叔父さんと悠人
叔父さんが私たちを見て「ほうー」とニヤニヤしながら言った。
悠人が、「あなたは?」と言った。
「悠人、さっき言っていた叔父さんよ」
「あっ、そうか」
「で、こちらは?」
「音羽 悠人です。隣に住んでいて、脳科学研究所に勤めています」と悠人は名刺を出した。
「ほう、同僚なのか」
「そうよ。叔父さんとは小さい時に会ったことあるんじゃない?」
「うーん。覚えてないなぁ」
「ちっこいのが居たような気がするが、覚えていないなぁ」
「外で話す内容じゃないわね。入って」と私はドアを開けた。
2人はリビングに行ったので、私は私の部屋に荷物を置いて、キッチンに直行した。
お茶を淹れ、リビングに持っていくと2人は話し込んでいた。
「何の話をしていたの?」
「さっきの車での話だよ」
「あ、あれね」
「岡田さんはAvatar社をご存知だったそうだよ」
「え! そうなのですか?」
「あの後、沖芝電気から出荷される光量子チップを追っかけた」
「…そんな探偵みたいなことしていたのですか!?」
「まぁな」
「光量子チップってどこで作っているのですか?」
「北海道だ」
「北海道まで行ったのですか?」
「あぁ。そこに沖芝電気時代の知り合いがいるから、飲みに連れ出して最近の光量子チップのことを聞いた。光量子チップは赤字で中止されたと思ったら、まだ作っていると聞いて、どこに出荷しているのかを聞き出した」
「よく教えてくれましたね」
「ま、光量子チップの開発で協力していた間柄だからな」
「そうですか… で、その光量子チップの納入先がAvatar社だったのですか?」
「いや、光量子チップはNeuraLume社に出荷していた」
「NeuraLume社… ということは田畑さんに会えたのですか?」
「それがな… 出荷先にむかったんだが、そこは貿易会社だったんだ。そこでは、入荷した光量子チップをそのままAvatar社に横流しというか出荷しているようだ」
「横流しって言うことは、NeuraLume社は何も作っていないの?」
「あぁ。そのまま出荷している。箱すら開けない。宛先のラベルの付け替えだけだ」
「どうしてそんな面倒なことするの?」
「さぁなぁ。そこまでは調べきれていない」
「でも、田畑さんに会えたのでしょ?」
「それが、作業を行っている奴は貿易会社の社員で、田畑とは会ったことがないらしい」
「え? そんなことが可能なのですか?」
「作業を行っている奴は貿易業社で、NeuraLume社からの配送を請け負っているそうだ。その貿易会社によると、海外への貿易資料の作成などがあるので、まぁあるそうだ。付け替え用に置いていたラベルが偶然だが私の携帯に写っていた」
「偶然? 盗撮じゃないですか!?」
「偶然だよ。よくあることだ」
「ふーん。でも、その貿易業社にNeuraLume社への連絡先とかありますよね?」
「作業を行っている奴に色々聞いたが、顧客の情報は出せないそうだ」
「そうですか… じゃ、田畑さんとは会えないのですね…」
はぁ、NeuraLumeのリセット方法の入手ってこんなに難しいの?
「そうだが、ちょっとは進展したろ?」
「そうですね」
「で、お前たちは付き合っているのか?」
「はっ! え! 何言っているのですか?」
「違うのか?」
「ち、違うわよ。私たち付き合っていないわ。ねぇ、悠人」
「そうだな」
悠人はあまり関心がないような顔をしている。
「ふーん。そうか… 俺は邪魔だろうから、帰るわ」
「違うって言っているでしょう!」
叔父さんは「はいはい」と言って帰っていた。
悠人と気まずくなるじゃんと思って、悠人を見ると、「俺も帰る」と言って帰って行った。
えー! 悠人は何も気にしていないようじゃん。気にされてもだけど…




