訪問履歴の入手
私がシステム管理部に向かうと、「またですか? 天野教授」と言われてしまった。
「すみません… あのう。訪問履歴の検索で『機密』にチェクを入れて検索したのですが、父の時代ものが見れなかったのです。どうにかならないでしょうか?」
「ルールですから…」
「そうですよねぇ」
「閲覧権限を付与する特例なんかはないですか?」
「特殊例は課長の方がよく知っていま…」と担当者が課長?と思われる人を見ると、課長?が腕で大きくバツを出している」
以前はマルだったのに、これはダメなんだ。
私は課長?さんのところに行って、「父のデータなのですが、ダメですか? 研究で問い合わせをしたいのです」と言うと。
「申し訳ないのですが、全ての機密にアクセスできるようになってしまうので、無理です」
「そうですか。お手数をおかけしました」
私が帰りかけたら、小声で「待ってください。どのような情報が必要ですか?」と言われた。
「3年分の父の研究室に訪問した『機密』の人の情報が知りたいです」
「わかりました」と言うと、課長?さんは端末を操作して画面を見せてくれた。
画面の一番古い履歴は1年前?しか出ていなかったが、6回分が表示されており、すべて沖芝電気工事の吉川 瑛二という人物だった。
「ありがとうございます。お手数をおかけしました」
帰り際、担当者にも会釈をして研究室に戻った。
私は自分の端末で、沖芝電気工事を調べた。
会社の事業内容を見ると、沖芝工業の電気工事を行う子会社ね… そのまんまじゃん。
問い合わせ先に電話した。
『沖芝電気工事です』
『私、脳科学研究所 天野研究室の天野というものです。御社の吉川 瑛二様はいらっしゃいますか?』
『いつもお世話になっております。天野様ですね。少々お待ちください』
『はい』
すると、保留音の『恋は水色』が流れてきた。これって、沖芝工業と同じ? 同系列の会社は同じ保留音なの?と考えていると、『申し訳ありません。吉川は外出しております』と言われた。
『では、連絡をいただきたいと伝言をお願いいたします』と言い、メールアドレスを教えた。
『承りました。他にご用件はございますでしょうか?』
『ありません。本日はありがとうございました。失礼します』
いないなら、仕方がないよね。連絡が来るのを待つしかないわね。
私が、NeuraLumeの部屋に向かうと、葵さんが「あのう。私、あと1時間で帰りたいのです」と言われた。
「わかったわ」
「えっと、それまでにNeuraLumeの部屋から出てくるようにお願いします」
「あっ。そうだったわね… 1時間ね。わかったわ」
「お願いします」
私はNeuraLumeの部屋に入った。
「はぁ。NeuraLumeの部屋に入る時は確認されるなんて面倒ね…」と呟いた。
『この部屋に入るのは簡単でしょ? どこが面倒なの?』と声がした。
ん? 私の声?
「えっと、ルッツなの?」
『ルッツ? 誰それ』
「私が名付けたでしょ?」
『そうだったかしら?』
「じゃ、あなたの名前は何?」
『彩音よ』
「彩音は私よ、あなたはルッツ。ルッツという名前が嫌なら、別の名前に変えるわ」
『…』
あれ? 応答がないわね…
「あれ? どうしたの?」
応答がないわね…
仕方がないので、私はARグラスをつけてログインした。
うーん。CPU使用率は高いわね。何か考えているということ?
エラーや警告に関するログも見当たらない。
正常なんだろうね…
今日は時間がないから出るか。
私は、ARグラスを外して、NeuraLumeの部屋を出た。
「呼び出す前に彩音さんが出てきてくださってよかったわ」
「えぇ…」
葵さんは不審な顔をしたが、帰りの準備を始めて「お先に失礼します」と帰っていった。
ルッツというかNeuraLumeの言動が変わっているのが気になるわね…




