表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光の幻影  作者: 鐘雪 華
13/59

染める その1

 私は朝に葵さんと挨拶するとNeuraLumeの部屋に籠る日々を過ごす。

 NeuraLumeのリセット方法を探したが、見つからない。

 沖芝工業に連絡しても研究開発部は閉鎖され、担当者はいませんのだけしか言われなくなった。


 手詰まりだけど、研究助成を受けるには研究を進めるしかない。

 NeuraLumeはリセットはできないが、上書きは可能なようだ。

「私の脳情報をNeuraLumeに上書きすればいいんじゃない?」


 ルッツがどうなるかわからないけど、私は自分の脳情報をNeuraLumeに上書きすることにした。

 fMRIで脳情報を取得できるが、fMRIは高品質なものは非常に高価だ。

 脳情報を取得する精度だけでなく、それを解析するソフトも高価だ。


 NeuraLumeのfMRIは解析をNeuraLumeが実施することで脳情報を取得する精度に特化した特殊仕様だった。

「fMRIの結果をそのままNeuraLumeに適用することを想定しているからかもしれないけど、よく言えば、割り切った仕様だけど… 変態仕様よね。

 fMRIは簡単に借りれないから、これを使うしかないわね… でもこのfMRIの仕様がよくわからないのよねぇ。

 うーん。これじゃ論文には使えないよねぇ… だから、お父さんはこれを研究助成にしなかったのかなぁ。

 fMRIを他から借りるにしても、高いだろうしなぁ…」


 私はブツブツ言いながら考えたが、答えが出ない。

「ま、やってみて成果がでれば、その情報でfMRIの会社と共同研究を申し込んで、fMRIを出して貰えばいいよね。うん。とりあえずやってみよう!」


 NeuraLumeにあるfMRIの精度は高いが、脳のニューロンの接続情報を完璧には取れない。しかも、精度を上げれば取得範囲は非常に小さい。

 そのため、取得には100時間ほどかかりそうだ…


 仕方がないので、私は低いので朝から晩までfMRIをつけてNeuraLumeの部屋で過ごす。

 本来は、何も考えずに安静した状態で脳データを取得するのがいいのだろうが、NeuraLume関連の論文を読みながら過ごす。

 おかげで、この分野にかなりの知識を身につけることができた。


 朝、研究室に入ると、葵さんが「おはようございます。彩音さん」と挨拶をしてきた。

「おはようございます。何か研究で詰まっていることでもあるのですか?」


「いえ、研究は問題ないです」

「では、どうしました?」


「彩音さん、大丈夫ですか?」

「え? 大丈夫ですよ」


「疲れているように見えます。根を詰めすぎているのではないですか?」

「そんなことないわ」


「彩音さん、NeuraLumeの部屋に篭ろうとしていませんでしたか? 今日は研究助成のプレゼンの日ですけど、問題ないのですか?」

「あっ。そうだった… 資料の再確認をするわ」


 私は慌ててプレゼン資料の再確認をしたら、プレゼンの時間が近づいてきたので、会場に向かった。

 私の隣の席は悠人だったので、「おはよう」と小声で挨拶をした。

「おはよう。遅かったな」

「そう? あまり早くきても退屈でしょ?」

「いや、結構面白いぞ」


 その後は順番までプレゼンを聞いていた。

 悠人はプレゼンを行ったが、特に問題もなく終了した。

 私はいろいろ質問されたが、NeuraLumeの部屋で篭りながら読んだ論文のおかげですべて華麗に応答した。

 ま、手応えは十分だ。


 悠人と私はプレゼン会場を抜け、カフェエリアでお茶を飲んだ。

「彩音、疲れているんじゃないか?」

「そう? 朝に葵さんにも言われた。そんなに疲れているように見える?」


「あぁ。目の下にクマができているぞ」

「え? 本当?」私は鏡を取り出して、見る。


「…はぁ。本当だ…」

「プレゼンが終わったんだから、ゆっくりすればいい」


「今はNeuraLumeに私の脳情報を上書きしているの。できるだけ短期間で行わないと情報の誤差が大きいでしょ? だから、頑張らないと…」

 悠人が声を潜めて「彩音、沖芝工業について調べた。岩橋亘という社員はいない」と言った。


「え!?」

 私がちょっと大きめの声が出てしまったので、注目を浴びてしまった…

「声が大きいぞ」


「ごめんなさい」

「契約社員かもしれないが…」


「お父さんがしていたNeuraLumeの共同研究の議事録では技術的に詳しい発言をしているから技術者だと思うけど…」

「いや、岩橋亘が著者や共著の論文はなかった」


「論文を書いてないだけでは?」

「その可能性はないとは言えないが、ここで共同研究できる人材だぞ? 論文の著者や共著にもないというのはおかしくないか?」


「そうね…」

「NeuraLumeなんだが…」


「何?」

「沖芝工業で開発している形跡がない。脳に関係する製品もない」


「じゃ、新規事業なんじゃないの?」

「…わからん。気になるので、調査を続けるが、気を抜くな」というと悠人は席を立った。


 気を抜くなと言われてもねぇ… どうすればいいのよ…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ