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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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研究 その4

 ファイルの内容はお父さんの研究内容というか日記のようなものだった。

 最初は、お父さんが教授になるきっかけとなった認知症患者の記憶補修に関するものだった。

 これは、私は論文を読んでいるので知っている。

 アミロイドβとタウを取り除く薬で回復させた後、脳機能を活性化する薬と機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging)であるfMRIを利用して状態を確認しながら脳細胞に刺激を与え、思い出の品を見せることで記憶を想起させることで認知症患者の記憶を補修した。

 効果は絶大で一般のニュースに取り上げられるほど取り上げられるほど注目を浴びた。

 研究を外から見ていただけなので、知らないことも多々あったので思い出しながら読み進めた。


 沖芝工業からNeuraLumeという試作品が持ち込まれた。

 NeuraLumeは光量子コンピュータで人の脳細胞の動作を再現できるが、利用方法を拡大させるために共同研究の依頼された。

 沖芝工業ではNeuraLumeを利用することでAIが進歩すると考えていたが、他のAIより劣るものしか作れなかったようだ。

 お父さんの研究室にあったサーバはNeuraLumeなのかな?


 お父さんはfMRIでお父さんの脳の情報をNeuraLumeに入力したが、起動しているかどうかもわからない状態のため、沖芝工業の人と一緒の開発を開始したがまともに動作しなかった。

 NeuraLumeの研究は行き詰まり、沖芝工業はNeuraLume開発の中止を決断した。


 NeuraLumeはお父さんの研究室に寄贈するということで、そのまま利用できることになった。沖芝工業の担当者はお父さんと研究を続けたかったと言い、NeuraLumeがシミュレーションしている脳の接続状況、活性化状態を可視化できる試作ツールを置いていった。


 お父さんはその可視化できるツールを眺めていると、NeuraLumeが認知症の状態に近いという仮説を立てた。

 NeuraLumeに入力した情報はfMRIの情報のため、脳の接続情報は完璧には程遠いからだ。

 そのため、NeuraLumeの学習パラメータを上げて、お父さんの記憶に深く結びつているものをNeuraLumeに見せることで認知症の治療?を始めたとあった。


 内容はそこまでで、最後は操作手順? が書いてあった。

 操作手順の注意書きには、この端末からしかアクセスできないと書いてある…

 何かセキュリティが設定されているの?


 ん? 操作手順を見ると、ARメガネを利用することになっている。

 しかも有線タイプ? 持ってない…

 買いに行くか…



 朝、目覚めて朝食をとりながら、悠人に『昨日は送ってくれてありがとう』とメッセージを送ると、玄関のチャイムがなった。

 携帯で玄関を見ると、悠人が立っている。


 私は携帯に「悠人、どうしたの? 入って」と言って、携帯を操作して玄関の鍵を開けた。

「おはよう。悠人」

「おはよう。調子はどうだ?」


 悠人とは幼馴染で、いつも私を気にかけてくれている。

「問題ないわ。気にかけてくれたの?」

「まぁな。今日は研究室に行くのか?」


「ちょっと用事を済ませたら行くわ」

「用事?」


「メガネを買うの」

「メガネ?」


「ARメガネ。しかも有線」

「有線か… セキュリティ関連でないと売ってないぞ」


「え? そうなの? 普通の眼鏡屋さんに売っていないの? うーん調べなきゃ…」

「送っていってやるよ」


「研究所で仕事があるでしょ?」

「彩音がいないと研究助成の申請資料が進まないから、彩音の用事を手伝うのが効率がいい」


「そうですか… あっ。悠人、コーヒー飲む?」

「いやいい。ARメガネの入手が先だ。行くぞ?」


「行く? どこへ?」

「ARメガネが必要なんだろ?」


「こんな朝じゃお店が開いていないでしょ?」

「24時間営業の店があるんだよ」


「へぇ」

「彩音、何ゆっくりしている。行くぞ!」


「わかったわよ。ちょっと待って」と言い。私の部屋で準備している間も悠人は私の部屋の前で、「おーい。急げー。まだかー」とうるさい。


「私はもうちょっと…」と言うと、悠人は「車を玄関につけるので、早く出てこい!」と言って出ていった。

 私は準備して玄関を出ると、悠人は電子タバコを咥えてハンドルをトントン叩いている。

 私は車に乗り込みながら、「お待たせ」と言う。

「あぁ。待ったぞ」と言い、車を出した。

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