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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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始末書

 研究室に戻ってマグカップに紅茶を入れて一息つく。

 ボケっと科学系のニュースを見ていると、メールが届いた。


 メールはログの場所を通知するメールだった。

 この場所なら、AI利用可能ね。

 はぁ… 多いわね… こんなにログを出すなんてバカじゃないの?

 絞らないと話にならないわ。


 ログは時間の後にログレベル?があって、その後にメッセージね。

 ログレベルもま、一般的ね。


『NormalとかInfoが含まれる行を除外して、単語の多い順に出力して』

 多すぎてわからないわね…


 うーん。見る場所を絞らないと、全て見るなんて不可能だわ。

『1時間毎のログ出力量をカウントして、グラフ化して』


 朝の10時ごろから増えるわね… 私がNeuraLumeに入ってfMRIを装着したころかな?

 当然ね… その後はログ数が増えるわね…


『CPU使用率とIOの負荷率を重ね合わせて』

 その後は10時ごろから上がり始めて12時には100%か…

 その頃からログ数も頭打ちで、明け方まで続くんだ…

 脳のシミュレーションをリアルタイムでできるんだからNeuraLumeは相当速いはずよね。

 しかも、サーバラック3本でできるんだから最高峰だと思うわ。

 でも、100%になるということはシステムの想定以上の負荷をかけちゃったということよね。


 これって、私のfMRIデータをリアルタイムで投入したからよね?

 想定外の入力をしたから、NeuraLumeがおかしくなったのかな?

 だから、ルッツが自分を忘れた? しかも女性化?

 ルッツの変化がちょっと怖いんだけど…

 急に女性の音声に変わったし… 私の声に似ていたような気がする。


 NeuraLumeの部屋でしゃべった私の声を利用したのかな?

 九官鳥やオウムみたいなもの?

 私、鳥はちょっと怖いんだけど…


 私のデータへ上書きしたことは失敗だったかなぁ。

 でも、リセットできないから他に方法はないんだよねぇ。

 今は中途半端に私に上書きされた状態だからおかしくなった?

 だとすると、このまま私に染めれば問題ないのかな?


 うーん。やるか! と思い、私は立ち上がって、NeuraLumeの部屋の扉に向かうと、葵さんに声をかけられた。

「彩音さん、NeuraLumeの部屋に入る前に悠人さんに連絡してください」

「どうして?」


「出てこなかったからです」

「…わかったわ」

 私は悠人に連絡したら、『すぐに、行く』と応答があった。

 しばらくすると悠人があらわれ、「彩音、NeuraLumeの部屋に俺と葵さんが入室できるように設定しろ」と言った。


「えっと。どうやって?」

「変更権限があるだろ?」


「うーん。あるか、ないかわからないし、変更方法のマニュアルもないわ。この部屋って研究室の部屋のセキュリティとは別のようなの」

「確かに、アイリス認証だな」


「この目の認証ってアイリス認証って言うんだ…」

「彩音はいつ登録したんだ?」


「した覚えはないわ」

「そうか… じゃ、扉は開けたままの状態にしてくれ」


「わかったわ」

 私はNeuraLumeの部屋の扉を開けて、ドアを開けたままにした。

 悠人は満足そうに出て行ったので、私はfMRIをつけて同期の設定を始めた瞬間、アラームがけたたましく鳴った。


 私がNeuraLumeの部屋を出たのと同時に、悠人が研究室に入ってきた。

 悠人はNeuraLumeの部屋の扉を閉めた。

 すると、アラームが止まった…


「彩音、NeuraLumeの扉を開けてくれ」

 私はNeuraLumeの扉を開けたが、アラームは鳴らない…


「時間でアラームが鳴るのか、他の要因かはわからんが、開けた状態で作業はできないようだな… 彩音、俺だけがNeuraLumeの部屋に残ってもいいか?」

「いいわよ」


「扉を閉めるぞ」と悠人がNeuraLumeの扉を閉めた途端にアラームが鳴った。

 私は慌ててNeuraLumeの扉を開けると、アラームが止まった。


 アラームが鳴るので、他の研究室の人が集まってきている。

 私は『セキュリティのアラームで、火事などの災害ではありません』と説明して納得してもらったが、私がログの置き場所を相談したシステム管理部の人が入ってきた。

「天野教授、困ります」

「すみません」


「始末書を記載して、ワークフローを回してください。フォーマットと記載例を添付したメールを送付します」

「…わかりました」

 はぁ。始末書って、初めて書くわ…

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