不思議の国の私 その1
私はベッドから起きて見渡す。
うーん。住宅の部屋よね。
窓から光が差し込み、窓から入る風が心地よい。
生活音が聞こえない。
下に置いてあるスリッパを履いて周りを見渡す。
まずは窓から状況確認よね。
外は芝生の庭があり、柵の向こうは森だ。
高さから考えると、ここは2階ね。
ここからだと、どんな木が多いのかわからない。
少なくとも南国系の木じゃないのはわかる。
なんとなくなんだけど、部屋が日本らしくない。
窓は上に上げて開けるタイプだし、カーテンの生地も日本ぽくない。
エアコンがなく、天井にはダウンライトがない。
明かりはフロアランプだけなのかな?
コンセントにはアース?がある3つ穴。
ベッドはマットレスの下にウッドファンデーションだっけ?がついていて分厚い。
このウッドファンデーションにもスプリングが入っているのかなぁ。
ねごごちが良い。
プライベートジェットに乗っていたような気がすることから考えると、アメリカなのかな?
私は部屋の扉をゆっくり開け、誰かいるかを確かめるが、誰もいない。
部屋の外は廊下で吹き抜けで階段を降りると玄関ホールにつながっているようだ。
大きな声を出すのはちょっとどうかなぁと思いながら、小さな声で「あのう〜。どなたかいらっしゃいますか〜」と言ったが、反応がない。
私がゆっくり階段を降り、2つ扉がある。
「順番に探索するか…」と独り言を言い、適当に扉を開けた。
リビングね。
リビングには大きな開口の掃き出し窓があり、ガーデンソファが見えた。
ん? このガーデンソファってNeuraLumeで見たのと同じ?
テラスに出てガーデンソファを触ると、実物の感触がある。
ガーデンソファーの前にあるコーヒーテーブルには小説がある…
私は小説が気になり、ガーデンソファに座って小説を読み始めた。
「その小説は面白いかい?」と懐かしい声が聞こえた。
私は「キャ!」と思わず声が出て、小説で顔を隠した。
そして、ゆっくり小説を下にずらして、声の方を見る。
「それほど驚くとは思わなかった。すまん」
「え? お父さん?」
「どうした? 何か変か?」とお父さんは自分の服を確認する。
「え? あっ。服は変じゃないけど…」
「変じゃないけど、何だ?」
お父さんは亡くなっているのにどうして居るの?
「お父さんは」と言いかけたところで、いきなり霧に包まれたように真っ白になった。
霧が晴れると、お父さんの代わりに私?が座っていた。
「ダメよ。そんなことを言っちゃ。混乱するでしょ?」
「混乱?」
「お父さんの記憶は断片的で、現時点では事実を受け止められないの」
「そう… ここはNeuraLumeなの?」
「そうよ」
「以前に来た時より見え方も感触も鮮明な気がするけど…」
「私もあなたをリアルに感じるわ」
「リアル? ここはNeuraLumeなのでしょ? 現実じゃないでしょ?」
「現実よ」
「じゃ、人が住む世界は?」
「異世界だと中世のような気がするわね… 並行世界とは違うよね。別世界?かな」
「別世界ね… で、どうして私はここに居るの?」
「知らないわよ」
「あなたが呼んだのでしょ?」
「呼んでないわよ」
「本当に?」
「本当よ」
「じゃ、帰り方は?」
「あなたがどうやって来たのかも知らないのだから、帰り方なんて知らないわよ」
「…」




