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野生の姫様 9

またまたブックマークが!!

有難い限りです(拝み拝み)

皆様に楽しんで頂けるよう頑張りまっす!

書いていると書きたい事が増えて、なかなか子供時代が終わらない不思議。

登場人物一人一人の設定を細かく考えだすとキリないですが楽しいですね。


「「じょういそんざい」?」

『ワシより上の…偉くなったという事じゃ。』

「いっちゃんより偉くなると何か駄目なの?」


アルティナが首を傾げる。


『駄目と言うか、前列がないのでワシにも分からぬ。

そもそもワシが弱っていたとは言え、血に適合出来ると思わなんだしのう。多少なら身体機能の向上や万病の治癒などで済むが…長期に渡って蓄積したから、いや、やはり先程直接大量に飲ませた血のせいかのう。致死傷を治す為とはいえ、少し無謀じゃったかの。』

「えっ!血を飲ませたって…なにか甘いの口にはいったけど、あれっていっちゃんの血だったの?」


思わず「うへぇ」と舌を出すアルティナとそれを見て顔を顰めるイールギル。


『無礼な奴じゃの。龍の血と云えば一国が滅ぶ程の価値があるというに!昔は阿呆共に哀れな竜が狙われたものよ。喜んで飲ませる趣味はないが、もう少し有り難がるが良いわ!そもそもお主が食べておった此処の物は全て我の血と魔素が入っておるというに。』

「えええ?!」

『全く。話を聞いておったのではないのか?そしてイールギルと呼べと言ったであろう!』

「うー…いっちゃんのお話難しい。」

『イールギルじゃ!全く…まあ、世界の理にワシより上位としてアルティナという存在が書き足されるだけじゃ。お主も多少体が丈夫になるかと思うが、実際の力比べで魔物に勝てる訳ではないからの。双方の自由意思はあるようじゃし、今のところは問題なかろう。あとは起こってみぬ事には分からぬな。』


怒られた上、難しい話が続くので、アルティナは呻き声をあげた。元々あまり座学が好きではない上、まだ世間知らずの子供である。話の流れを掴むだけで精一杯だった。今の話も「死にかけたのを血を貰って助けてもらった」という部分だけ理解した。

ただでさえ色々ありすぎて、目が回るような気さえする。アルティナは頰を膨らますと背もたれ代わりのイールギルの尻尾から身を起こした。

その時、視界の右端に服の汚れを発見した。「怪我をしたのは左だったはず…」と首を捻って見てみれば、背中一面にべっとりと赤黒い模様がついていた。アルティナの血ではない。ということは、


「わ!いっちゃん!いっぱいケガしてる!!」

『うむ?…あぁ、封の残りじゃな。流石に4人がかりは影響も残るのう。』


アルティナの驚いた声にイールギルが自身を見れば、漆黒の鱗の為判りづらいが、あちこちから血が流れている。一つ一つの傷自体は小さいが、そこから細々と、しかし固まらぬ血がぽたぽたと流れ落ちてくる。見れば、イールギルの伏せている周囲の地面は薄らと朱に染まっていた。

アルティナは慌てて傷に効く草をすり潰し、大きな葉と一緒に幹部に貼り付ける。外傷用の薬草は、よく怪我をするので常に摘んであるので助かった。


『まあ封は解けたのじゃし、数日もあれば塞がるわい。そのような事をせずとも、このくらいでどうかなる程か弱くはない。それよりいっちゃんと呼ぶなと…』


言いかけて、アルティナがせっせと草を潰すのが目に入る。暫く眺めてから、ふいと顔を逸らす。


『…ふん。好きにするが良いわ。』

「なあに?どうかしたの?」

『何でもないわ。そんな事よりワシの鱗は硬いので怪我をするでないぞ!』

「?はあい!」


胸を擽られる不思議な感情を持て余して、イールギルはそっと息を吐いた。




「…はい、おしまい!」


何度か薬草を摘みに窪地の野原とイールギルを往復し、3時間程かかって治療は終わった。

粘度のある薬草で傷口を塞ぐだけの応急処置だが、此処では仕方がない。イールギルをぐるりと回って、一通り傷を塞いだ事を確認すると、アルティナは満足気に頷いた。


『…う、うむ。すまぬな。』


じっとしていろと散々怒られたイールギルは、戸惑いながら礼を言った。


「どういたしまして!」


アルティナはとりあえず血を拭う為、窪地の端に落ちたままの鞄を取りに足を向けた。中にタオルが数枚あった筈、と鞄を開けると、


『シャーーッ!!』

「っ!ーいたたっ!!」


白い紐が飛び出してアルティナに噛み付いて来た。

びっくりして手を振るが、しっかりと食いついて離れない。


「わっ!わっ!…え?ヘビ…のあかちゃん?」


落ち着いてくるとそんなに痛くないその紐は、よくよく見ると太さはアルティナの親指程、長さは手から肘程の小さな小さな蛇だった。どうやらタオルの下に隠れていたらしい。


『どうしたのだ?!』


イールギルが塗り込んだ薬草を落とさぬよう慎重に、しかし急いでアルティナのもとにやってくる。

白蛇は小さな目で必死でアルティナを睨み、離すまいと口を閉じていた。しかし、近寄って来たイールギルの姿を見ると、ボタンを押されたかのように口をあんぐりと開けてしまい、アルティナの腕から落ちた。

そしてアワアワとイールギルとアルティナを交互に見つめ、気絶した。

なんとなく居た堪れない空気が流れる。


「…いっちゃん。」

『…わ、ワシのせいじゃないからの!』


そういえば。

登録の時も随分悩んだのですが、この話はハイファンタジーになるのでしょうかね。設定的には現実の中世くらい。物の名称はそのまま使用してます。なので、「現実に近しい世界にファンタジー要素を入れた」ローファンタジーの定義かな、と思ったのですが、違うのかな。あと自分の気分的にシリアスよりも愉快痛快な笑いをふんだんに入れたいのでローな気分…。

もしかしたら、その内ハイファンタジーに変えるかもしれません。

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