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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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研究 その2

 私と悠人は一緒に部屋を出た。

「彩音、疲れているんじゃないか?」

「大丈夫よ」


「悠人も疲れているように見えるよ」

「警察の事情聴取は結構時間がかかったからな。彩音も時間がかかったろ?」


「そうね。あの人たち似たような質問を何度もするんだもの。その度にこの人たち記憶力がないのかしら?と思ったわ」

「それな。心理的な圧迫や証言の一貫性を調べるためらしいな。俺も同じような質問をされたぞ。俺たちは質問に対する回答は矛盾がないように回答する癖がついているから問題ないがな。経験レベルが違う」


「矛盾がないように回答するって、悠人が研究発表でボコボコにされないための手法なの? 研究内容を誠実に回答すればボコボコにはならないわよ」

「はぁ。俺の研究の穴を突かれるとその場で考えた回答になるから、矛盾することがあるんだよ」


「検討不足なんでしょ?」

「その通りです…」

 悠人と話をしているとお父さんの研究室についた。私はノックをして扉を開ける。

 葵さんが、パソコンを操作していた。


「おはようございます、葵さん。午前ですが、問題ないですか? お忙しいなら午後に来ます」

「いえ! 早く来てくださって助かります。音羽さんも一緒なんですね」


「ええ。悠人も研究室を見たいというので、ついてきました」

「すみません。天野教授の研究を間近で見れるチャンスですから、それを逃すわけにはいきません」


「悠人は葵さんに会いたかっただけじゃないの?」

「確かに上野さんがいると目の保養になるけど、天野教授の研究には大いに興味がある」


「そう?」

「あっ。彩音、本当だぞ」


 葵さんは私と悠人を交互に見て、「あのー。よろしいですか?」と言った。そして、葵さんはどうしようかなぁという顔を一瞬したが、話を続けた。


「天野教授のパスワードを知らないですか?」

「パスワード? 何のパスワードですか?」


「天野教授の実験装置のパスワードです」

「パスワードなんて知らないわ。実験で必要なら上野さんも知っているのでは?」


「触ります。研究助成になったものは知っていますが、研究助成になる前の天野教授の研究や調査の部分は天野教授しか知らないのです」

「研究助成になっていないものは問題にならないですよね?」


「進めている研究は問題ないのですが…」と葵さんが言い淀んだ。

「どうしたのですか?」


「こちらに来てください」と葵さんが立ち上がって歩き出したので、ついていく。

 扉を開けると、端末が一つ以外はサーバーラックのデータセンターのような部屋があった。

 悠人が、ラックの前に立った。すると、「こちらは天野教授の研究室です。御用は何でしょうか?」と男性の声がした。


 私は周りを見渡したが、人はいない。

「これって、監視装置がついているのですか?」

「監視カメラなどは付いています」


「で、この声の主は誰ですか?」

「おそらく、この部屋の監視装置だと思います」


「葵さんがこの研究室を引き継ぐのでしょ? だとすると、知らない設備は困るわね…」

「私が引き継ぐなんて…恐れ多いです」


「どちらにしろ、新しい後任が決まってからどうすればいいか考えればいいじゃないですか?」

「私もそう思って研究を続けていたのですが、上から設備をどの研究がどの程度使っているのか出せといわれたのです」


「もしかして、お父さんの研究室を解体するつもりかしら…」

「私は上の意向はわかりませんが、この部屋だけ調べる方法がなかったので、天野さんにお聞きしました」


「そう言われても…」

「天野教授は家から研究室にアクセスしていたこともあるので、ご自宅に何かありませんんか?」


「家? 私は父の部屋には入らないのでわからないですが、部屋で過ごす時間は長かったのは研究をしていたのですね…」

「彩音、調べてやれよ。送ってやるよ」


「父の部屋を調べます」と言うと、葵はほっとした顔をした。

「彩音?」と声がした


「ん?」一瞬、お父さんに声をかけられた気がした。

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