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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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アラーム鳴動の条件

 悠人はいつの間にか逃げていた… 葵さんがいないと思ったら、マグカップに紅茶をいれて私の前に置いてくれた。


 私はシステム管理部から届いたメールを見て、始末書を書いてワークフローを起動した。


「ねぇ、葵さん。さっきのアラームだけど、どうしたら鳴るのか一緒に考えてくれない?」

「あっ。音羽さんがアラームの話をしたいとチャットが来ています」


「悠人が? どうして私宛じゃないの?」

「さぁ。音羽さんに連絡します」

 しばらくすると、悠人が研究室に入ってきた。


「悠人、いつの間にかいなくなっていたわね」

「アラームの条件なんだが…」

 あっ。悠人、無視したわね! と思い悠人を睨んだが、悠人は涼しい顔で端末を操作して、プロジェクタに投影した。

 そこには、

 ・彩音がNeuraLumeの扉を開けたままfMRIを操作

 ・認証されていないものがNeuraLumeの中に一人になった場合

 と書いていた。


「アラームが鳴ったのはこの2つの状態だと思うが、認識はあうか?」

「NeuraLumeの扉を開けたままfMRIを操作とあるけど、一定時間開けっぱなしだったからかもしれないわよ」


「なるほど… 葵さんは研究室で天野教授がNeuraLumeの部屋を使っているところを見ているだろ? どう思う?」

「そうですね… 教授は扉はきっちり閉める人ですから、開けっぱなしなんてなかったと思います。ですから、わかりません。NeuraLumeの整備に来ていた人は一人で作業していてもアラームが鳴らなかったのは、登録していたのかな?」


「そうか」

「NeuraLumeの整備に来ていた人!?」


「な、なんですか?」

「NeuraLumeの整備に来ていた人はシステム管理権限を知っているんじゃない?」


「あっ。整備で必要で知っているかもしれませんね。でも名前なんて知りませんよ」

「じゃ、だめね。いいと思ったんだけど…」

 .

「いや、名前はわかるはずだ。彩音、天野研究室の権限は持っているんだろ?」

「持ってるわよ」


「じゃ、この端末でログインして、訪問履歴を出せ」

「あっ。整備で訪れた人は入門ゲート通過のため、訪問しているものね」

 私はログインして、訪問履歴の検索を行った。


「かなり訪問が多いわね… これは、取材、こっちは大学の先生ね。葵さん、いつ頃整備に来たかわかる?」

「えっと。年末だったかな?」


 私が年末を探していると、悠人が「ないな」と言った。

「え? どうして?」

「訪問履歴には訪問理由で分類されていんだよ。訪問番号が『V』のものしかない。『V』は取材などの訪問だ。整備は『M』だが、『M』の番号はない」


「そう言えば、番号付与ルールあったわね… 忘れていたわ。じゃ、『V』で入ったんじゃない?」

「いや、入り口で持ち物確認がある。訪問では整備道具は持って入れない」


「え? でも年末に来ていましたよ」

「だとすると、年末の整備道具は不要だったんじゃない?」


「そうかもしれないな。過去には機器の搬入があっただろうから、訪問履歴をもっと前にスクロールしてくれ」

「わかったわ。…『M』の履歴はないわね… あっ!」


「何だ?」

「教授になった時というか、部屋を渡された時に、機密事項の説明があったわ。それにはね」


「彩音、ちょっと待て」

「何よ」


「機密事項に関することをここで話して問題ないのか?」

「どういうことが機密事項になるかという話で職員が聞いても問題ないと…」

 そう言えば、この部屋は盗聴されているんだっけ… 忘れていたわ。


「どうした?」

 悠人が怪訝そうな顔してこちらを見ている。

「そうね。機密事項だものね。訪問の話は終わりにしましょう。それにアラームの話も」


 悠人は怪訝な顔を崩さないまま「そうか。わかった。だが、NeuraLumeの中で問題が発生した場合は、俺たちじゃ対処できない。それはどうにかしないと」と言うと、葵さんが頷いている。

「でも、認証登録の方法がわからないんだから、仕方がないでしょ?」


「そうだな… 俺たちがいない時にNeuraLumeの中に入るのは禁止だ。俺たちが帰るときには彩音はNeuraLumeの部屋から出ること。もし、呼び出しの応答がなかったら、扉を破壊して入る」

「過激じゃない?」


「ちゃんと応答すればいいんだから、問題ないだろ?」

「わかったわ」

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