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第百九十七句

「貴方さえいなければ」

 あくるのマシンガンは黒マントたちに弾を放ち続ける。だが、その速さに劣らず黒マントは華麗に避けながら、いつの間にか挟み撃ちにしてきた。一度木に登って姿をくらませるが、何やら二人で怪しい動きをしている。


(あいつら、根元ばかり撃っているではないか。何がしたいんだ……?)


 その疑問はすぐにわかった。大体同じ場所に穴が開いたときに二人で木の前で構え、片足を上げて幹を蹴り上げたのだ。しかも間を開けず、何度もだ。だんだんとその振動が伝わってきたかと思うと鈍い音を立てながら幹は折れてしまった。決死の思いで着地をする。足が地についた途端に覆いかぶさってくる無数の枝に向かって弾を放ち、その反動で上に上がっている瞬間に何とか抜け出した。


 何か所も刺されてしまった跡があるが、これくらいで動けなくなることはない。幹に乗って左右に逃げた黒マントへ目を離さないようにしながら撃った。左側の者が逃げそうだったので塀に乗り移って先回りをすると突き当りの所で追い詰めることができた。影人などが周りにいないのを確認すると得意げな笑みを浮かべる。


(滝のやつ、影人たちをうまく誘導できたようだな)


 こちらも負けてはいられない。マシンガンをその場に置いて両手を上げると、黒マントは驚いた様子ながらも顔の前で銃を構えた。引き金が引かれ、弾の軌道を大体把握すると顔を少し横にずらして髪にかすらせながら近づいた。ある程度前へ来たところでわざと勢いを残したまま足を止める。自然と膝が曲がり、あちらには急に消えたように見えるだろう。


 そこから詰まらせることなく両手を体よりも後ろにつけ、足を出すと左手を右手の前に移動させて体の左側面を見せる体勢になった。足は空中に保たせたまま、思い切り足を伸ばした。正面からの強い蹴りが相手のちょうど脛に入る。ヒールだったこともあってか、予想より力が入らなくても前のめりに倒れてくれた。手が地面につく前にその手をまた足で払うと体の側面から強打していた。


 仰向けになっているところを両手を縛って動けなくすると銃を取ろうとした。だが、引き金にはしっかりと指が置かれている。目を見開いて顔を反らせると何とか避けられたが、目線の先には両腕を大きく背中に振りかぶったもう一人の黒マント――。


 顔を戻そうと思ってもタイミングが悪かった。頭を銃身で打たれ、声を上げながら上半身がだらんと下がった。完全に倒れたわけではない。だが額やこめかみからは血が垂れていた。鞘によく見ると、口を開けた状態で体が固まっている。半分だけ気絶しているとでもいうのだろうか。数秒間は動かなかったが、いきなり目を覚ますと頭が急に痛くなった。


 立ち眩みに耐えながらもう一度マシンガンを持つ。あくるの足元を抜けた黒マントはその後ろにいるもう一方と息を合わせてひたすらに乱射した。あまり深くは当たらない。だが、確実に傷は増えている。そこから一歩も動くことなく、弾道を見る隙もないためただしゃがんでやり過ごした。耐えに耐え、前方の黒マントが弾切れになった瞬間に一気に飛び出す。両手を広げて抱きつく形で体勢を崩すと、両手首をつかんで後ろに回す。ついでに持っていたマガジンを強引に取り上げ、共倒れになった。


(これで少しでの動きを止められればっ……!)


 素早く立ち上がり、改めて両手を拘束すると背中を踏んでしっかりと体を押さえた。ワイシャツの袖を持ち、強く引っ張ると綺麗にちぎれた。口と左手を使って広げ、大体三等分にすると、黒マントの両手両足に一つずつ、もう一つは怪我をしたところに包帯代わりで巻いた。


 じたばたとしているが、固結びなので早々ほどけることはない。銃をズボンのポケットに入れて後方の黒マントに顔を向けた。相当ご立腹のようだ。遠くからでもわかる――怒りの感情。だがそれはこちらも同じだ。黒マントに負けぬような圧を出しながらも、両者はぶつかっていった。

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