【21】頂点に位置するもの
ご報告があるのであとがきの方に書きます!
「ルナ?」
妹は姉の名を呼んだ。魔物は直接的に精霊と繋がる。だから精霊がざわめいたことを感じ取って、不安がソルの脳裏を過ぎったのだ。姉は自分よりも強気な性格だ。それでも血を分けた2人は根本的なところで同じなのである。
「シルヴィア様、早く彼女を探し出しましょう」
森に入っていたシルヴィアとソルは、付近を探索して敵の足取りを掴もうとしていた。なのにソルに話しかけられてシルヴィアは黙り込んで厳しい面持ちをしていた。
「ねぇ……グロリアという女はすべてを真実として言っていたのかしら?あの女の言葉を鵜呑みにして探すなんてこと思うつぼだと思うのだけれど。まず、自分たちが来た道の足取りを残すようなことをするとは思えないし、実際そこに活路はない。もしかしたら彼女の本当の目的って……」
シルヴィアがそれを言い終わる前に、ソルも。そして勿論シルヴィアも気づいた。20はいる敵に周囲を包囲されて自分たちは今危機的状況にいるのだと悟らされた。
「ソル」
「はい」
◇◇◇
「ライト、久しぶり」
弱々しく放たれた言葉に安心感を覚える。死んで時が止まっているのだから、彼の成長は一切ない。それでも甘えたくなるのは今まで目の前にいる少年に支えられてきたからだろう。
「グリア」
名前を呼ぶ。それだけで感慨深い。でも、そこに生気はなくただ冷たく温かさもない。
「どうかしら?再会は嬉しい?私はあなたとグリア君に運命の再会を果たしてもらいたくてここまで足を運んだの。その瞬間の立会人となれてこれほど嬉しいことはない」
花が散った。グロリアの声はその無音の世界に雑音を入れるように響く。彼女のいるところだけ黒く染め上げられていくようにただ透き通って。
「お前、まじで何が目的だ?」
ライトは彼女の牽制に加速し距離を詰めてゼロ距離で手刀を落とした。花々の匂いが鼻をくすぐる。もうすぐ春も終わるのだと、そう告げられて何か切ない気持ちにもさせられる。
「物騒ね」
「微塵もそう思っていないくせに。むしろ、お前の方が物騒だよ」
自分の弱点は自分が1番理解している。何度もぶち当たった壁のようなものだ。だからこそ、そんな簡単な幻想には陥らない。逆にゼロ距離から放たれた手刀を顔色変えずに見据えている女の方にある意味感心を抱いていた。
「知っているか?人間というものは簡単に死ぬ。そして死んだ人間の時は、もう2度と進むことはない。だから、そこにいるグリアも幻想というわけだ」
苦虫を噛み潰すように苦しい顔をして、ライトはつっけんどに言い放った。正面の自分よりも幼い顔なじみの少年に目線を合わせることはせずに話すのだった。グロリアは表情を戻し、今度はつまらなさそうに告げる。
「なぁんだ、分かられちゃったか」
子供のようなその言動にライトは一瞬目眩を感じた。呆気ないカミングアウトに頭痛さえもを感じる。お前の目的はなんなのだと、今すぐにでも吐かせたかった。だが次の言葉にライトは現実へと引き戻される。手刀に速さが落ちれば威力も落ちる。腰に下げていた緊急時用のナイフを引き抜き彼女の首元にそっと添えた。
「この刃はよく切れる」
「女性に対してその仕打ちは少々如何なものかと思うわよ、少年」
「……」
笑えない冗談だ。この女は死の恐怖を抱いていない。確かに絶対的な力をそこに、自信を持っているのだろうが死への恐怖心が欠片もないとは。
「さっきの『死』についてだけど」
肯定と否定を織り交ぜた複雑な物言い。なんの答えか一瞬思考したあと、それを知って困惑へと陥る。
「まず彼は死んでいる、そこに置いて異論はない。だけれど君の間違いは大きいわけで。彼は幻想でもないわけよ。魂はここにあるということで結果的に話しているのは彼自身。行動を制限しているのが私と言ったところだわ」
困惑が憎しみに変わり、ライトは躊躇わず刃を引き抜いた。血が線となって飛ぶ。しかし魔女はその首筋に手を当てにこやかにその傷跡をなぞった。
「いッたぁい。なぁんて、言うと思った?この程度の傷、取るに足らないもの。人間であれば頸動脈から血が溢れ出し死に至るのでしょうけども」
ライトはすかさず剣を引き抜いた。その行動は静かに怒りに震えていた。跳躍したライトは一気に畳み掛けるようにここで終わらせるべくして剣をふるい落とした。
鈍い金属音が響き渡った。
そして青年の剣は魔女に届くことをしなかった。
「グリアを盾にするな、クソ魔女」
「これは私の指示ではない。あくまで彼の意識の元よ!少年」
高々に返された言葉に悔しみを噛んでライトは正面に剣を構えた親友を睨んだ。
「なぜ間に入る?グリア」
「ライト、成長したね。元気にしていたんだね」
嬉しさと安心する笑顔を見せてグリアは金髪の髪を揺らした。
「オレの質問に答えろ、話が噛み合っていない」
ライトはグリアを威力で吹き飛ばしそのまま本体の方に突っ走った。花吹雪が舞った。そして親友の顔から笑顔が消えた。
「ダメだよ。僕は君の言う通りには動けない。君のためにも動けない。僕は今、僕ではない」
少年の力は少年の力ではなかった。何かに取り憑かれたように協力な力はライトを圧倒した。そして、背後に位置していた魔女の視線がより鋭い悪意へと変化する。
「目的を、知りたい?」
十分な息を持ってグロリアはライトに問いかけた。グリアと相対して視線を交差して、頷いた。
「ああ、勿論だ。なぜお前はこんなつまらないゲームを始めた?」
おどけた表情を作って、グロリアは手を口元に当て薄く笑みを浮かべた。彼女自身虚言をつくことはなく、真実を並べて。
「私たちの目的は人類の大虐殺」
声色も変わらずに言うので尚更、意味が理解しづらかった。こんなところで冗談を言うのもバカバカしいとは思う。それでも、彼女の目は本気だった。
「……嘘だろ?」
「本当よ」
「……」
「なぜかと言われたら簡単なこと。私たちが住みやすくなることが1つ。人間は皆が同等に生きている意味を持たないからそこのところ1つ。そして強者が弱者を支配する、これが最大の目的」
高く澄んだ声は真実を述べていることに変わらずライトは意識が飛びかけたのを必死に抑えて話の整理に時間を当てた。だが彼女の口は止まらなかった。
「と、これが建前上の私の上から来た司令のようなものなのだけど。私はそれに賛同している。でも普通にするのはつまらないから私が少しいじってね、ゲーム形式で撲滅を図っているだけ」
「司令……?」
「人間は弱い。死ぬのが道理で生きている意味を持っていないじゃない。放置していれば繁殖する。邪魔な虫同然なのだから駆除するのが当たり前でしょう?」
そこに悪寒を感じた。これを本気で言っているのだからこそそれが1番の狂気なのである。しりごむことすら許されない。ライトは立ちすくんだまま表情を変えることができなかった。
「お前だって生きているじゃないか……それなら人間の生きる意味ってやつを知っているんじゃないのか?」
すると、魔女は嘲笑うように今度は声を出して大きく笑って手で目の前を大きく払った。
「残念だけれど私、異種族であるからその意味を理解できないの。ごめんなさいね」
緊張が口元を綻ばせた。繋がった手の指先に冷や汗が流れるのが感じた。折れているはずの左腕だけではなく、右腕までも神経が消えたように動かなくなった。
そしてその前に立つ親友の顔が頭をチラつく。
「さて、これから君に2つの選択肢を与える。1つはこれから起こる街の崩落を私たちと一緒に傍観する。楽しいわよ、これは絶対に。あなたの仲間もそこにいる。そして2つ目。これはおすすめしない」
たっぷりと息を吸って、言葉が一緒に吐き出される。
「地獄という名の場所に今から落ちて貰うということ」
ライトは悩むことなく足を前に運ばせた。理由は簡単だった。ライトはこんな場所でさえ冷静さを失っていなかったからだ。ここで直接対決をしたところで彼女の言うシナリオ通りになるだろう。ならば、闘志は内に秘めて。自分の選択を疑わないように。
今はまだこれが最善となるのだろう、と考えて剣を鞘に収めたのだった。裏切ることになったとしても今の自分にできることを考えればもっともな方法だと思う。
小さく呟かれたその言葉に感情を押し殺して。
「僕はこちらに来て欲しくなかった」
グリアのその一言がライトを激しくゆさぶった。しかしシルヴィアたちのことを考えても、今自分が死んでなんの役にも立たずに終わることこそ最大の失敗だ。
そうである、この魔女と刃を交わせばどちらかが死なない限り終わらない果てない戦いが始まってしまうだろうと。
すまないが、お前たちは正面から門を突き破ってくれ。
ライトは残した仲間に心の中で告げて真正面にいる女に悪い笑みを返答として返すのだった。
「お前と一緒に傍観させてくれ。この国の崩落という名の終わりを、な」
この度、受験という壁が差し迫ってきた結果、執筆を1度止めることを決意しました。
推敲していて、もっと面白くなる!みたいなことを考えれば考えるほど小説の方にのめり込んでしまって勉強面が疎かになってしまう。調べれば調べるほど私自身も小説の魅力にどんどん落ちていってしまう!みたいな笑
だから、Twitterの方では報告したのですが受験に専念するために、この作品の投稿を1度ストップします。
まぁそうは言っても実際小説を書くことは辞められず、結果的に週一の短編小説の投稿を始めようとか思っているわけで。
ブクマは取り外しちゃって結構です!
ここまで来たのに本当にすみません……ですが、読者さんがもっと色々な作品に出会い、たくさんの愉しいを見つけてくれることを祈っています。
(私の作品も思い出してくれたら嬉しいですけどね笑)
えーと、短編はですね。週一、日曜日の夜7時くらいに投稿しようかと思ってます。
帰ってきたらまた1から始めていこうと思います!絶対成長して戻ってきますよぉ^^*
もし、もう一度あなたと出会ってその時もまたお付き合い頂けたらそれこそ幸運なことはないです!!!
ではまた(。・ω・)ノ゛
もう一度会えることを。




