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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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報告 その2

 録音を再生したが、誰もが黙っている。

 最初に口を開いたのが所長だった。


「天野教授はアメリカに行くつもりなのか?」

「はい? そのつもりはないです」


「君は考えておくと言ったのだろ?」

「ええ。ですから考えておくと言ったのですが…」


「君の考えておくはお断りという意味か?」

「そうですが、違うのですか?」


「持ち帰り検討するという意味で、相手からすると可能性があると聞こえるぞ。では、なぜ連絡方法を聞いた?」

「葵さんが逃げたので、どこまで情報が漏洩したのか確認できていないですよね? ですから、葵さんとの連絡方法は確保しておいたいいかな?と思い、聞きました」


「そうか。二人の間で二アンスの相違があったおかげで上原を捕まえることができる可能性が残ったわけか…」

 考えておくというのは、きつく言いたくないからなんだけど…

 可能性があると聞こえる人がいるのかぁ。

 勉強になったなぁ。


「私がトイレで会ったのは葵さんだったと思うのですが、どうやって研究所に入ったのですか?」

 所長が、さっきからPCを操作しているスーツ男性を見た。

「所内のいくつかのカメラが故障させられています。そのため、侵入経路はわかりません。その故障は意図的に行われている可能性は否定できません」


「トイレにいたという上原は本人か? カメラは?」

 はぁ〜? トイレにカメラがあるの!?

「トイレにはカメラがありませんが、入り口にはカメラがあります」

 そりゃそうでしょ! 当然よ!


「天野教授がトイレに入って出る間にトイレから出た人物は2名です」

 二人の人物が映し出された。

 え? 二人とも葵さんじゃないわよ。二人とも所員で、会ったことあるわよ。


「少々お待ちください、トレースをかけます」

 PCを操作する音が会議室に響くだけで誰も話をしない。


「所内の各カメラの映像から移動を推定しました。この人物はトレースできませんでした。しかも、所内にトレースできない人物が3名います。服装も身長も若干違いますが、骨格解析をかけるまでもなく同一人物でしょう」


 映されている3人の画像にはどう見ても男性がいる…

「あのう。この3人は男性も含まれているようですが、同一人物なのですか?」

 PCを操作している人が所長を見た。

 すると、所長は「上原 晶と上原 葵は入れ替わっていることも別人に変装していたことも確認済みだ。だから男女の違いはあまり意味がない。天野教授が会ったというのも上原 晶の可能性もある」と言った。

「え? え? 双子と言っても、男女ですよ? 入れ替わるなんて無理ですよね? 身長も違うでしょうし…」

「ほぼ同じだよ」


「同じ? 晶の方が背が高いと思いますけど…」

「思い込みじゃないか? それより、天野教授には協力してもらう」


「協力ですか? 何をすればいいのでしょうか?」

「こちらの準備が整った後、公園にもう一度行ってもらう」


 葵さんを誘き出して捕まえるということね…

「わかりました。あのう。公園にはカメラがあると思いますが、その情報で葵さんが公園にいたかどうかはわかりませんか?」


「おそらくわからないでしょう」

「ベンチにマイクなどの細工をしていると思うので、公園には来ていると思います」


「ベンチの位置を確かめましたが、天野教授の右と正面には低木しかなく開けています。ですから、公園に来る必要はありません」

「開けていれば公園に来る必要はない… だから公園には来ていない? では、どうやって音を届けて、私の声を拾ったのですか?」


「おそらく音はレーザー照準器がついた超音波スピーカーで言葉は正面から映像が撮れれば、喋っている内容をリアルタイムで再生できます」

「…」

 なるほどだけど、そんなスパイ映画みたいなことするの?


「3D地図で居たと思われる場所を特定しますが、少々時間がかかります」

「わかった。天野教授、この情報は口外禁止だ」


「あのう、私が公園に行ったことは音羽教授には言ったのですが…」

「ん? 音羽教授に? あっ。そういうことか。そういう関係か、関係者でもあるので許可しよう」


「え? 誤解されているのでは?」

「天野教授、行ってよし」

 え? 出ろってことなんだろうけど、誤解が解けていないですよね?

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