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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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不正アクセス

 私は研究室で雑務をしていた。

 岡田さんには『研究はしてもいいが、沖芝電気には関わるな』と言われたが、悠人には『リセットする方法が明確になるまで、NeuraLumeの部屋には入らない方がいい』と言われている。

 NeuraLumeに向き合うのはちょっと怖いから逃げいているというのが本音なんだけど…


 ふと、メールを見ると銀行からメールが届いている。

 内容は、お金を他行に振り込んだ理由のアンケートだった。

 ん? 他行に振り込んだ!? そんなのした覚えがないわ。

 お父さんの遺産が入っていたから、かなりの金額が入っていたはず…


 私は嫌な想像をしながら、銀行のWebページにアクセスして残高を確認すると… 減っている… 全額じゃないけど9割がたなくなっている。

 えー。9割もないじゃん! どうしよう… 取引履歴を確認しなきゃ!


 私は青くなって、取引履歴を確認すると、一昨日に信託銀行の口座に振り込みが行われている。

 振込先は”私の”信託銀行の口座だった。


 信託銀行にアクセスすると、取引残高が振り込まれた分に近い数字が増えているけど、ピッタリではないわね… なくなっていないのはよかった。


 えっと、そうだ! パスワードを変更しなきゃ!

 とりあえず、銀行と信託銀行のパスワードを変更した。

 うーん。これでちょっとは安心ね…


 ん? よーく口座を確認すると、ちょっと減っているかと思ったら、ちょっと増えてる?

 増えているじゃ警察は動かないわね…

 でも、どうしてちょっと増えているんだろう… あっ。信託銀行の取引履歴!


 信託銀行にアクセスして取引履歴を見ると… ん? バランスファンド?を購入?

 何これ? 目論見書を開くと、株式と債券を組み合わせたファンドで安定的に7%のリターンを目指す? 株式暴落時のリスクを考えたファンド?

 ちょっとまともじゃない?


 ファンドの購入で手数料が引かれたけど、昨日の今日で運用益が出ている。

 トータルで見ると増えているのか… すごいわね。


 この信託銀行のファンドは厳選されているってお父さんが言っていたから、最悪なものはないならこのままでもいいか…

 このまま放置しておいてもいいのだろうか?


 登録振込先に変なものが登録されていないのか確認した。振込先の登録はワンタイムパスのデバイスがないと追加できないから、たぶん大丈夫。

 うーん。大丈夫よね? お父さんが残してくれたお金だもの、無駄にできないわ…


 あ! ウイルスチェックしてないじゃん!

 私はPCのウイルスチェックを動かした。…問題なしか。


 研究室のPCからじゃないとすると、家のPC?

 だとすると、家に帰るのが怖い… 悠人にお願いするか… 私は悠人にチャットした。


『悠人、一緒に帰ってくれない?』

『どこかに寄りたいのか?』


『そうじゃないけど…』

 あれ? 応答がないな?

 研究室の扉が開いた。


「彩音」と言って、手のひらを下にして動かしている。

『しっし、来るな?』じゃないわよね。『来い』ってことよね?

 私は立ち上がって部屋を出た。


「どうした?」

「あのね。悠人、そのハンドシグナルは来るなよ。来いは手のひらは上」

 私は手のひらを上にして動かした。


「わかっただろ? で、何かあったんだろ?」

「私の銀行口座を勝手に操作されたの。私のPCは私が持ち歩いているし、ウィルスも問題なかったわ。ということは家で操作されたかもしれないから…」


「なるほど。で、用心棒が必要ということか」

「ご明察です」


「今からチェックするだろ? 帰るぞ」と私の返事を待たずに行ってしまった…

 私が研究室に戻って、「今日は帰るわ」と葵さんに言った。


「わかりました」とニヤニヤしている。

 ん? なんか勘違いしている? どうも葵さんは私と悠人が付き合っていると思っているのよねぇ。


「あっ! 違うからね!」

「はいはい」


「本当に、違うのに…」

 私は荷物をまとめて研究所の建物を出たら、悠人が車をまわして出てきたところだった。

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