって来たときは特になんとも思ってなかったかな。同い年の子供だったけど、性別は違うし、それにお互いが家の手伝いをしないといけなかったからちゃんと話す機会もなかった」
「顔見知り程度だったんですね」
「そう。だからその時は何も思わなかった。……実はね、ハイドがこの街に来てから八年が経ってるんだけど、ハイドと今みたいに普通に話をするようになったのはほんの三年前くらいからなの。だから最初の五年間は本当に顔を知っている程度でしかなかったっけ」
「そうなんですか!?」
ヨシノは衝撃の事実に驚きを隠せない。出会ってから親しい仲になった期間の方が短いなんてことがあり得なかったのだ。普段の様子を見ていると、何十年の付き合いだと言われても納得してしまう。
「お互いの関係が変わったのはヘリーさんが亡くなったときだった。それまでのハイドは、仕事に真剣で私や他のことに全く興味を示していなかった。ヘリーさんが亡くなる一年前くらいから自警団に所属して、そこでアルと知り合ったみたいだけど、それでも今ほど仲が良かったわけじゃなかったし」
ホウカは昔のことを話す。ヨシノにはそんなホウカの楽しそうな表情が映っていた。話しているだけで心を躍らせていて、ヨシノはホウカのことを羨ましく感じた。
「ヘリーさんが亡くなった後すぐは、本当に自分で死んじゃうんじゃないかなって思うくらい無気力な生活をしてた。自分で何かをしようとしないで、食べ物を口にしようともしなかった。今のハイドからは信じられないでしょ?」
「どうしてそこまでに?」
ヨシノはヘリーがハイドの師匠であるということだけは知っていた。しかし、ハイドとヘリーがそれ以上にどんな関係であったのかヨシノは全く知らない。ハイドのことが気になっているわけではなかったが、それでも興味をそそられる内容ではあった。
「どうしてなのかはっきりとしたことは私も知らない。ハイドにも故郷があるはずだけど、それを私に教えてくれたことはない。私が聞いてみてもいつもはぐらかして教えてくれないの。だから私もそれを聞くことはやめた。……でも、今になって考えたらそのことがあの時のハイドの様子に関係しているのかもしれないなんて思ったり」
「……それで、ホウカさんはどうしたんですか?店長が弱っているときに」
ヨシノはハイドがどのようにして立ち直ったのかを質問する。ホウカの方から話題にしてきていたため、ホウカが何かしら関係していることは推測できていた。
「何って、最初に大変だったことはヘリー修繕店をどうするかってことだった。ヘリーさんが今まで仕事をこなして軍からお金をもらっていたけど、ハイドだけになっては頼りないと判断されたから。だから街の中でヘリー修繕店に報酬を出すということに反対する人がたくさん出てきた。ハイドは自分のことを守るためには何もしなかったけど、その時はヘリーさんと同じだけの能力が自分にもあるって証明しようとしてた。後から聞いた話なんだけど、ヘリーさんと店を継ぐってことを約束していたみたいで」
「……今とあんまり変わらないですね」
ヨシノはヘリー修繕店の立ち位置を聞いて感想を述べる。ハイドは毎月街の人から税金から報酬を受け取っていることを非難されている。それは昔も同じようだったのだ。
「そうね。私が今でもハイドを少し助けたりしているのは、決して私がハイドのことを好きでいるからだけじゃない。あのときのハイドを見ていられなくなって、どうしてか手伝ってあげたことから続いているだけ。その時はハイドのことを全然なんとも思っていなかったはずだから、私もどうして自分がそんなことをしたのか疑問に思ってる」
「何をしたんですか?」
ヨシノは昔の話にわき道をどんどん作っていくホウカに、結論だけを話すように求める。ホウカがどうしてハイドを好きになったのか、そのことをまだ全然聞けていなかったのだ。
「ただ手伝ってあげただけ。軍の人と一緒にハイドの手伝いをして、議会場内でハイドの技術を証明するために協力した。ハイドの見分ける能力がヘリーさんの代わりを務められるほどだってことを時間をかけて証明したことを覚えてる。私が手伝ったのはただハイドに小道具を渡したりするだけだった。……まあ本当は、ハイドが変な行動に出ないか監視していただけなんだけど」
「……」
ホウカは楽しそうである。ヨシノとしては核心の話を早く求めていたが、それでも今のホウカのことを止められそうにはなかった。
「ハイドを好きになった瞬間はなかったと思う。気がついたらハイドのことを気にして勝手に目で姿を追っていたりしてた。勝手な解釈だけど、ハイドがすごく約束を大切にする人で、信念を曲げることを嫌っていたから私は興味を持ったんだと思う。それで、ハイドの優しさとか正義感とかに触れている内にこんなことに」
ホウカは恋をしている。それを感じたヨシノは不思議な感覚で受け取っていた。ホウカが軽快に話をしていることをヨシノは疑問に感じている。なぜなら、ヨシノが知っているホウカの性格ではその事実は考えられないことで、ヨシノに話してもホウカには何の利益もないのだ。ヨシノがこの話をハイドに伝えることは決してない。それでも、自分のことをこれほどまで信頼しているホウカの考えが分からなかったのである。
「……ホウカさんがそんなことを話してくれるとは思っていませんでした。特に私には初めから良い印象を持っていなかったみたいだったのでなおさら」
「まあね。私はハイドが管理している指輪とかアクセサリ-の意味を知ってた。だからそれを盗もうとしたヨシノのことが最初は許せなかった。……でも、ヨシノがどんな人なのかを知っていってからは色々と考えることが変わった。一つのことを除いてはなんだけどね」
「本当に店長のことが好きなんですね」
ヨシノはホウカの新しい一面を知って色々なことを思い巡らせる。一番気になったことは、それをハイドが聞いたときにどのような反応を見せるのかということだった。ハイドは間違いなくホウカの気持ちに気がついていない。衝撃を受けるのか、それとも簡単に受け入れるのか、どちらにしてもヨシノには気になって仕方がなかった。
「でも、ヨシノがハイドのことをなんとも思っていないみたいで良かった。私は何事も回りくどいことは嫌いなんだけど、このことだけは強気になれなくて。だから、もしヨシノがハイドのことを好きだって言っていたら、きっと笑ってごまかしていたかもしれない」
「無理ですよ。一人を除いて誰が見ても分かるほど、ホウカさんの本心は溢れています。誤魔化すなんてこと、きっとできていなかったと思います」
「……そうなのかな」
ヨシノはホウカの弱点とも言える箇所を指摘したのにもかかわらず、どうしてか恥ずかしそうにしながらも嬉しそうにしている。それが意味していることは極めて簡単なことで、ヨシノはこれ以上何を話しても意味がないと感じた。
ホウカはヨシノが思っていた以上に普通で、繊細な心を持っている。そのことを再確認したヨシノは、これ以上のろけ話に付き合うことはできないと考えて、今度こそ体を洗うために浴槽から出た。ヘリー修繕店に戻ってから、どんな顔をしてハイドのことを迎えようか。そんなことも考えて、ヨシノもホウカの抱いている感情を心の内に秘めることにした。
ハイドとホウカはお似合いの二人である。お互いがお互いを必要としていて、その中でホウカは恋愛感情を芽生えさせている。そのことを考えると、なぜかハイドが悪いことをしているような気もした。
ただ、ヨシノが関与するのはあくまでもホウカと話すときだけである。それ以外でホウカを助けることも、そうでない何か別の行動を取ることもしないつもりでいた。二人が共に生活してきた時間は、ヨシノがこの土地で過ごした時間に比べて非常に長い。勝手なことをする余地はなかったのである。
温めた体が冷えないうちにヘリー修繕店に戻ったヨシノは、戸締まりだけしっかりしてからベッドの中に潜った。ハイドが帰ってきてから、新しい視点で二人を見てみることが楽しみでしかない。ヨシノはそう考えながら就寝した。
しかし、ハイドが帰ってきたのは、夜間警戒のために店を出てから丸一日が経った後だった。酒を飲んでいたようで、帰ってきたハイドと肩を貸していたアルに対してホウカは雷を落とす。ヨシノが期待している光景はまだまだ見られそうになかった。




