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第三百五十八句

「とんでもないことになったわ」

(あぁ、手枕さんが困ってる。僕のせいだ)


 影人が倒せないのは、それを操作している影狼が今だ倒せていないから。そして、影狼を倒せないのは自分が弱いから。そんな連鎖でだんだんと自信を無くしていく。改造された銃は取り扱いが難しい。多少慣れたものの、連弾ができないのでその間に逃がしてしまう。


 相手が悪かった。もう足に弾を当ててからしばらく経つが、足が一つ減った影狼が灰になる気配はない。恐ろしいほどにタフだ。とはいえ動きはそれなりに制限できている。あともう一押しの所なのだが、その一押しがどうしてもできない。


 接近戦に持ち込むと影人や手枕にも被害が出る。ただでさえ威力の高い銃なのでそれは避けておきたい。手持ちの弾も少なくなってきた。ふと手を見ればボロボロになっている。諦めようとさえ感じた。でも、諦めた先には何があるだろうか。


 今まで散々迷惑をかけてきた。自分に人としての自信はない。だが、自分と言う存在がある最大の目的と最低条件をこなせなければ、それこそ本当に迷惑野郎だ。歯を食いしばり、無理やりにも手のひらで弾を銃に押し込むように装填すると目を最大限にまで凝らして構えた。残弾が少なくなった以上、引き金を引くのが慎重になっていく。影狼の動きを予測し、まるで数秒先の未来を見ているかのようにタイミングを図って撃つ。


 その集中力のおかげか、あちらの動きはだいぶ鈍くなってきたようだった。唯一の課題点だった足止めができればとどめを刺すだけ。次に予測した位置よりも少し影狼に近づけると、人差し指に大きく反動をつけて思いっきり打ち込んだ。


 少し焦点がずれてしまったが、運が良かったのか弾丸が進む先には影狼の額がある。後ろに影人がいたものの、硬い額によって弾丸は無事に受け止められた。


 目を見開きながら気絶していく影狼の姿を見ていると、苦しそうにしながら何かを伝えるように目を光らせた。だが、それはこちらに向けられているものではない。手枕の周りにいる――影人たちだ。最後まで卑劣な奴だ。影人に武器は使えず、影狼の恨みでできた力はとてつもなく強い。これは影狼がいなくなるまでの時間の問題だ。


 手枕と目が合う。これで二回目だ。だが、すぐに反らされたかと思うと影狼の顔にいった。眉間にしわを寄せながら、その嘲笑しているともとらえられる顔に睨みつける。何やら口をぱくぱくさせながら何かを言うと、素早く短刀を手首のスナップを効かせながら投げた。弾丸ともいえるほどの速さで影狼の脳天に突き刺さったそれは、みるみるうちに目の光を無くしていく。まるで生気を奪い取っているようだ。


(僕にできることは……!)


 同時に影人たちの目も光らなくなると、その隙を見てわびは影人に突進した。

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