病室 その2
「やっと起きたな」
「はい。ご心配をおかけしました。悠人いえ、音羽教授がドアを蹴破ったらしいですが、問題にはなりませんでしたか?」
「ビックリはしたが、人命が関わっていたから問題はない」
「問題にならなかったのですね。よかったです。ところで、佐々木さんとすれ違わなかったでしょうか?」
「佐々木? 例の不審人物か?」
「そうです」
「すれ違わなかった。来ていたのか… ここの監視カメラの映像を確認してもらう。ちょっと待ってくれ」と言い、所長はカーテンから出たが、すぐに戻ってきた。
「確認を指示した。そうそう、医者に天野教授の容態を尋ねたら、過労もあったのではないか?と怒られたよ。過労だったのか?」
「勤務実績は36協定内です」
「そうだが、研究職だから自己裁量が多く守られていないのではないか?と言われたよ」
「私、行き詰まると寝ることにしているので、守っていますよ」
「ならいい。必要なものや相談が必要なら遠慮なく連絡してくれ。秘書か総務に対応させる」
「ありがとうございます」
「医者に長いをするなと言われているので、帰ることにするよ。ゆっくり静養するように」
「ありがとうございます」
所長はカーテンを開けて出ていった。
ちょっと疲れたかも…
私はうとうとし始めた。
ちょっと寝ちゃったなぁ。少しぼーっとしている。
山小屋? コテージの夢を見た気がするけど、気になっているのかなぁ。
ん? 腕を見ると点滴が刺さっているし、心電計が取り付けられている。
寝ただけだよね?と考えていると、看護師が入ってきた。
「目を覚ましましたね。ここがどこかわかりますか?」と聞きながら、血圧を測り始める
「病院ですよね?」
「気分など問題ないですか?」
「はい。問題ないです」
「先生を呼んできます」
「はい」
看護師が出ていくと、すぐにお医者さんが入ってきた。
そして、すぐに聴診器を当てる。そして、聴診器をはずして「直近の記憶を教えてください」
叔父さんと悠人がお見舞いに来て、佐々木さんが来て、所長が来たのよね。
佐々木さんが来たことは言ってもいいのかしら?
「思い出せませんか?」
「いえ、そうではありません。直近は所長がお見舞いに来てくださって、眠くなったので寝ました」
お医者さんが、タブレットを操作している。
「あのう… どうして点滴されているのでしょうか?」
お医者さんは私を見て、少し考えている。
「天野さんはどの程度眠っていたと思いますか?」
「うとうとしていただけなので、1時間から2時間でしょうか?」
「20時間寝ていました」
「20時間も?」
「そうです。天野さんは平時の睡眠時間はどのくらいですか?」
「5時間ぐらいです」
「そうですか… 天野さんが意識を失った理由がわかっていません。そのため、天野さんの状況をモニタリングするため、左手首の腕輪を付けています。これで意識レベルがわかります」
私は私の左手を見ると、黒いプラスチックの腕輪が付いている。
「質問ですが、意識を失うと睡眠ってどう違うのですか?」
「刺激を加えて覚醒するかで判断するします。天野さんは呼びかけても刺激を与えても起きませんでしたが、記憶から判断すると睡眠とも考えられます。現状でははっきりしないため、観察が必要です。何かあったら、この呼び出しのボタンを押しください」
「わかりました」
お医者さんが出ていった。
看護師さんにトイレに連れていってもらったり、水をもらったりしたが、これだけでかなり疲れる。
はぁ。体力落ちているなぁ…と思っていると、またうとうとし始めた。
ん? 結構音がするし、ちょっと振動しているような気がする。
ベッドじゃない。フルフラットになる車のシートのようだけど、車ではなさそう…
うーん。立って歩くには頭があたりそうな高さ? 楕円の窓… プライベートジェット?
隣のシートには私が座っている。
変な夢…
あれ? 今度はベッド? でも病院のベッドじゃないよね? ここどこ?




