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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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デーモン

 どんな顔をして悠人に会えばいいのよ! と考えながら出社した。


「おはよう」

「おはようございます」


 ふと、葵さんのPCの画面が見えたが、Avatar社の名前が見えた。

 Avatar社は私にとってホットな話題だ。

 気になるので聞いてみようかな?


 私は自分の席に座り、PCを起動しながら「何の記事を見ているの?」と聞いた。

 葵さんは失敗したという感じの表情が一瞬でたような気がした。

「あっ。これですか? AI関連の記事です。遊んでないですよ」


「AI関連? Avatar社? どんな会社?」

「AGI(Artificial General Intelligence)の会社のようですよ」


「へぇ。成果は出ているの?」

「出ているようですよ。Avatar社のAGIの完成は間近という噂があります」


「Avatar社って聞いたことがなかったけど、有名なの?」

「そうですねぇ。前はたいしたことない会社だと思いますよ」


「そう? AGIの情報は入れておく必要があるから、私も調べようかなぁ」と言いながら、Avatar社の情報を検索した。

 検索結果は最近のものというか、この半月ぐらいの間に増えているわね。

 NeuraLumeも検索したが、ほぼ検索にヒットしないし、別のものと思われるものがほとんどだ。


「難しい顔をしていますけど…」

「え!? そう? Avatar社ってどんな会社なんだろうっと考えていただけだよ」


「Avatar社ですか? 設立メンバも聞いたことがない人ばかりですよ。だから、さっきの記事も資金集めのための広告記事じゃないか?と思います。調べる価値はないと思いますよ」

「有名人がいれば成功するというわけじゃないじゃない?」


「そうですね」

 ん? ちょっと葵さんに違和感を感じた。

 何この違和感? 

 葵さんは情報を広げるタイプで、調べる価値がないなんて言わないと思う。たぶん。


 葵さんのことは晶と双子以外は知らないなぁ。

 ちょっと聞いておこうかな。

「話は変わるけど、葵さんってどうしてお父さんの研究室に来たの?」


「天野教授の募集に応募しただけですよ」

「へぇ。そうなんだ」


「音羽さんは募集だったのですか?」

「研究室を持つときの募集の前からいたと言うか…」


「あっ。そういうことですね」

「え? どういうこと?」


「わかりましたので、説明はいいですよ」

「葵さん、何か誤解しているでしょ?」と私が怒っていると、ドアがノックされて開いた。

 悠人が私に目配せをした。

 何か話があるのね。


 私は席を立ち、廊下に出た。

「どうしたの?」と声を潜めて話した。

「以前、『たすけて』というメッセージを送ってきたことがあったろ?」


「あったわね。あのメッセージはNeuraLumeが送ったのよね」

「そうだが… 彩音、どこまで知っている?」


「どこまでって、私が送っていないならNeuraLumeしかいないじゃない?」

「そうだが… あのメッセージはファイアウォール設定後だから、NeuraLumeの部屋からは通信できなくなってから送られている」


「え? じゃ、NeuraLumeじゃないってこと?」

「いや、NeuraLumeだ」


 悠人は携帯端末でファイル一覧の一つを指差した。

「このファイルに心当たりがあるか?」

「いいえ。このファイルって踏み台サーバのよね?」


「あぁ。このファイルはずっと起動していて、それを利用してNeuraLumeは外部にアクセスしている」


「へぇ。そんなことができるの? まるでウィルスじゃん。誰が設定したの?」


「ウィルスのように動作させているが、ウィルスじゃない」

「ふーん。でも、私の権限で動作しているなら、ログアウトすれば止まると思うけど…」


「デーモンなんだよ。それで気づかなかった」

「デーモン? バックグランドで動くんだっけ」


「そうだ。変だろ? ルート権限の誰かが設定したのだろうが、誰かわからん。ルート権限があれば、ログを見れるが、見せてくれないだろうな」

「そうね。見せてくれる気がしないわ。ルート権限はシステム管理部が持っているということはシステム管理部にお願いして止めても別手段に切り替えられる可能性が高いわね」


「あぁ。だから、システム管理部には何も言うな。こっちでもう少し調べる」

「わかったわ」

 悠人は立ち去ったので、私は研究室に戻ると、葵さんが生暖かい目で見ている。

 はぁ… 完全に誤解したわね…


「悠人の研究で相談されていただけよ」

「はいはい」

 あっ。ダメだ…

LinuxやUnixの知識がなくてもわかるように書いているつもりですけど、伝わらないかな...

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