悠人に相談 その1
NeuraLumeについて知っている人にこの現象を相談したいけど…
葵さんはNeuraLumeの部屋に入れないぐらいだから、ほとんど知らないよね。
吉川さんに聞きたいけど、連絡が来ないとね…
モヤモヤ考えているうちに、2日経過した。
研究室のドアがノックされ、葵さんが立ち上がると同時に、ドアが開いた。
顔を出したのは悠人だった。
「おはようございます」と葵さんが言った。
「おはようございます、葵さん。様子を見に来ました」
「ありがとうございます。お手数をおかけします」
「問題ないですよ」
何? あら、親密じゃない? 悠人と葵さんって付き合っているの? 若いわねぇとおばさま同士の変な会話が頭の中で再生された。
「彩音、何を考えている?」
「え? 別に…」
「そうか? NeuraLumeの部屋に入っていないそうじゃないか?」
「そうね… 私もそれなりに忙しいのよ。ん? どうしてNeuraLumeの部屋に入っていないことを悠人が知っているの?」
「葵さんに相談されたからだよ」
「相談ねぇ…」
「なんだよ」
「なんでもないわ」
悠人は私からは回答がなさそうだと思って、葵さんに話しかけた。
「葵さん、彩音は忙しいのですか?」
「…私にはわかりません」と言ったが、『私に話をふらないで!』と言っているような気がした。
悠人に相談した方がいいかな? でも、この部屋は盗聴されているんだった…
自然に外に出る方法がないかな? うーん。あ!
「悠人、ARグラスをもう一個買いたいんだけど、あの店に連れていってくれない? 場所がわからないの」
「何に使うんだ? 持っているだろ?」
「家用に買いたいの。そうすれば、持ち運ぶ必要がないでしょ?」
「おおちゃくだな」
「バッグの中は他のものでいっぱいで重いの!」
「無駄なものを持ち運ぶからだろ?」
「無駄なものなんてないわ。最低限よ」
「そうか? まぁいい。で、いつ連れて行けばいい?」
「今から」
「今? 急だな」
「今、時間があるから来たんでしょ?」
「わかったよ。玄関に車を回すよ」
「ありがとう」
悠人が出ていった。
「ということで、今日は帰るわ」
「お疲れ様です」
私が玄関に行くと、悠人の車が来るのが見えた。
私が車に乗り、「ジャストタイミングね」と言った。
「perfect timingだ。ジャストタイミングは気持ち悪い」
「え? 間違った使い方と言いたいのはわかるけど、伝わるならいいじゃん」
「間違いはよくない。それより、本当にあの店に行きたいのか?」
「さすが、悠人。私の家に行こう」
「わかった」
特に私達は話をせずに、家についた。
「ありがとう」
「車を停めたらすぐに行く」
「わかったわ」
部屋にバックを置いて、お湯を沸かしていると、悠人が入ってきた。
「悠人、ちょっと待ってて、お茶を淹れているから」
「あぁ」
悠人はソファにドカっと座った。
私はお茶の入ったマグカップを置いた。
「ありがとう。で、どうして研究室で話をしなかったんだ?」
「あの研究室には盗聴器が仕掛けられているらしいの。だから用心のためよ」
「盗聴器? 本当か?」
「岡田さんが研究室に盗聴器があるって教えてくれたの。ここにはないそうよ」
「…そうか」
「なに? 悠人は岡田さんを信用していないの?」
「直接会ってないからな」
「悠人は盗聴器を調べる機械を持っていない?」
「持ってないな。だが、あの店にはあると思う」
「あの店って、ARメガネを買った店だよね? あの店ってなに?」
「便利だろ?」
「便利かもしれないけど、怪しい店よね」
「その話はもういい。NeuraLume関連で何かあったのか?」
悠人は鋭いわね。




