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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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洋館 その4

「叔父さんはNeuraLumeがヒドラみたいなシステムだと知っていたのですか?」

「ヒドラ? 俺はチップを作っていただけだから、システムのことは聞き流していた」


「そうですか…」

 私たちの話が一段落ついたと思ったのか、佐々木さんが話しかけた。


「天野教授のメールでAvatar社を優先と記載されていましたが、それ以前から取引が会ったのですか?」

「はい。1年ほど前からです」


「俺が沖芝工業にいた頃から取引があった。というか、義孝のところ以外はAvatar社しかなかったからな。今は取引が増えているのか?」と叔父さんが言った。

「いいえ、研究所はサーバを増設していないので、Avatar社が唯一の取引先ですから、優先するもしないもないのですがね…」


「田畑さん、Avatar社ってどんな会社なのですか?」

「AI関連の会社らしいですが、上場していないので資本関係はわかりません」


「取引をする前に会社を調べますよね?」

「沖芝工業がしていたと思いますが、調査結果は我々には開示されません」


「NeuraLume社はAvatar社と取引していますよね? 与信情報が必要では?」

「そうですが…」と田畑さんは言い淀み、佐々木さんを見る。


「機密情報ですか?」

「…」

 偽名の佐々木さんがいるから言えないのかな… しまった、話が止まってしまった。

 その空気を読んだのか、叔父さんが「NeuraLume社にとっては唯一の取引先で、以前から取引があれば調べないよ」と助け舟を出す。


「わかりました」

「あのう。ちょっと前、研究所のNeuraLumeに変化はありましたか?」と吉川さんが聞いていた。


 私のNeuraLumeとの体験?のことかな?と思っていると、吉川さんが質問が悪かったと思ったのか具体例を話してきた。

「研究所のNeuraLumeとこことの接続が切れました。1日後には繋がりましたが2日間ぐらいは接続が不安定でした」

 なんだ、そんなことかと思い、答えようかと思っていたら悠人が先に話した。


「吉川さん、今も研究所のNeuraLumeと接続があるのですか?」

「はい。研究所の監視も業務ですから…」


「おかしいな」と悠人が呟く。

「何がおかしいの?」


「研究所のNeuraLumeに外部からアクセスするには、研究所に入ってから踏み台サーバを経由する必要がある。研究所へのアクセス権を外部のメンテナンスのために研究所が発行するか?」

「セキュリティ上できない規定ね」


「研究所のNeuraLumeから外部へのアクセスは禁止にしただろ?」

「そうか… 研究所のNeuraLumeはここと接続方法を持っているということね…」


 …Avatar社との取引もあると言ってたわよね…

「吉川さん、もしかしてAvatar社の監視も業務ですか?」


 吉川さんは田畑さんを見た。

 田畑さんは「企業秘密です」と答えるが、吉川さんが田畑さんを見た動作だけでAvatar社の監視をしているのがわかるわよ…


 私はAvatar社と接続されていることを前提に「ということは… 研究所とここのNeuraLumeのすべてのストレージをクリアして再起動しても、復帰するか… NeuraLumeのリセットは不可能ってことね」と呟いた。

「そうなるな。Avatar社の情報で復帰する」と悠人もAvatar社との接続があることが前提でさらっと話す。


「一見すごいシステムに思えるけど、クリアして起動しても復帰されるから、複数の別バージョンを動作させることってできないでしょ? デバッグとかどうしているのかな?」

「バージョンキーで分離か、ネットワークを分離するとかじゃないか?」


「バージョンキーの部分にバグがあったらダメじゃん。面倒よね」


 佐々木さんが側仕えとヒソヒソ話を始めた。

「田畑さん、ここのNeuraLumeを見せてもらえますか?」

「はい」とガレージの中に入る。


「広いですね」

「車は4台は入ると思います」


「あのパーティションは?」

「あの後ろはベッドです」


「え? もしかしてここに寝泊まりしているのですか?」

「はい」


「トイレやお風呂は?」

「使用人用?をお借りしています」


 お父さん、酷いんじゃない?と思い「お父さんがここに寝泊まりして、使用人用のトイレやお風呂を使うように言ったのですか?」と言うと、

「いえ! 天野教授は自由に使っていいと言われたのですが、私達が辞退したのです」

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