研究室の権限
はぁ。面倒ね。
えっとぉ。訪問履歴を調べないとね。
私の研究室なんだから、権限があるはずなんだけど…
システム管理部に問い合わせる必要があるわね。
あのシステム管理部の人とは今は顔を合わせたくないけど、仕方がないわね。
「あの〜」
「はい。天野教授」
「私は研究室の管理権限は与えられていないのですか?」
「研究室の権限はありますよ。ちょっと待ってください」
端末を操作して状態を確認してくれた。
「天野教授の研究室に… あっ。すみません。以前の研究室のままになっています」
「そうですか。では、権限の付与をお願いします」
「そうすると、以前の天野教授の研究室の権限がなくなりますが問題ないですか? 2つは付与できないのです」
「わかりました。権限の付与をお願いします。以前の研究室は音羽が引き継ぎましたので、音羽に権限を付与してください」
「音羽さんに付与するには講習終了後になりますね」
「じゃ、講習を受けさせてください」
「わかりました。音羽さんの講習の案内を送ります。そして… 天野教授に権限を付与しました」
「ありがとうございます」
私は部屋に戻り、早速訪問履歴を検索する。
私は講習で機密にすると他から訪問履歴を参照できなくできると聞いていたが、どんな理由だっけ?
AIにマニュアルを指定して、チャット問い合わせする。
『訪問履歴に表示されない機密の訪問はどういうもの?』
『革新技術、軍事技術と認定されたものになります」
『革新技術、軍事技術は誰が認定するの?』
『学院会議で認定します」
『学院会議はどんなメンバで構成されるの?』
『ボードメンバです」
『ボードメンバは誰ですか?』
『非公開情報です』
非公開か… でも、学長はあ含まれているだろうな。
天野教授の研究情報を開くと… なるほどね。NeuraLumeは革新技術ね。
軍事技術じゃなくてよかった…
すっきりしたところで、訪問履歴の検索だ。
検索条件に機密がチェックできるようになっているので、チェックを入れて検索する。
あれ? 検索結果がない…
ということは、訪問していないってこと? それはおかしいわね。
検索期間を指定しても、ダメ…
うーん。どうして?
「おい、彩音!」
急に呼ばれて、ビクッとした。振り向くとそこには怒った悠人が立っていた。
「何よ! びっくりしたじゃない!」
「急に研修を受けろと指示が来たから、問い合わせたら彩音の指示だと言われたぞ!」
「あっ。あれね。研究室の管理には必要でしょ?」
「彩音がすればいいじゃないか?」
「研究室の管理は2つ付与できないんだって。ここの権限を付与してもらったら、”音羽研究室”の権限がなくなるの」
「そうか… だが、”音羽研究室”というのは辞めてくれ」
「じゃ、どうするの?」
「研究内容の研究室もあるだろ? 研究内容の名前にする」
「ということは、過学習研究室? 変よ」
「じゃ、前のままで」
「天野研究室? だめよ。同じ名前で嫌な顔をされたんだから…」
「でも、変えるのは面倒だし、そのままにする」
「”音羽研究室”でいいじゃん。それに、変えろと言われるわよ」
「…権限と言っていたが、訪問履歴の機密の履歴を検索したか?」
「あっ。そうそう。検索したけど、結果は0件だったの」
「なるほどな」
「え? なるほどなの? どうして?」
「以前の研究室の情報を検索できると問題だろ?」
「どうして?」
「権限は部屋に対して与えられるんだろ?」
「そうよ」
「研究室の場所が同じでも、旧が機密を扱っていたが、新が全く別の内容だったら?」
「あっ。検索できると問題だよね」
「そういうことだ。まともな仕様で作っているな」
「うーん。0件の謎は解けたけど、誰が知っているんだろう… さすがに学長は見れるよね。でも学長にお願いするのもねぇ… システム管理部にお願いする?」
「がんばって、調べろ」
はぁ。どうしよう… 悠然としている悠人に腹がったので…
「悠人は研修頑張ってね。時間もかかるし、テストに合格しないと終われないからね」
「え? もしかして、彩音がブツブツ文句を言っていた研修か!?」
「そうよ」
項垂れる悠人を見て。『ヨシ!』と小さくガッツポーズをとった。




