表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/50

見た目だけは最高にいいんだよ


 央香の様に怜人は脱力し、思考が正常に戻る。


「何で妙に恰好をつけているんだよ。息苦しいんだから買わないとまずいだろ」


「そうだよ。服はまだしも、下着は絶対に買わないと!」

 怜人に続いて沙織も央香に言い聞かせたが、当の本人は不服そうにしていた。


 ……こいつの問題なのになぁ。


 怜人は溜め息を吐き、考えをまとめる。


「まぁ、下着は必ず買うとして、服も値段に見合ったものであれば買うとするか」

 怜人の言葉に、沙織は首を縦に振った。


「余った金はメイファンに課金してよいか?」

 未だに我関せずな態度の央香。


 怜人がジト目になる。


「沙織ちゃん、明日だけど何時に出ようか?」

 央香を無視し、怜人は沙織に話しかけた。


「おいこら! 怜人!」

 央香はムッとし、声を荒げた。


 沙織が気にして央香へ話しかけようとしたので、怜人は相手にするなと首を振った。


「……そうだね。百貨店は十時に開店するから、九時半くらいに家を出るのはどう?」

 沙織が怜人の意を汲み取って返事をしてくれ、怜人は目線を上げて唸る。


「んー、早めに行くってのもありだけど、昼食も大宮で済ませちゃおうよ。買い物は一時間くらいかかるだろうし、十時半くらいに家を出るっていうのは?」


「あー、いいねぇ。そうしよっか」


「お前ら! わしを無視するな! 相手をしろ!」

 央香が怒りをあらわにし、バンバンとテーブルを叩いた。


 仕方なく央香に目を向ける怜人と沙織だったが、ミニパンダが表情を歪ませているだけだったので、二人共フフッと笑って終わった。



 翌朝。


 怜人、央香、沙織の三人は十時半頃に家を出て、大宮にある百貨店へ行った。


 百貨店に着いた一行であったが、まずは央香が成人状態になって着替えをしてもらうべく、沙織と一緒にトイレへ向かってもらった。


 着替えを済ませた成人状態の央香と沙織が戻ってくると、早速央香の洋服を買いに百貨店内に入っているショップを見て回った。


 予め沙織が良さそうなショップをリサーチしていたようで、どれも央香に似合いそうなシックなテイストの服がメインだった。


 沙織が服を選んでは、央香は試着室へと向かわされる。嬉々として沙織が央香に何度も着せ替えをしていたが、させられている方の央香はというと、全く乗り気ではなく渋々付き合っている感じだった。


 この光景、両親のやり取りで見たことがあるなと怜人は思い出し、遠巻きに眺めながら頬を緩めた。


 怜人としても懐かしさに浸っていたかったが、あいにく央香の成人状態化は時間制限があるので、夢中になっている沙織へなるべく早めにと伝えると、沙織は我に返ったようで真剣に選び直していた。


 最終的に決まったのは、ベージュ色のニットにえんじ色のロングスカート、アウターは紺色のコートとなった。買った服をそのまま央香に着せることにし、一張羅の和服を紙袋の中に入れてもらうことにした。


 なお、この三点で五万円を既に超えており、これからインナーと下着も買わなくてはならないので、更に費用がかさむ。母から央香の洋服代としてお金はもらえることにはなったが、昨日の今日でお金は振り込まれないので、怜人が代金を立て替えて払っていた。


 後々補充されるものの、どんどん自分の銀行口座からお金が減っていくのはあまり見たくないもので、怜人は気落ちした。


 とはいえ、洋服を身に纏った央香は雑誌の表紙を飾ってもおかしくない姿で、喜びまくっている沙織だけではなく、通り過ぎる人達もほとんどが央香に目を奪われている。


 容姿だけはいいのだ……容姿だけは。

 と、少しいちゃもんをつけたくなったが、怜人は買って良かったと本当に思った。


 インナーは下着売り場で一緒に買うと沙織が言ったので、怜人は沙織に財布を渡し、自分はフロアの隅にあるベンチで待っていると言って去った。


 フロアの隅にあるベンチは背もたれがない一人用の椅子で数は三つ、運が良かったのか誰も座っていなかったので、怜人は端っこに座った。


 怜人は携帯電話を取り出し、メイプルファンタジーを起動させた。


 央香のようにゴリゴリ課金しまくることはないが、怜人も月に三千円から多くて五千円ほど課金して楽しんでおり、今では央香と協力プレイすることも多い。央香に課金されまくるのは勘弁だが、何だかんだいって許容している怜人であった。


 そして、そんな二人が楽しんでいるメイプルファンタジーは、キャラが出現するガチャガチャが日に一回無料で回せる。しかも、全キャラクターが出る仕様となっている。


 だが、シロップを消費するガチャガチャ、所謂有料のガチャガチャとは異なり、レアリティの高いキャラクターが非常に出にくい確率となっているため、当然の如く期待値は高くない。なので、無料のガチャガチャは作業感覚で回しており、今回も何も期待しないで怜人は回した。


 しかし直後、怜人は驚きのあまり硬直した。


 なぜなら、前回のアップデートで登場したエジプシャンマウ神が出たからだ。


 そう、最近央香が狙っているキャラクターである。


 エジプシャンマウ神のレアリティは最高クラスであり、出る確率は極めて低く無料のガチャガチャであればなおのこと低い。以前、央香はジャコウネコ神を出すために四万円も使ったが、確率的にはあり得てしまうレアリティなのだ。


面白かったら☆とブクマをどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ