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野生の姫様 14

私は消えぬぅぅぅぅ!!

ちょこちょこ足を運んで下さった皆様、ありがとうございます。

そして更新が滞って、誠に申し訳ございません。

久方ぶりの更新ですが、お付き合いくださると幸いです。


程よく焼けた甲殻類の様な香ばしさを噛みしめる。

今日の晩御飯は、運良く手に入れた蜘蛛は中型種の魔物の幼体である。成長すれば幼児程の大きさになるが、幼体でも大人の顔くらいには大きい。


「ふぃお!もむいむは!!」

『むぐー!』


目の前ではイールギルとシロが飲み込む勢いでご飯を食べている。昨日は殆ど食べ物を口に出来なかったので仕方ない。詰め込んだ物で頬が膨れている様は笑いを誘うものではあるが、自分の分まで取られては困る。アルティナはしっかりと自分の分を確保しつつ、2人に声をかけた。


「いっちゃん、しろちゃん。よくかんで食べないとだめだよ。」


蜘蛛は手足が沢山あって良い、とアルティナはしみじみと思った。



1週間前。

急いで出立したアルティナ達だったが、直ぐに問題に直面した。

誰も森を抜ける道を知らなかったのである。

アルティナは元迷子、シロはまだ縄張りも無い幼子、イールギルは窪地から出た事は無い。そんな彼らが迷うのは必然だった。


最も早く確実と思われた「イールギルがアルティナとシロを乗せて飛ぶ」という案は、飛び上がったイールギルが血塗れで落ちてきた瞬間に却下となった。

後に聞いて分かった事だが、龍の飛行にはいくつのも飛行魔法を使用する為、魔素不足の身体には負荷が大きかったらしい。表面だけふさがっていた傷が再び開いてしまった。数千年の呪印の傷は中々治らないようである。


幸いにも、アルティナ達の目指すアルバディアの王都は御使の座と呼ばれる大陸一の山脈を背にしている。その山々は高い枝にさえ登れば森からでも確認出来たので、アルティナ達は遠くに霞む山々を目指して進む事にした。

しかし、進むには地上に降りねばならず、鬱蒼とした森の中から山を確認するには再び何かに登らねばならない。そして2人と1匹の方向感覚が鈍いのか、何処かしこも同じに見える森のせいか。しばらく進んで確認してみると真反対を向いている事も少なく無かった。

初めこそ、イールギルは長い眠りから目覚めた新鮮さで、アルティナとシロは初めて見る場所への興味でもって森の景色を眺めていた。しかし、進めども進めども同じ景色しか見えない。いや、実際に彷徨って何度か同じ景色を見ているかもしれない。



予定では既に森を抜けている筈であったが、アルティナ達は未だ地道に森を彷徨っていたのであった。



✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎



「えっと…アルバディアがあるのはセルネアたいりくのはじっこで、とってもたかい山とこの森にかこまれているから、おとなりのレーネルからしかこれないの。そのさきにはウルドアきょうわこくがあって、おうさまはいないけど、5人のしちょうさんが話し合いをしておさめてるんだって。」


魔物の近寄らない窪地と違い森の中は危険なので、眠る時はイールギルが翼と体を使ってアルティナ達を包み込む。その為イールギルが龍の姿で寝そべる事の出来る広場が必要となる。どうしても見つからない時は木を折って場所を作るが、不必要な破壊はアルティナ達の望む所では無いのと、本来の姿をとったイールギルはともかく、アルティナ達には折れてささくれ立った木の破片が散乱する場所は危険なので、なるべく開けた場所を探すようにしている。

まだ明るいうちから準備を始めたのだが、そういった広場が森の中にはあまり無いことと、アルバディアをはじめとするこの辺りは近くにある大きな山々が影を作る為日の入りが早いことから、休めそうな場所を探して火を起こす間に辺りはすっかり暗くなっていた。

夜ご飯を平らげて腹がくちくなった3人は、焚火の側で思い思いに寛いでいた。


始めこそ物珍しさから退屈しなかった三人だが、二日もすると代わり映えのない森の景色に飽きてきた。そこで、好奇心旺盛なイールギルに尋ねられてアルティナが話をしたり、アルティナやシロがイールギルに話をせがんだりするようになった。今日はアルティナによる現在の世界地理の話だった。


「そこからおふねにのってラウロペルネにいくの。このラウロペルネはいっぱいの島でできてる国で、海がとってもキレイなんだって。そこからまたおふねですすむと、いちばん大きなルーガウスたいりくにつくよ。」


記憶を頼りにアルティナは地面に枝で世界地図を描いた。勉強は苦手だが、地理や社会、文化を学ぶのは、知らない世界や国の事を知るのは冒険しているようで面白かった。アルティナの数少ない得意分野である。


「ルーガウスにはデールダンていこくとかミスティアこうこくとか色々あるんだけど、中でもザラハルドしんこくは“さばく”っていういっぱいの砂の国なんだって。まわりじゅうヤケドしそうなあつい砂でできてるんだって。それが夜になると冬みたいにさむくなるんだって!」

「…ほうほう。それは興味深いの。ワシがいた頃はまだ人族は統率がとれておらんで…海を渡ろうなんて者はおらんかったの。友のおったこのあたりとその側にもう一つ。二つほど国と呼べるものがあったくらいじゃのぅ。」

「いっちゃんのおともだちの国?」


人型をとっているイールギルは、爪を立ててルーガウス大陸の中央部と東側に一つずつ円を描いた。

興味を惹かれてアルティナはその場所をしげしげと眺めた。


「うむ…呆れるほど罪深い、阿呆共の巣窟であったよ。」

「???」


イールギルがじっと見つめてきたので、アルティナはニコリと笑って返した。


「……アルティナよ。今も城に戻りたいかの?」

「もちろんよ!そのためにあるいてるんだから。」


イールギルは苦笑してアルティナの頭を撫でた。


「愚か者たちは悔い改めはせぬぞ…というても分からぬか。…少し昔話をしようかの。ワシが出会った唯一の友の話を。どこまでも真っ直ぐで、それ故に哀れであった奴の話じゃ。」




次回爺様の過去が少し明らかに?!

そして話の進展はあるのか?!

頑張れワシ!

…こんなの絶対おかしいよ。手にする書類の日付が一か月前ってどういう事?(涙)

何とか終わらせて盆休みでっす(>ω<)マジイキカエリマスワー

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