第四句
『お前は今日から“藤原”と名乗りなさい』
「……まぶしっ」
夏来が目覚めると見覚えのある風景が広がっていた。自分の部屋だ。自分にかかっている布団を勢いよくはぎとると部屋から飛び出した。
「やぁ夏来君。疲れは取れた?」
「おかげさまで。みなさんは帰ってきましたか?」
「いやまだ……あ、ちょうど来たよ」
ドアがガチャッとなる音に露は笑顔になった。
「おかえり~!」
「ただいま」
通称:しだり
管理番号:003
主:柿本人麻呂
笑顔で出迎える露にしだりという青年は表情を変えなかった。いつでも機嫌の悪そうな目と風に揺れるウルフカットが少しか寄りがたい雰囲気を出している。
「何を買ってきたのですか?」
「僕、望遠鏡買ったの!」
通称:鵲
管理番号:006
主:大伴家持
「鵲君は本当に星が好きなんだね」
「うん! だってすてきなんだもの!夏の大三角形が見たいなぁ……」
そう話す少年の目にはきれいな星のような光がちりばめられていた。
「ねぇ聞いてー。紅葉君途中で迷子になったんだよ!」
通称:高嶺
管理番号:004
主:山辺赤人
「だ……だって気づいたらみんないなくなってたんだもん……」
通称:紅葉
管理番号:005
主:猿丸太夫
買い物袋から板チョコを出してかじっていた高嶺に紅葉は眉をひそめた。鹿のぬいぐるみを抱える手が少し震えている。
「僕が……迷子になったんじゃなくて……みんなが迷子になったんだよ……」
「どういうこと?」
露は首を傾げた。
「今日行ったお店は……月さんが紹介してくれたのでみんな月さんについていったんです」
「みんなどうしたの? なんかあった?」
通称:月
管理番号:007
主:阿倍仲麻呂
「いや月さん、あなたのことですよ」
「あ、そーなんだ。何の話?」
「月君、今日行ったのは君が知ってるお店なんだよね?」
「うん! お気に入りのお店だよ!」
パーカーの裾を握りながら月はゆっくりと話した。
「どんな感じだった?」
「えっとねー、買い物が終わってカフェに行こうとしたのね。それでカフェの場所案内してほしいって鵲君に言われて案内してたら途中で店内放送流れてきたの」
「放送はどんなのだった?」
「あ、僕その時の動画撮ってるよ」
高嶺はポケットからスマホを取り出し、みんなに見せた。そこには想像以上に広いショッピングモールの景色が広がっていて、人声がざわめく中にきれいな女性の声が聞こえてきた。
『迷子のお知らせです。しだり君、高嶺君、鵲君、月君。ご兄弟がお待ちです。一階の迷子センターまでお越しください』
優しい声から出される全員君呼びの名前に露と夏来は吹き出しそうになっていた。そこからさらに月と鵲の会話が聞こえる。
『ここどこだろー?』
『え、月さんここのお店一回来たことあるんですよね?』
『もちろん!』
『え、本当に大丈夫なんですよね?』
『うん!……多分』
『ほんとっ……』
ここで動画は終わっていた。今まで静かに見ていた二人はが急に大声で笑いだす。
「ンフッ……ちょっとこれ……僕に送ってくれない?」
「いいよー」
「アハハハハ……だめ……笑いたくない……フフ……」
ありえないくらい笑っている二人を他は引いた目で見ていた。
「それで、迷子になった僕たちは紅葉君と合流して地図を確認してからカフェに行ったって話」
「地図を使って本当に良かった」
「うん……多分月さんに頼っていたら一時間はかかったんじゃないかなぁ……」
ここはある山奥にある大きな館。
ここでは百人の青年たちが楽しく暮らしている。
次の日――
今日も誰かの電話が震えはじめた。
さて、次はどんな戦いが待ち受けてるだろう?
コメディシーンしか無くてすいませんでした。