私と戦った者
アルトニアから歩いて数時間、私はコロッセオに来ていた。
このコロッセオで騎士リリアは戦い、何回も優勝したらしい。
大した距離はなく数時間街道を歩いていると着けた。
近くに石像も建っていた。
私よりも背が高く、凛々しい女性だという印象だった。
コロッセオを見ると壁がどこも傷だらけだった。
ここで激しい戦いをしたことがうかがえる。
私はその傷を指でなぞり、その戦いに思いをはせていた。
そうしていると、一人の顔に傷がある男が歩いてきた。
私を見て、しばらく黙った後に
「......お前、騎士リリアか?」
と聞いてくる。
「はい、私はリリアですがあなたは?」
「噂通り記憶をなくしてるんだな。俺はこのコロッセオでお前と戦った男だ。」
「今かつての私の足跡をたどっているんです。よければ話を聞かせてもらえませんか?」
私は頭を下げた。
「いいぜ。」
そう言い私たちは話すためにコロッセオの近くのカフェに入る。
注文した料理が並ぶ中、彼は話し始める。
「俺はうぬぼれていた。負けたことなんてなかった。お前に会うまではな。」
「俺とお前は決勝であたった。」
「お前の剣、嵐のような剣だった。」
「戦いが始まった瞬間に、果敢に攻めてきて俺はただ必死に防ぐしかなかった。そして、防ぎきれなくて負けた。」
「かつての私は本当に強かったんですね。」
「ああ。」
「でも、もうその剣は失われました。もう私の中にはありません。」
「......そうか。それは......残念だな。あの剣にいつか勝ちたかった。」
彼は寂しそうな表情をしていた。
私はその表情を見ると胸が締め付けられた感じがした。
「申し訳ありません。」
「お前が謝ることじゃない。」
「久しぶりに、あいつの話ができて楽しかった。じゃあな。」
そういって、彼はレジで金を払い、去っていった。
騎士リリアは、戦った相手にこういわせるほど強い剣士だったのだと再確認した。
両親以外から今回話を聞けて、本当に騎士リリアという人物はいたんだと実感することができた。
私は料理に手を付けた。
食事の時間はわたしにとっては人間なのだと実感できる時間だった。
そして食べ終わり、レジでお金を払おうとすると彼が私の分もまとめて払ってくれていた。
私は、店を出て馬車に乗る。
次の目的地に向かいながら、かつての私と戦った者について思いをはせた。




