洋館 その6
私はほろ酔いだなぁと思っていると、リビングの方向から音がする。
リビングに行くと、ソファーに悠人が座っていた。
「どうした?」
「何か音がしていたから…」と言っていたら、叔父さんがキッチンからマグカップを2つ持って出てきた。
そして、私と悠人の前に置いた。
「え? 私に?」
「あぁ。俺の分は淹れなおすから気にするな」
「うん。ありがとう」
「酔ったから寝るんじゃなかったのか?」
「そうだけど、まだシャワーも浴びていないしね。ところで、叔父さんと悠人は何の話をしていたの?」
「いや、まだだ。田畑さんたちのことを聞こうと」と言っていたところで、玄関の扉を叩く音が聞こえた。
悠人は立ち上がり、玄関に向かった。
私も気になるので後ろに続く。
「どなたですか?」
「佐々木の使いです」と女性の声が聞こえた。この声は側仕えね…
悠人はドアスコープで確認し、扉を開けた。
そこには、側仕えと護衛?の男性が居た。
「夜分にすみません。お着替えがないとご不便かと思いまして、お持ちしました」と私にバッグを渡そうとしたが、悠人が遮って受け取る。
そして、中身を確かめようと開けようとしたので、側仕えは「あ! お着替えですので確認はお控えください」と慌てて言う。
ブラとパンツが入っていて、見えるからか…
着替えがあるのは助かる。
「ありがとうございます。助かります」と言い、バッグを受け取った。
「では、失礼します」と側仕えを帰っていく。
私はバッグを開け、中身を確認する。
あっ。入院時に着ていた服と、カーディガンとガウン?
白衣じゃ困るから、カーディガンも入れてくれているの?
ほんと、気が利くわね。
「変なものは入っていなかったか?」
「ええ。問題ないわ」
私達はリビングに戻ると、叔父さんがマグカップでコーヒーを飲んでいた。
「誰だった?」
「佐々木さんの側仕えでした。着替えを持ってきてくれました」
「そうか」
「岡田さん、田畑さん達は信用できるのですか?」
「どうしてだ?」
「NeuraLume社は沖芝工業の関連会社ですよね?」
「取引はしているが、出資はしていないようだがな」
「調査したら、知っている人が居るでしょうから、岡田さんが問い合わせたら教えてもらえると思うのですが…」
「退社した人間に会社が教えるわけがない。…俺に人望がないのかもしれんが、元部下を連れ出して聞いてもわからなかった」
話が途切れたので、私は『寝る』と宣言して部屋に引き上げた。
私は目覚めたが、一瞬どこかわからなかった。
そんなに呑んだわけじゃないのに、頭が少し重い。二日酔い?
私は着替えて1階に降りて、リビングを見渡すが、誰もいない。
ちょっと意外… ん? テラス?のガーデンソファーに誰か座っている?
私は掃き出し窓を開け、近づくと、タンクトップにチノパンで股を広げてふんぞり返って座る短髪の外人がいた。
腕にはタトゥーが入っており、街で見かけたら、見つからないように逃げたいタイプだ。
「ん? 協力する気になったか?」
え? この人、私を知っているの?
「あのう。どちら様でしょうか?」
「『どちら様』? どちら様じゃねぇよ」
そう言われてもなぁ。
「初対面ですし…」
「あぁ? 初対面だとぉ」と言いながら立ち上がり、私の前に来る。
えー! 怖いんですけどぉ。
そして、私の眼の前に立ち、私をジロジロ見ながら「…うーん。ちょっと違うか? いや… うーん」と呟く。




