葵さん
私は紅茶を淹れてから、自分の席についた。
紅茶の甘い香りで少し落ち着いた。
ちょっと整理しようかしら…
NeuraLumeは外部にアクセスしている。
そして、それを誰かがサポートしている。
しかも、誰かがこの研究室を監視している?
さらに、NeuraLumeの関係者には会えない。
さらにさらに、NeuraLume社はAvatar社に光量子チップを販売?横流し?している。
何なのこの状況!
はぁ… 世の中すべてが関与しているような気になるわね。
NeuraLumeに直球で『あなたをサポートしているのは誰?』って聞く?
そんなわけにはいかないわね… まともに答えるとは限らないし、変な情報を与えることになるね。
うーん。むやみやたらと、質問できないわね…
このままだとNeuraLumeの研究って進まないじゃない!
ん? ということは、NeuraLumeの研究って詰んでない?
このままだと研究成果の報告ができないじゃん!
私、ピンチじゃん! どうしよう…
「難しい顔をしていますね。研究が進んでいないのですか?」と葵さんが話しかけてきた。
「ん? ええ、ちょっとね。研究は大丈夫よ」
私の研究がうまくいないとこの研究室の存続も危ういということは、葵さんも危ういということだから気になるよね…
「一つ如何ですか? 食べてリフレッシュしてください」と葵さんは黒い箱を開けて差し出した。
そこには、一口大のチョコが並んで入っていた。
「え! いいの?」
「はい。どうぞ」
私はチョコを取り出し、「ありがとう!」と言った。
「どういたしまして」
私はチョコを食べた。マロン? ビターチョコと合うわね。
「マロンね。洋酒が効いたマロンとチョコが合わさった大人な味ね。美味しいわ」
「そうですよね! 私、マロンが大好きなんです」
「どこのお店のチョコなの?」
「テオブロマのマロンショコラです」
「テオブロマのマロンショコラね。覚えたわ。リフレッシュできたから、研究頑張ろうかな」
「私のためにも頑張ってください」
「それが、本音ね。葵さんの研究は進んでいるの?」
「私ですか? 私は問題ないです」
「葵さんの研究ってお父さんの研究の派生だよね?」
「そうです。脳の状態確認する数理モデルを作っていましたが、認知症の治療の効果確認に適用できるのじゃないかと思って、天野教授のところに来ました」
「葵さんって情報系って強いの?」
「NeuraLumeの可視化ツールは私が作りました」
「え! 脳を3Dで見れて、活性状況を見れるので便利だなぁと思っていたの。沖芝電気が作ったと思っていたわ」
「それほど難しくないですよ。沖芝電気は光量子チップの状況しか見れなかったので、天野教授が脳の活性状況への変換に手間取っていたので作りました。見たい内容が足りないなら変更できますよ」
「ほんと? すごいわ。葵さんがいてくれたおかげで、お父さんが助かっていたのね。晶も情報系が強かったから、助かっていたわ。兄弟でお世話になっていたのね」
「お世話なんて、私たちの方が助かっています」
「葵さんはLinuxやネットワークに強いの?」
「強いか弱いかと言ったら、強い方だと思います」
「そうなのね。NeuraLumeのことについて、相談するかもしれないけど、お願いね」
「NeuraLumeはかなり特殊なので、わからないことが多いので力になれないかもしれません」
「NeuraLumeって特殊なの?」
「ええ、OSも特殊ですし、光量子チップは沖芝電気の独自チップですから…」
「そうね。ここの研究所の設備は特注品が多いからねぇ… 難しいよねぇ」
「相談いただければ、できる限り頑張ります」
「うん。ありがとう」




