夢
次の日の朝、研究室に出社する。
「おはようございます。彩音さん」
「おはようございます」
そう言えば、この部屋って盗聴? 盗撮?されているのよね。
岡田さんに盗聴を調べる機械を貰えばよかった… お願いしようかなと思いながら、部屋を見渡したら、「どうしたのですか? 幽霊でも見えますか?」と葵さんに不思議がられた。
「幽霊? 違うわ。お茶をいれるけど、いる?」
「あっ。私が淹れます」
「そう?」
「じゃ、お願い」
私はメールを見て、事務処理をする。すると、葵さんが私のマグカップにお茶を淹れてくれて持ってきてくれた。
「ありがとう」
「もしかして、虫がいたりします?」と葵さんが怖がる。
「虫? え? ここって出るの?」ゾクっとして、周りを見渡した。
「一度… 黒いのが…」
黒いのか… あれは、ダメだ。
虫を口実に盗聴器を悠人に調べてもらえるかな…
私が考え込んだからか、葵さんは自分の席に戻っていった。
事務処理を終わらせ、NeuraLumeの部屋に入り、fMRIのデータ取得を行う。
データを取得して、NeuraLumeに設定って面倒ね… この手順を自動処理にすれば楽じゃない?
どうしてしていないんだろう?
お父さんはプログラミングできないから?
AIに頼めばできるだろうけど、処理内容の確認をお父さんができないと研究として問題だから?
ま、いいや。
私はプログラミングしてfMRIのデータ取得すると、即座にNeuraLumeへの設定するリアルタイム変換プログラムを構築した。
これで、かなり効率が上がるんじゃない?
私はfMRIをかぶり、データ取得を行う。
fMRIをかぶって放置するだけでいいんだけだから、私は論文を読む時間はたくさんある。
面白い論文はいいんだけど、つまらない論文を読むと眠くなる…
気がつくと、森にいた。
森? 深い森じゃなく、日が差し込む森だ。人の手が入っているのだろう。
見上げると、生い茂る木の葉から太陽が覗く。
暖かい木漏れ日が顔にあたる。
思わず深呼吸すると、少し湿った土の香りが心を満たす。
どこだろう? 周りを見渡したが、誰もいない。
ま、小道があるから、進めばいいか。
森の小道を進むと、開けた場所に出た。
そこには山小屋? コテージ?があり、テラスのガーデンソファ? に座っている人がいる…
お父さん?
私は小走りでテラスにいる向かった。
ガーデンソファーに座っているお父さんは私に気付き、読んでいた書類を傍に置いた。
「彩音か。ここに座りなさい」
私はソファーに座っり、お父さんが亡くなってから今までの話をした。
ピッピッピと音がした私の腕を見ると、緊急呼び出しが鳴っていた。
コテージは消え、NeuraLumeの部屋だった。
夢? 妙にリアルな夢だったわね。
また、ピッピッピと私の腕時計が鳴った。
腕時計の画面を見ると、送信元は悠人で『連絡しろ』と出ている。
何よ。緊急連絡なんかしなくたって、いいじゃない?と思い、時間を見ると、12時だった。
入って3時間? プログラムの時間を考えるとそんなものか。
悠人はお昼を誘うのに緊急連絡をしたの? お昼の誘いに緊急連絡をするなんて、非常識よね。叱らなきゃ…
私はfMRIを外してNeuraLumeの部屋を出た。
扉を開けると、悠人と葵さんが待ち構えていた。
「悠人、緊急連絡って何? お昼を誘うのに緊急連絡を使うものじゃないわよ」
「昼? あれを見ろ!」
悠人が怒っている。どうして?
悠人が指差す先は窓を見た。外が暗い? 部屋の中が反射して映っている…
「…もしかして、夜の12時?」
「そうだ! 葵さんが心配していたぞ」
「心配していたのは音羽さんで…」と葵さんが言いかけると、悠人が睨んだ。
「ごめんなさい、葵さん。こんな時間だとは思っていなかったの」
「倒れているじゃないかと思ったのですが、問題なかったですね」
「葵さん、車で送っていきます。玄関に来てください。車を回します。彩音も準備しろ」と言うと、悠人は出ていった。
「え? 送る? 私を?」
「葵さん、悠人が言い出したら聞かないから、我慢してね。私も悠人の車に一緒に乗るから大丈夫よ」
「音羽さんって自分の車で通勤しているのですか?」
「そうなの。無駄でしょ? しかも自分で運転するのよ」
「…」
「急がなきゃ… 悠人がうるさいわ…」
私達は急いで準備して研究所を出ると、電子タバコを咥えて待っていた。
「どうぞ」と悠人は車のドアを開けて葵を乗せたが、私を放置して運転席に座った。
ま、いいんだけど…
「悠人、タバコ!」
「あっ。すまん」
悠人はタバコをしまう。




