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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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洋館 その5

「田畑さん、吉川さん、研究所のNeuraLumeをどうやって監視しているのですか?」と悠人が聞いた。

 吉川さんが応えようとしたが、田畑さんが「みなさん、今日はこちらにお泊りですか?」と聞いた。


 そういえば、考えていなかったわね…

「佐々木さんたちと護衛?の人もいるので10人になるわね。叔父さん、ここに泊まれる?」

「寝具は10人分はない。雑魚寝になる人もいる…」

 すると、いつの間にか近くにいた側仕えが「主人はウェスティンに泊まります。皆様もいかがですか?」と言った。


 私は叔父さんと悠人を見たら、叔父さんは「俺はここに泊まるよ」といい、悠人は「彩音に合わせる」と言う。

「じゃ、私達はここに泊まるわ。問題ない?」

「あぁ。問題ないが、食べに行くにしても、食材を買いに行くにしても足がないな」


「我々の車でよければあります」

「そうか、なら問題ないな」

「了解しました。では、明日の9時に参ります」と言うと、側仕えと護衛?を連れて敷地から出ていった。


 あれ?ここはガレージなのに、外から入る道はあの森の小道しかない。おかしくない?

「叔父さん、私達がここに入ってきたのは森の小道だったですよ。道がないのに、ガレージがあるってどうしてですか?」

「集落の方に出る道はある」


「どうしてそちらから入らなかったのですか?」

「仙台駅からだと集落を回るより近いからな」


「なるほど… じゃ、食事は集落ですね」

「集落は寂れて何もない。どうするかな」


「この近くにせり鍋を出す店があるのですが、いかがですか?」と田畑さんが言う。

「せり鍋? せりって七草でしたっけ?」


「そうです」

「楽しみです!」

「せり鍋か…」と叔父さんが言う。


「あれ? 食べられない食材ですか?」

「いや、そうじゃない。昔はよく食べた」


「じゃ、行きましょう!」

「連絡を入れてやっているかを確認しますね」


「お願いします」

「今からでも問題ないそうです。今から行きますか?」


「はい!」


 私達は田畑さん達の車に乗り、案内されたのはこぢんまりとした日本家屋のお店だった。


「よくこの店を知っていたな?」

「天野教授に教えてもらいました」


「だとすると、彩香が義孝を連れてきたのかな。俺が注文するぞ」と言い、叔父さんが注文する。

 まず、出てきたのは日本酒だ。

 枡にグラスが入ったものが机に置かれた。そして、店員が「浦霞です」と言って日本酒を注ぎ、溢れさせる。

 しかも、無条件で全員分…

 自動運転だから、全員飲んでも問題ないけど…


「私も飲むのですか?」

「飲めるだろ? 義孝はほとんど飲めなかったが、彩香は飲んでいたぞ」


 お母さんが亡くなったのは私が小さいときで、飲んでいる記憶はない。

「お母さんも飲んでいたのですね… でも、これどうやって飲むのですか?」

「こうだ」と叔父さんが言って、枡を持ってグラスに口をつけて飲む。

 えー! それはちょっと… と思っていると、みんな同じように飲んでる…

 私は枡を持って、グラスを少し持ち上げて飲む。


 その様子を見ていた叔父さんが「どうだ?」と言う。

「品のいい香りで、口当たりも柔らかいわね。飲みやすいかも」

「そうか」と叔父さんがニヤリとするが、「飲みすぎるなよ」と悠人はしかめっ面をする。


 叔父さんがニヤリ顔を辞めたと思ったら、「あの佐々木って何者だ?」と小声で言う。

 私はわからないので、悠人を見る。


「公安に事情聴取を受けたのですが、その際、佐々木さんのことを聞いたら、CIAと言われました。そのことを佐々木さんに直接言いましたが、YesともNoとも言われませんでした」

「CIA? もし、それが本当なら、大事じゃないか?」


 店員がせり鍋を運んできたので、話を中断する。

 鍋の蓋を開けられ、湯気が広がる。


「これが、せりね。根まで食べれるのね」

「あぁ。まぁ喰え」


 せりの匂いがする。

「シャキシャキした食感も、せり?の風味もいいわね。それに、このお肉は鴨? これも美味しいわ」

 私は満足していたが、悠人はこの匂いがちょっと苦手っぽい。

 私達は田畑さん達の仙台での生活などを聞きながら、食事を楽しみ家に戻った。

 叔父さんは部屋を割り振った。

 叔父さんは私に割り振った部屋はお父さん達が利用していた部屋だが、NeuraLumeが見せた部屋だった。

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