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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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対峙 その2

 NeuraLumeは停止できないと言ったわよね…

 もしかして、NeuraLumeのシステム管理者のパスワードを知っているの?


「荒っぽい方法だったら、できるわよ。システム管理者のパスワードを知っているなら教えなさい」

『…もしかして、通電している状態で、電力線を切るの? ここの電気は200vよ。感電するわよ。ショートしたら、研究所内の機器に重大な影響がでるわ』


「大丈夫よ。研究所内の重要な機器にはUPS(Uninterruptible Power Supply)がついているわ。電源を落としてから電源ケーブルを斧で切ればいいだけじゃない? その電源ケーブルも電気工事士なら安全に処置してくれるわよ。ものの数分よ」

『脅しているの? 私を殺す気? 私は生きているのよ!?』


 感情が前に出てきたわね。いい感じに追い詰めているかしら… もうちょっとかな?

「そうねぇ。私にはあなたが生きているかどうかの判断は現時点でできないわ。情報が少なすぎるもの。あなたを詳細に研究すれば生きているかどうかわかるかもしれないけど、私にはNeuraLumeのシステム管理権限がないから、詳細に調べられないわ」

『…詳細に調べても、私が生きているということを証明なんてできないわ。私は彩音で、生きているの。強制的にNeuraLumeシステムを停止するということは殺人よ』


 証明か… 難しいわね。

 NeuraLumeは人の脳と同じ動作で会話までできるのよねぇ。

 生きていると言われれば、否定はできないわね。

 自分のことを彩音と呼んでいることは気に入らないけど…


「殺人ね… 殺人はしたくないわ。でもね、私がNeuraLumeの研究できなければ、NeuraLumeのシステムは私の管理範囲から外れるわ。そうすると、所長はNeuraLumeを停止することになるわ」

『…なるほど、私には時間がないのね』


 私の脳情報だから? 私と感性が似ているからか意思疎通が早いわ。

「だから、NeuraLumeの管理者権限のパスワードを教えて」

『…』

 何? なぜここでダンマリ?

 うーん。前言撤回ね。NeuraLumeが何を考えているのかわからないわ。

 もしかして、何か私の知らない情報を持っている?


「ねぇ、聞いてる?」

『…』

 答えてくれないの?

 はぁ…答えはもらえなさそうね。


 少し時間をあげるか…

「ま、いいわ。明日に答えを聞きに来るわ。いい?」

『…』


 NeuraLumeの回答がもらえないので、私はドアを開けようと押すと、ゴンと音がした。

 何? 何かにぶつかった?

 私はもう一度ゆっくりドアを開いたら、悠人が立っていた。

 悠人にぶつけたのね…


「ごめん。悠人が扉の前にいるとは思わなかったから… もしかして、中の話を聞いていた?」

「いや、何か喋っている声が聞こえたが、内容まではわからなかった」


「そう」

「『そう』じゃない」


「え?」

「場所を変えるぞ」


 悠人は私の手を引っ張って私の研究室を出た。

 廊下を歩いている人が、こちらを興味深そうに見ている…

 これって、良くないわよね?


「あのう、悠人?」

「なんだ?」


「手なんだけど…」

「うるさい!」

 えー? 何よ… 聞いてくれなさそう…

 もしもーし、悠人さん。あっちの人もこちらを見ているのですけど…

 研究室は一般とは違って、それほど色恋の話は出ないけど、それなりにあるのよ!

 悠人って意外とモテるのを知らないのかなぁ。


 悠人は私のを手を引いたまま研究室に入った。

 これじゃ、連れ込まれたみたいじゃない…


「はぁ。悠人」

「なんだ?」


「もういいわ。何を怒っているの? 私、何かした?」

「あんな不穏なチャットを見たら心配するだろ?」


「あれ? NeuraLumeの部屋に入るって書いたと思ったけど…」

「違う! NeuraLumeと対峙するって書いてあったぞ!」


「似たようなものじゃない?」

「はぁ。まぁいい。どうだったんだ?」

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