私の家での話し合い
車を待っている間に話ができるかと思って、話しかけると私に向かって岡田さんは口に人差し指をあてる。
喋るなってことだろうけど…
はぁ。私の家で話をするのは嫌だと言いたいだけなんだよねぇ。
車が到着して、乗り込むと車は発信した。
行き先を見ると、私の家だ。本当に私の家の場所を知っているんだ…
車が私の家に到着したので、扉を開けようとする私を岡田さんが制した。
そして、盗聴防止装置?をひねった。前回はシャーペンの芯を出すようにノックしたけど、違う?
盗聴防止装置のLEDは赤に光った。
じゃ、次は緑に光るのかな?と思ったが、そのままだ。
盗聴を解除できないのかな?と思って見ていたら、岡田さんは私に人差し指を向け、その指を扉に向けた。
はぁ。開けろってこと?
私は扉を開けて、岡田さんを招き入れ、扉を閉めた。
盗聴防止装置のLEDは青になっている。
岡田さんは無言のまま、勝手に家に上がり、リビングに入り、盗聴防止装置のLEDを見ている。
私の家のどこにリビングがあるのか知っているようだ。
「話して大丈夫だ」と言って、岡田さんはソファにドンと座った。
うーん。自分の家のようにしているわねぇ。
私はキッチンでお茶を入れて、岡田さんに差し出して、私もソファーに座った。
「盗聴されていないということでしょうか?」
「あぁ」
「岡田さんは私の家を知っているのですね」
「何度も来ているし、彩音とも会っているぞ」
「え? そうなのですか? 覚えていないです」
「小さかったからな」
「お父さんと知り合いなのですか?」
「あぁ。彩音のお母さんは私の妹だ」
「え? じゃ、叔父さんですか?」
「そうなる」
「知らなかったです」
「彩香が亡くなって疎遠になったからな」
お母さんが亡くなったのは私が5歳のときだから…
岡田さんを見ると、思い出した。
「あっ! 岡田さん、病院でお父さんを殴ったでしょ!」
「そうだったな」
「どうして?」
「忘れた」
これ以上、詮索するなってこと?
「それより、NeuraLumeだ」
「はい」
「NeuraLumeの声は義孝の声に似ていたがどうしてだ?」
「お父さんのfMRIのデータをNeuraLumeに登録したそうです」
「NeuraLumeは義孝の記憶を持っているのに、私がわからなかったのか?」
「fMRIの情報は完璧ではないのです。お父さんは認知症の患者のようだと思っていて、認知症の治療を適用していました」
「ほう」
「NeuraLumeは岡田さんが作った光量子チップを使っていたのですか?」
「おそらく、私が作った光量子チップの後継機だろう」
「NeuraLumeをリセットできますか?」
「リセット? 再起動か?」
「NeuraLumeを初期状態にしたいのです」
「OSがわからんし、分かったとしても管理者権限がないと停止もリセットもできない」
「光量子チップを作ったのなら、わかると思ったのですが…」
「俺はチップ設計者で、ハード屋でもソフト屋でもないぞ」
「チップ設計者ってハード屋ですよね?」
「どちらかと言えば、ソフト屋に近いぞ」
「そうなのですか?」
「あぁ。チップ設計はプログラムだからな」
「へぇ」
「彩音、NeuraLumeの管理権限がないと、停止させるのも難しいぞ」
「そうなのですか?」
「あぁ。電気を止めれば停止はするが、動いている状態で電気を急に止めるとハードが壊れる可能性が高い。ま、電気を止めるのも難しいだろうが…」
「壊れるなら止めないですけど… 最終手段はコンセントをぬけばいいのですね」
「誰があの部屋を設計したか知らんが、電気は壁から直接ケーブルが出ていた。電気ケーブルを切断するしかないが自殺行為だ。あの研究所の建物のブレーカーで止めるしかない」
「研究所には24時間温度管理が必要なものが多数あるので止めるのは難しいです。でも、無停電装置があるので、無停電装置の電力がある間にNeuraLumeの電源ケーブルを切断すればいいですね」
「NeuraLumeの部屋にも無停電装置がある… 容量はわからないから先に研究所の24時間温度管理の方の電気がなくなるかもしれないがな」
「じゃ、強制的に止めるのも難しいのですね」
「あとは、バットで叩き壊すぐらいだな」
私がバットで叩き壊す絵を思い浮かべた… ないわー。




