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はじまりの森 窪地にて

読んで下さっている皆々様、ありがとうございます。

アルティナさんが軽傷で済んだのは、高さをそのまま落ちたのではなく斜面を転がりながら落ちたからです。落ちてる石とか枝の角度にもよるけど、そうすると意外と大丈夫(経験談)。


※2018.8/13 話数が増えてきたので整頓、副タイトルをつけました。


夕暮れの中、遊び疲れた子供達が帰り仕度をしている。


「えぇー、もうおしまい?」


その中で、蜂蜜色の髪の女の子が不満そうな声をあげた。今日はなんだか遊び足らなかった彼女は、砂糖菓子の妖精と言われている可愛らしい顔を膨らませた。


「ベリーつみもしたいし、森のたんけんもしたいし、ヴィルクおじさんのおはなしも聞きにいきたいな。」

「…今から行ったらまっくらで何もみえないだろ。」

「森はよるあぶないから、ダメ。」


振り向けば、青銀の髪の少年が呆れた顔で少女を見ていた。続いて、女の子と見間違えそうな顔をした白金の髪の少年も小さな声でしっかりと釘を刺す。

ちなみに、ヴィルクおじさんとはお話し好きな門番である。各地を巡る移動商人の息子だったが、10年前に親が近くの山道で魔物に襲われた際に足を滑らせ帰らぬ人となった。その後アルバディアに落ち着く事になり、色々あって今に至る。様々な場所に行った事があり、各地の話を面白おかしく話してくれる。彼の為に言っておくと、10歳前後の子供達からすると「おじさん」なだけで、まだ24歳の若者である。


「ふふ。じゃあ、ベリー摘みはヴィルクおじさんについて来てもらって、皆で行きましょう?

ティナが来れるまで私達は採りに行かないって約束するわ。ね?」


さらに膨れた女の子を見て、白金の髪の少女が苦笑しながら提案する。白金の髪の少年と面差しが似ているこの少女は彼の姉である。


「……ホントに?」

「えぇ、本当。約束よ。」


白金の髪の少女はこの辺の子供達の中では一番年上であり、みんなのおねえさん役でもある。その少女から諭されて、蜂蜜色の髪の少女は不承不承頷いた。


「…母さんが「ベリー入りのクッキーやくからいっぱいとってこい」って。大きなカゴわすれるなよ。」

「うん!わすれない!」


青銀の髪の少年がぶっきらぼうに告げると、蜂蜜色の髪の少女の機嫌はすっかり治ったようだった。

踊るような足取りで帰路に着き、城門の前で分かれた。


「またね!」



✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎



懐かしい夢を見た。

あれはまだアルティナが幸せだった頃の記憶。

小さな国だというのもあって、両親と民たちの距離はとても近かった。両親の城下町の視察についていく内、知り合いができた。アルティナは友として彼らを迎え、良く日が暮れるまで遊んだ。

両親は子供好きだったが、母の体が弱くアルティナ以外子供が産めなかった。周りに子供はおらず、周りの大人も忙しい。その為アルティナが聞き分け良く一人で遊んでいる事をとても気にしていた。その事もあったのだろう、本来は人々と触れ合い、彼らの生活や思いを学ぶ為だったのだが、両親はアルティナが本来の子供らしく遊ぶのを微笑ましく見ていた。お転婆どころか逞しく育ったのは両親の計算外だったようだが。

夢の日の翌朝にアルティナの両親が病に倒れ、そのまま帰らぬ人となり、その後は軟禁に近い生活をしていたので、あの約束は果たされぬままだった。

あれからほぼ丸一年。友であった彼らがどうしているのか分からないまま離れ離れになってしまった。


「…だいじょうぶ、かえる………かえれるもん…」


沈む気持ちを振り払うように目を開けると、目の前には草花が生い茂っていた。

果たして、アルティナは生きていた。


不思議に思いながら辺りを見渡す。

アルティナが落ちたのは大きな窪地だった。

地面に光苔でも生えているのか、窪地は薄ぼんやりと光っていた。

擦り傷と打ち身だらけだが、体を動かせなくなるような怪我をしていない事を確認し、ほっと息を吐く。

上に戻るのはアルティナには難しそうだったので、とりあえず窪地を探索する事にした。



その日の夕刻。

ぐるりと窪地の端に沿って回ってみたが、とにかく広かった。アルティナがいた城がすっぽりと入ってしまいそうだと思った。子供の足ではあまりに広くて、一周する為に何度も何度も休憩しなければならなかった。

窪地はどこもひざ丈くらいの草と小さな花々が一面に生えていて、原理は分からないがどうやらそれらが薄っすらと発光していた。まばらに生える木々も同じだった。

そしてどこも壁のような斜面になっている為、アルティナでは登れそうにないという事も分かった。

幸いにも何本か林檎とベリーの木を見かけたので、空腹を満たす事が出来た。少し味は変わっていたけれど、食べられない事はない。定食屋のおかみさんが「野菜や果物は育つ季節と土の栄養によって味が変わる」と言っていたから、そんなものなのかと思って食べた。


そして何より驚いたのが、この窪地には何故か魔物が寄り付かない事である。

何度か近くまで山猫の魔物をはじめ、様々な魔物がやって来てはアルティナと眼を合わせて唸るが、決して窪地の中には入ってこなかった。

先の木の実の他に、足元の草花も食べられそうな物をいくつか見つける事が出来たし、奥には小さな小川があった。

食べ物の心配はしなくて良さそうだが、このままでは外に出る事が出来ない。

どうしたものかと、集めた果実を齧りながら考える。

林檎を1つ、ベリーを一掴み程食べて一息ついた所で、アルティナは眩暈を覚えた。


「あ、れ?」


やはり毒でもあったのだろうか。

見知った物でも注意するべきだったと考えた時には既に悪寒と熱が全身を覆い、回る世界にアルティナはあっけなく意識を手放した。

話の流れ上仕方ないけど、アルティナさんが二連続気絶です。まあ、まだ小さいし体力無いとか精神が摩耗したからとか色々大目に見て頂けると幸いです(汗)

自然な流れに持っていける文才が欲しいですね。

そして、24歳は若者だと思うのですが、人によっては違うんだろうなぁ。

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