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光の幻影  作者: 鐘雪 華
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学長の呼び出し

 食事を終えて、何を聞かれても良いようにPCを持参して学長室に向かう。

『はぁ。呼び出しって何よ。学生の時でも呼び出しなんて食らったことないわよ…』


 一応、身だしなみを整えた。ノックをしようとしたけど、ノックの回数は3回? 4回? どっちが正しい?と考えていると、扉が開いた。

「入ってくれ」

「え、あっ、はい」


「時間通りだね」

「はい」


「座ってください」とソファーに促された。

「失礼します…」と私は座った。

 すぐに、コーヒーが運ばれてきて、目の前に置かれた。


「どうぞ。リラックスしてください」

「ありがとうございます。ご用は何でしょうか?」


「天野教授だと、あなたのお父様をイメージしてしまうから彩音教授と呼んでいいかい?」

「教授は… 彩音とお呼びください」


「天野教授とは親しくしたいたんだよ。呑み仲間がいなくなって寂しいよ。彩音さんは気落ちしていないかい?」

「はい。大丈夫です」


「彩音さん。単刀直入に聞くが、沖芝工業と関係を持っているか?」

「沖芝工業ですか…」

 何? 何で沖芝工業の話? ま、隠すことじゃないよね…


「父が沖芝工業と共同研究をしていました。私は沖芝工業の担当者と連絡を取ろうとしましたが、在籍していないと言われて会えない状態です」

「天野教授とは色々話をしていたので、共同研究していることは知っている」

 学長はコーヒーを一口飲み、「その沖芝工業なんだが… 近々倒産すると噂が出ている」と言った。


「え!? 倒産ですか?」

「この話は内密に頼むよ」


「はい。わかりました。」

 倒産か… NeuraLumeで研究しようとしているのに、困ったな…

「彩音さんの研究助成だが、天野教授が沖芝工業との共同研究の発展系じゃないかい?」


「はい。そうです」

「やはりな」

 あっ。研究助成が通らない!? ダメだということを知らせるために呼び出したのか…

 はぁ。どうしよう…


「あのう。私の研究助成の申請は…」

「彩音さんの研究助成の申請は問題ないんじゃないか? 私の一存では決まるわけじゃないがな」

 私はよかったと思い、『ふぅ』と息を吐いた。


「しかし、沖芝工業が倒産したら研究に影響がでることは確かだろう」

「そうですね…」

 機材の補充や補修が必要になってもできないし、管理者権限がないからリセットもできない…


「研究助成の成果にも影響する。成果が出ないと経歴に傷がつくぞ。それを考慮すると研究助成の申請の取りやめするということも考えられるがどうする?」

 研究助成を取り下げたら、葵さんがやっている研究だけでは研究室を維持できないだろうなぁ…

 続けるしかないかぁ。

 はぁ。お金がないと研究できないなんて面倒よねぇ…


「…ご配慮ありがとうございます。父の研究は意義があると思っておりますので、続けたいと考えています」

「そうか。確かに意義はあるだろうな。教授たちも評価していたからな。頑張りたまえ」


「ありがとうございます。成果を出すように尽力いたします」

 学長は手書きのメモを黙って差し出した。沖芝工業の連絡先と書いてある…


「これは?」と言うため口を開けると、学長が「期待しているよ」と立ち上がった。

 私はメモを手に取り、立ち上がって部屋を出た。


 研究室に戻ると葵さんが心配していたのか、私の顔を見ると「学長の用事は何だったのですか?」と言った。

 沖芝工業の話はできないわね…

「え? あっ。お父さんが亡くなって気落ちしていないか気にしてくださったみたい」


「そうですか。天野研究室のお取り潰しかと思って心配しました」

「お取り潰しじゃないので、安心して」

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