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つきまとってきてうざいっす


 山中とは大宮の百貨店で遭遇して以来、学期末テスト対策として図書館で一緒に勉強をしたり、ホームルーム前に少し話したりするような仲になった。


 この素晴らしき日々。


 今までにない、充実感である。


 央香がいることで魅力が一割増すとのことだが、ようやく効果が出始めたのだろうか……。


 いや、そんなことはないな。


 そう、怜人は自嘲的に笑った。

 怜人は快央神社を信仰しており、央香や央理のことも神様であると信じてはいたが、央香の言うこと自体は全く信じていなかった。


 勝手にお金を使う、怜人や沙織にセクハラ三昧、まずいことが起きると自己保身に走り、口を開けば嘘ばっかり。


 この神様を信じろというのが、どだい無理な話である。


 なので、怜人は自分磨きを始めることにした。


 腕立て、腹筋、スクワットを二十回ずつのセットをこなし、噴き出た汗をタオルで拭く。


「フッフッフッ、シュッシュッシュッとやかましいのう」

 すかさず怜人はプロテインを飲み、筋肉に栄養を与える。


「動いて直ぐに物を入れると、腹痛がくるぞ」

 一分ほど休憩し、怜人はもうワンセット行う。


「はぁ、男の吐息ほど気持ち悪いものはないのう」

 怜人は汗を拭き、またプロテインを流し込む。


「プロテインを飲むと、おならが臭くなるらしいぞ!」


「さっきからうるさいなぁ!」

 もう我慢できず、怜人は怒った。


「うるさいのはそっちじゃろうが! 集中してメイファンができんわ!」


「筋トレをしてるんだから、しょうがないだろ!」

 先程怜人は自分の部屋でやっていたが、央香がいつの間にか側におり、場所をリビングへと移して続きをやっているわけだが、またしても央香はついてきて側にいる。


 というか、怜人が家にいる時は、基本的に央香が側にいる状態だった。


「何でいきなり筋トレを始めたんじゃ?」


「最近山中さんと話す機会も増えたし、努力してみようかな……と」

 怜人が恥ずかしそうに言うと、

「けっ!」

 央香は顔を歪めた。


「……何?」


「わし、あの女狐嫌い」

 瞬時に央香が嫌悪感をあらわにした。


 大宮の百貨店で山中と会って以来、央香はなぜか怜人が山中と仲良くなることを断固として反対するようになり、山中のことは女狐と蔑称し毛嫌いしている。


「百貨店で軽く顔を合わせただけじゃん。何でそんなに山中さんが嫌いなの?」


「あんな面の皮が厚い女も珍しいわ。嫌い、とにかく大嫌い」

 央香は苦々しい顔でそう言い、

「怜人も他の女子に切り替えていけよ」

 と続けてタブレットPCに向き直った。


「仲良くなってきたって言ったろ。切り替えないよ」


「なぜ、お前は神であるわしの忠告を無視するのじゃ?」

 央香はまた苦い顔となり、怜人を睨んできた。


「央香は神様だけど、言うことは嘘ばっかりだから信じてないんだよね」

 怜人が軽く笑うと、央香は身体をピクピクさせ頬を膨らませる。


「この……ぶぁああか!」

 央香が吠えてきた。


 放っておこうと怜人は思い、筋トレを再開する。


「んぁあ! 怜人の吐息がうるさいわ!」


「……仕方が……ないだろ」

 怜人がスクワットしながら答えると、央香は鼻を鳴らす。


「一朝一夕では筋肉なんかつかんぞ。意味がなかろ」


「そんなことはわかってるよ。でも、始めたからには頑張らないと」

 怜人はスクワットをやめて呼吸を整えると、口元を緩ませた。


「ヒョロガリが、鍛えたところで、鶏のガラ」

 央香に川柳をよまれ、怜人はイラッとしたが無視。


「筋トレは、ただの自己満、用途なし」


「うおいっ!」

 やっぱり無視できなかった。


「何じゃ?」

 央香は小馬鹿にしたように笑ってきた。


「痩せている人と、筋トレをしている人をバカにするんじゃない。それに、筋トレをすると筋肉がつくだけじゃなくて、セロトニンが増えて健康にも……」


「何か眠くなってきた」

 央香が欠伸をして目をこすっているので、

「聞けや!」

 怜人は声を張り上げた。


「逆に言わせてもらうが、体重を増やそうとせずとも増えてしまう。そんな、太りやすい人の悩みはどうなる?」

 央香が真面目な顔をして言ってきた。


「どうした……急に?」


「いいから答えよ」


「うーん。確かに太りやすい人もいるだろうし、かわいそうだなとは思うよ」

 怜人は思案顔でそう答えるが、

「かーっ! 薄っぺらい奴じゃのう! サランラップかお前は!」

 央香から痛烈に批判された。


「じゃあ、央香が答えてみろよ」

 怜人が睨むと、央香は一つ息を吐く。


面白かったら☆とブクマをどうぞよろしくお願いいたします。

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