音のエピソード 1
ある日の午後。
いつものように僕の目の前のテーブルにはアイスとスプーンが置いてある。
マスターと一緒にスーパーで3割引きだったアイスをいっぱい買ってきた。
だが、硬くてスプーンが入らず、食べごろになるのじっと見つめながら、ふと、聞いてみる。
「ねー、ますたー?マスター達のオリジナルってどんな人だったんですかー?」
「変わった人」
「変わった人だったんですねー。あ。アイス溶けたー」
嬉しそうに言って僕はアイスを食べ始めた。
しばらくしてマスターが言った。
「オリジナルはスズメとナチュラルに会話してた」
「ふぇっ?ふほいでふっ!!!いいなー。僕も小鳥さん達とおしゃべりしたいなー」
考え込むとマスターは言った。
「オリジナルは一週間スズメの鳴き声を聞き、鳴真似をしてスズメの『言葉を覚えた』
スズメとの会話は単純だったらしく、早々に飽きたようだ。
次の一週間はハト。ハトは鳴き真似が難しく断念。
次の一週間はカラス。ゴミ捨て場でカラスと会話するようになった」
「すごいですねー!楽しそうですっ!」
後日、僕は小鳥たちとの会話にチャレンジする。
が、小鳥たちより『変人認定』を受けたあげく見下され、カラスにいじめられるようになった。
もちろんマスター達からの視線も生温かいものだったことは言うまでもない…。
~マスター達の会話~
「どうして注意してあげなかったのー?」
「止めても無駄かと思って」
「あー。体で覚えろってやつね…」