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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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所長への報告

「悠人、携帯が私の研究室に置きっぱなしなの。先に取りにいきたいの」

「そうか。そうだな」


 私は私の研究室に行くために方向を変えると、悠人も一緒に方向を変えた。

 え? 悠人も来るの?


「はぁ… ちょっと過保護じゃない?」

「彩音を放っておくと、連れ去られるかもしれないからなぁ」


「そんなわけないじゃん」

「そうかな?」


 私の研究室の扉を開けると、所長がソファーに座っていた。

 はぁ? どうして所長がいるの?


「やっと戻ったな。報告を」

「報告と言われましても。NeuraLumeの内容を佐々木さんに説明しただけです」


「佐々木? 誰だ?」

「所長の部屋にいた女性の名前ですよね? あっ。そう言えば、佐々木は偽名と言っていたました。本当の名前は何ですか?」


「私の部屋に居た? いつだ?」

「いつ? 色々ありすぎて日にちの感覚が… えっと、昨日ですね。所長から明日の8:30に来るようにというメールで伺いました」


「整理すると… 一昨日に私がメールを送って、昨日に佐々木という女性と私の部屋で会ったでいいか?」

「そうです」


「私はそんなメールを送信していない」

「え? 受け取りましたよ」

 私はPCを操作してメールを見せた。


「ちょっと見てもいいか?」と悠人が言った。

 私は悠人にPCを渡した。


「SMTPサーバもPOPサーバも研究所のものだな。経由サーバも研究所の中だけだ。怪しいところはないな」

「しかし、私が送信していない。端末を貸してくれ」

 私は所長にノートPCを渡した。


 所長は私のノートPCを操作して、部屋のディスプレイに画面を投影した。

「昨日の8:30と言ったな?」

「はい」


「これは監視カメラだ。これが私の部屋だ」

 所長の部屋に監視カメラがあるということは、この部屋にも監視カメラがあるの?


「8:30前後には誰も映っていない」

「え? でも、私は所長室に行きましたよ」


「その後はどこに行った?」

「公園に行きました」


「公園? もしかして、上原 葵と接触した公園か?」

「そうです」


「どうして公園に行ったんだ? 『こちらの準備が整った後、公園にもう一度行ってもらう』と伝えただろ?」

「所長からのメールで所長室にいた人に言われたので、疑いませんでした」


「…なるほどな。天野教授の言い分は理解した」

「天野教授が公園に行ったということは監視カメラの映像でわかりますか?」と悠人が言った。


「映っていないな」

「その後に連れ出される映像はありますね」


「あぁ。あるな」

「所長、私たちはどこに連れて行かれたのでしょうか? ご存知ですか?」

 悠人も知らないのね…


「公安の取調べと聞いていたが、違うかもしれないな。どこに連れて行かれた? 景色でわかるだろ?」

「わかりません。外部が見えない車で、道を覚えられないように無駄に停車したり回ったりしていましたので…」


「そうか。天野教授は知っているか?」

「いいえ、私の車も外が見えない状態でしたし、聞いても教えてもらえませんでした」


「所長、公安の取調べがあるというのはいつ知らされたのでしょうか?」

「昨日だな」


「もしかして、私たちを連れ出す映像を消せなかったから、公安の取調べということにしたのでは?」と悠人が聞いた。

 所長の回答を待ったが、所長は回答しない。わからないのかな?


「公安というのも怪しいということ? うーん。映像を消せるなら連れ出しの映像も消せば、公安なんて言わなくてもよかったのでは? 朝の私の行動の映像は消しているでしょ?」

「私達が連行されていることを何人もの所員が目撃している。その所員のすべての動作の映像を矛盾なく削除するのは困難だ。それに、目撃した所員の記憶を消すか、目撃した所員すべてを連行すればいいが、できないだろ?」


「なるほどぉ。そうね」

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