NeuraLumeとの対話
私は研究室の扉を開け、NeuraLumeの部屋を開けた。
悠人をNeuraLumeの部屋に入れて扉を閉める。
「悠人も話が聞きたいというので、悠人を連れてきたわ」
NeuraLumeの応答がない。
「聞こえている?」
やはりNeuraLumeの応答がない。
「はいでも、何でもいいので返事をしてくれない? 聞こえているでしょ?」
NeuraLumeの応答がない。
私が悠人に向かって「答えてくれないわ」と言った。
「いつもこんな感じか?」
「そうねぇ。答えてくれないこともあるわ。どうする?」
「どうすると言われてもなぁ… この会話もNeuraLumeに聞こえているのだろ?」
「聞こえていると思うわ」
「じゃ、仕方がないな。今日は諦めるか」
「そうね…」
私はNeuraLumeの方向?に向かって「また来るわ」と言い、NeuraLumeの部屋を出た。
「話してくれないわね…」
「…そのARメガネでNeuraLumeにログインしてくれないか?」
「いいわよ」
私はARメガネでログインして悠人に渡した。
悠人はキーボードで何やら操作しているが、私はすることがないので私はNeuraLumeに「NeuraLume、聞こえている?」とか「ルッツ、答えてくれない?」とか話しかけていた。
すると、悠人はARメガネを外して、「俺の研究室に行くぞ」と言い、私の手を引いてNeuraLumeの部屋を出た。
「あのう、悠人」
「話は後だ」
えー。また、手を繋いだまま出るの?
廊下をすれ違う人が悠人と私を見て横に避ける。
びっくりして避けてんじゃん。
これって、男女のもつれで私が悠人に連行されているように見えている?
参ったわねぇ…
悠人は悠人の研究室の扉を開けると、ピタッと止まった。
え? 何? 中に何かあるの? 悠人の背中で見えない。
「どちら様でしょうか?」
「音羽教授ですね。天野教授を」と私の名前が出たので悠人の後ろから中を覗き込む。
所長室にいた女性がソファーに座っていた。
「天野教授を探していたのです。そんな扉のところではなく、お入りになって」
「ここは私の研究室ですが…」
「知っていますよ。天野教授の部屋にはいらっしゃらなかったので、歩いている所員に聞いたところ、音羽教授の部屋ではないか?ということでしたので、こちらに参りました」
「もう一度、お伺いします。どちら様でしょうか?」
「佐々木です」
「佐々木さんは、研究所の方ですか? 今までお見かけしたことがありません」
「そう、警戒しないでください。所長の許可は得てます。天野教授とは面識がありますよ」
「そうなのか?」と悠人が私を見た。
私は面識はあるから頷いた。でも、名前は佐々木と初めて知ったけどね…
「で、後ろの方は?」
「私は側仕えです」
側仕え? この現代に居るの? 確かに立ち振る舞いはそうかもしれないけど…
「自己紹介が済みましたよね。お座りになって」
「…はい」
私と悠人はソファーに座った。
「仲良しなのはわかりますが、いつまで手を繋いでいらっしゃるのかしら?」
あーー! 繋ぎっぱなしだった…
手を離した。
「天野教授はどこにいらっしゃったのですか?」
「研究室にいました」
「私が、天野教授の研究室にお伺いした時はいらっしゃらなかったですよ」
「奥のNeuraLumeの部屋に入っていましたので、居ないと思われたのではないでしょうか?」
「そうなのですね」
「私を探していたようですが、ご用件は何でしょうか?」
「そのNeuraLumeと会話してみたいと思い、お邪魔しました」
「NeuraLumeなのですが、今日は何も答えてくれないので、難しいかと…」
「そうですか…」
佐々木さんは私と悠人をじっと見つめる。
「こちらとしては、状況を正確に把握する必要があります」と佐々木さんが言うと、扉が開いてスーツの男性が4人入ってきた。
そして、悠人と私に向かって「ご同行願います」と言った。
その言葉は有無を言わせない迫力がある…




