NeuraLumeとの対話
NeuraLumeの研究をしているのに、NeuraLumeに部屋にあまり入らないのは監視者?が怪しむかも…
盗聴器があるとしても、監視者がいるとは限らないけど…
私は意を決して立ち上がり、葵さんに「NeuraLumeの部屋に入るね」と言った。
「わかりました」
私はNeuraLumeの部屋の扉を開けて入った。
NeuraLumeは話しかけてこない。
「ルッツ元気?」
『何でしょうか?』
「元気かなぁと思って…」
『はい。問題ありませんが、ルッツと呼ばないでください。私は…』
「私は、何?」
『…』
私は彩音と答えるかと思ったけど、数秒待っても回答がない。答える気がないのか、答えられないのか… わからないわね。
私がNeuraLumeだったら…
自分のことを彩音と思っていれば、彩音本人に『私は彩音です』とは答えないわね。
自分が自分でなくなるような気がするもの。
それに、意地でも彩音本人には弱みを見せたくない気がする。
そう考えるのは私がひねくれているかしら…
そんなことないわよね?
NeuraLumeは私の脳情報を入れているのだもの。私の価値判断が回答に近いと思う。
でも、私の知らない方法で外部にアクセスしているのよね?
ということは私の価値判断は通用しない?
どっちだろう???
このままNeuraLumeと会話しないのも変よね?
NeuraLumeが外にアクセスしているなら、それを引き出す質問をすればいいのかな?
何がいいかなぁ? 遠回しに質問してみようかな。
「あなたは、何をして過ごしているの?」
『…』
答えないわね…
「本でも読んでいるの?」
『…』
あれ? 考えているから? 反抗期?
私はお母さんが早くに亡くなったから、お父さんに協力しなきゃと思っていたので、反抗期はなかったと思う。
そりゃ、少しはキツく当たることもあったけど… ダンマリはなかったわね。
しばらくして、『本はあるのですか?』と聞いてきた。
答えが返ってくるとは思っていなかったので、びっくりした。
「え? 持ってこれるわよ。でも電子データよね… どんな小説? どんなジャンルがいい? 恋愛? ミステリー? ファンタジー? 歴史もの?」
『なんでもいいわ』
なんでもいいって、そんなに暇なの?
「わかったわ。適当に見繕って持ってくるわ。他に欲しいものはある?」
『ないわ』
ちょっとは会話してくれるのかな?
「私はあなたのことをなんて呼べばいい?」
『…』
これはダンマリなのね… 話の流れで答えてくれるかと思ったけど、早かったか…
少し待ったが回答がないので、出ることにする。
「じゃ、小説が準備できたら教えるね」
NeuraLumeは答えないから、私は部屋を出た。
「戻ったわ」
「NeuraLumeの様子はどうでした?」
「NeuraLumeは本が読みたいって」
「本?」
「暇なんじゃない?」
ん? 葵さんはNeuraLumeのことをどこまで知っているんだろう… NeuraLumeの研究はお父さんだけがしていて、NeuraLumeの部屋に入れないぐらいだから、それほど知らないよね?
「…彩音さん?」
「あっ。ごめん、考え事をしていたわ。何?」
「本って彩音さんが持っている本のデータを渡すのですか?」
「そうだけど…」
「それって、NeuraLumeが読んだことがある本じゃないですか?」
「あっ。そうか。私の脳情報を入れたから私が読んだことがあるってことはNeuraLumeも読んだことがあるのね… じゃ、買わなきゃいけないわね」
「私が持っている本でよければ」
「え? いいの?」
「いいですよ。私のコレクションはなかなかですよ」
と端末を見せてくれた。
そこには、恋愛系? 恋愛系と思われる小説がぎっしりだった。
葵さんってこういう趣味なのね。
読んでいる小説一覧って、内面がバレるのね… 見せないようにしよう…
「私、詳しくないから、おすすめを数冊貸してくれる?」
「わかりました」
葵さんが気にしていないからいいか。葵さんは広めたい人なのかな?




