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Realizeー果てなき世界の物語ー  作者: 神木ひかり
第1章 腐敗した世界の魔女狩りは
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【9】魔女狩り協会

鉄格子の門をくぐって、広い広い中庭を歩いていく。煌びやかとは言わずとも、中庭はそれ相応に整地されていた。そうして建物内に入っていくと何本もの柱が立つ大広間へと出る4人。何人もの人々が入れそうな広間と上へ続く階段を見てライトが一言口を開いた。


「なぁ、ここまで来たけど。最終的にオレたちここからどうすんの?」


その言葉にエイジは、顔をすくめて苦笑いを浮かべる。ポツリと呟かれた「いや、ここからだから」という一言には、シルヴィアもライトも知るよしもなかった。


「ええと、ここが大広間だから。大幹部対隊の部屋は……って長い間ここから離れていたから忘れちゃったんですけどエイジもなんかやってくださいよ!」


キョロキョロと辺りを見回すトオリの後に面々がそれぞれの面持ちで続く。エイジは、どうやら無心の域に達しているようで。


「勝手に入るのは?」

「ヴィアたちは入隊してどうせすぐ辞めるのかもしれないですが、一応は正式なルートを通らないと後々面倒なのわけで」


問いかけられた質問にため息混じりで答えるトオリは続けざまに発するのだった。


「それよか、さっさと十字隊統括のクリス様に話をしてヴィアたちの入隊を認めてもらわないといけないのですよ。ここにずっといても仕方ないのですから」


唇を噛んでブツブツと言い出すトオリにシルヴィアは、腕を組んで彼女を眺める。だがトオリが案内をする前に、どうやら案内役が顔を出したようだ。


「よぉ。トオリ、エイジ、久しぶりだな。元気してたかぁ?」


知らぬ間にそこにいた男。1人の人影は、3人に増えてそこに降り立つ。気づく間もなく、彼らはそこからこちらを見据えていたのだった。


「久しぶり……エイジがそこに。私の可愛いエイジい!」

「……誰、?」


最初に話しかけてきた銀髪赤眼のピアスをつけたストリート系の20代前半くらいの男がニヤリと笑って階段上から目の前に現れる。エイジは、2つの紫髪をお下げで垂らす女からの熱を帯びた視線を浴びて悪寒を走らせている模様だ。


「で、こいつらは?新入りってか?新入りがオレらに逢えるなんてまずねぇからな。喜べることだわ」


ニヤニヤとした面持ちで駆け寄る男は、2人の顔を覗き込み満足そうに笑みを浮かべる。シルヴィアは肝が据わる様子で、ライトは目線を逸らして。


「いろいろ説明はしたんか?トオリ」

「いえ、まだそこまでは。それにアレンたち大幹部たちの話もまだ全て終わっていません」


それを聞いた男は、トオリを押しのけて前に出た。


「じゃあ、最初に。俺は大幹部の1人、アレンだ。アレン・トーマス・グリバート。歳は25。お前らの大先輩にあたるからそこんとこよらしく」

「シルヴィア」

「……ライト」


少し気だるさも残しつつ、明るく挨拶をされた2人は咄嗟に自身の名を口にして礼儀正しくお辞儀した。すると、後から現れた女と少年も降りてくる。エイジがライトの後方に隠れるようにして身構えるのを見て、女は不満そうに口を尖らした。


「エイジ……私がアナタに何をしたというの?」

「数々のセクハラ行為だっつうの。身に覚えがないのが1番こえーよ。ライトも気をつけろた方がいいぞ?」


寂しがるように項垂れる女にゾクリと鳥肌をたたせたエイジは、身を攀じるように離れていく。


「私は、ケイティ・ブルース・カインズ。えっと、ケイティと呼んでほしいかな。というか、アナタの名前を教えてください!」


勿論ロックオンされるのも目に見えていて、ライトの手をがっしりと掴んだケイティはジリジリと詰め寄ってくる。


「魔女の遺骨。持ってないの?」


ライトが助けを求めて視線を投げるも誰からも相手にされることはなく呆気なく霧散していく。だが、1人の少年の言葉によってその状況も凍りつくのだった。少年の手には明らかな頭蓋がのせられて。


「君、興味深い話をする。君は面白いところに観点を持っているようで」


それに乗っかるのもまた変人。おぞましい笑みを浮かべていたのはシルヴィアで、ごちゃごちゃになっていた現状をアレンが鶴の一声の如く一括するのだった。


「落ち着けって」


久々の再会と新たなる道への入口(?)に立つ人間たちを制してアレンは、言葉を持ってきた。


「ルーク、お前は自己紹介」


それにハッとしたように頷いた少年は、自身が持つ頭蓋骨に顔を寄せながらモジモジと口を開いた。金髪碧眼の美少年、とも言えるのだろうか。


「ルーク・ギル・ガリア。11歳。趣味は、魔女を殺して解剖して骨を抜き取ること。今持ってるのもその中のひとつで、す……」


可愛い外見とは、裏腹に内容はどす黒いものになっていることには誰もツッコムことをしない。ぴくりと眉を潜めたシルヴィアも怪訝そうな顔よりも真剣に少年に向き合い始めるのだった。


「私は、シルヴィア。君のその趣味に私は、とても興味があるのだけれど一緒にお話でもしないかしら?」


確か、彼女は子供を嫌い子供の扱いを得意とはしていなかったはずだ。それでもルークがキラキラと目を輝かせながら頷いているところから察するに、どうやら分野というものもあるらしい。


「アレン、私たち彼とは初対面のように感じますが」

「ああ。ルークは、新しく入った大幹部の1人なんだよ。一応はお前らの上官だから敬意を表するんだぞ」


その言葉に、トオリもエイジも目を見開いた。若干11歳にして大幹部に着く少年の力に対しての驚きだ。


「1隊員のことを覚えることは難しいと思いますが、私たちも自己紹介させていただきます。トオリ・プール・リバイア。第23期生です」

「同じく第23期生、エイジ・グラディエル・ロイダー」


一礼する2人にルークは隠れながらもチラリと目を向けた。


「よろしく、お願いします」


歳上に対しても敬意を、という意思はどうやら確立されているようでルークはそう言って姿を消した。目の前から存在が消えた。


「……」


話の途中に消えたルークに消化しきれていないような顔つきをするシルヴィアを横目で見ながらケイティの熱が冷めるのを待った。ケイティがジリジリ寄ってくるのを避けながら。


「そんで新入りだから、クリス統括に会いたいわけねぇ。入隊の資格が必要だからか」


ケイティを引っ張ってアレンがトオリが欲する答えを述べると彼女がブンブンと頷いてきた。


「そうです!それでアレン、クリス様はどこにいるのですか?単刀直入にお話したいのですが」


組織統括に話をつけようとその男を探すトオリは、アレンに案内を頼んだのだった。だが、帰ってきたのは思っていたものとは異なるもの。


「クリス統括なら、今留守だわ。なんでも西の方の国に奇妙な事件があってね。それで向かったって言うわけ」


それに言葉を詰まらせたトオリは、歯切れ悪そうに「そうですか」と一言彼に返す。


「だから、俺たちがいるんだろ?こんな組織に幹部3人が揃うわけがないでしょう。普通に考えて異常というわけなんすね。だから、俺がお前らの入隊を認めてやって試験管も務めるってわけよ」


アレンが頭をかきながら説明するのに対して、ある意味胸をなでおろしたトオリ。だが、それも気が気でないことに変わらない。シルヴィアは、それを読み取り一足先に先手を打つ。彼女の肩にぽんと手を置いて、真っ先に礼する彼女の姿は初々しい入隊初心の者だろうと思うだろう。


「では、お願いしますね」

「……お願いします」


演技は、いつも騙すために。そして、意思は目的のために。2人が頭を下げたのを確認してアレンは2人の頭を叩いた。


「よし、お前らには悪いが。試験は明日だからな」


一瞬の隙に消えたアレンとケイティの気配は只者ではないことを語っているのと同等。彼らに身バレする前に依頼を片付けることが2人の1番の最優先事項となった。


「では、アレンが適当になんとかやってくれるとして私たちはヴィアの手伝いしてやったりますか!」


残され依頼は、魔女の変死を作る異端人を見つけ排除すること。彼らの嘘を見破って真実に近づく2人。


「でも、自由になれるのはまだ早いんだよなぁ」


呟いたエイジの一言の真相は、次の日表面上へと壁となる形で登場するのだった。

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